【あらふぉ~半生を振り返る】謎のモテキ
高校3年生で、突然モテキが発動した。
いったい何が起こったのか、自分でもわからない。
しかし、そういう時期が人によっては存在するらしい。
初めてお付き合いをしたのは、バイト先で警備員のアルバイトをしていた大学生だった。
「付き合ってほしい」
と言われたときに私は少し悩んだ後、こう考えた。
「付き合うという経験をしてみよう」
自分の生活に精一杯だった私は「自己中」を練り固めたような人間に育っていた。
全てのことは自己責任であり、一人で生きていくことが目的であり、常に自分のことしか考えていなかった。
彼とはデート2回で一方的にお別れした。
実は高校1年の時から、一つ年上の先輩に淡く想いを寄せていた。
が、彼の隣には常に先輩の女性がいて、
「お似合いだな」
と思っていたので、眺めているに留まった。
ところが、卒業後に実は私のことが好きだったというのが判明。
しかも、それを聞いたのが、先輩が卒業後に入った専門学校で、彼女が出来た後だった。
私はこのことから、
「とりあず、人を好きになったら告白だけはしておこう」
と、心に決め、これが相方と一緒になるために重要な経験となった。
謎のモテキは、相方と結婚してからも続いた。
元々、よく道を聞かれるし、キャッチも多かった。
一応断っておくが、美人ではない。
さらに30歳まで化粧もしていなかった。服は全て母のお下がりだ。
お金が無い以上に、外見に興味関心が無かった。
考えるに「人畜無害」で「隙のある」オーラを発していたのかもしれない。
そこにナンパが加わって、大変なことになった。
とにかく外を歩くと声を掛けられまくる。
店から出ると、追いかけてきて
「お茶でも…」
コンビニから出てくれば、落とした覚えの無いハンカチを持って
「ハンカチ落としましたよ!良ければお茶でも…」
日本人も、観光客も道を聞いてくるし、都心に住んでいたのでキャッチも多い。
もうキャッチなのかナンパなのか迷子なのかわからない状態で辟易してしまった。
そこで思いついたのが、マスクをするということだった。
私はコロナが来る20年も前から、毎日マスクをして出かけていたのだ。
マスクをして、目を合わせないようにし、人を縫って素早く歩く。
この方法を編み出してから、やっと解放されたのだった。
流石に今は歳をとったので、そんな問題は無いが、
コロナで皆がマスクをするようになった途端、道を聞かれることがまた増えた。
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