たからもの
2013年の初頭、昼間家に居ると外から聞き慣れない飛行機の音がした。
元々、我が家の上空には海上自衛隊の航空機が良く飛んでいるのだが、いつも聞こえる飛行機のプロペラ音では無かった。
気になった私は、窓の外をみて驚いた。
真っ青な空に、白地に蛍光オレンジの見慣れない飛行機が飛んでいたのだ。
私はとても興奮した。
何あの飛行機!かわいい!!
どうやらあの飛行機は上空を旋回しているようだと判断した私は、慌てて最近買ったばかりのデジタル一眼を引っ張り出してきた。
プロペラ音がまた近くなってきた。
さぁこい!
私は窓の前でカメラを構える。
私はカメラの事などさっぱりだ。手にしているカメラも家族が買った物で、高いカメラとしか認識していない。望遠レンズ何それ美味しいの?レベルのド素人だったが、とりあえず写真に撮りたかった。
そして、レンズ越しに見たことのないカラーリングの飛行機をとらえると最大までズームし、必死にシャッターを切ったのだった。
飛行機が飛び去ったあと、私はさっそくメモリーカードをPCで読み取った。
真っ青な空に、小さく写る飛行機。
まずはこの飛行機が何者なのか調べなければ。そう思い「飛行機」「オレンジ」などのキーワードで画像検索をかけた。
その結果、その飛行機が「飛行機」ではなく「飛行艇」であることが分かった。
それが、私が海上自衛隊の救難飛行艇US-1に出会い好きになった瞬間であり、実際に飛行している姿を見た最初で最後の瞬間だった。
その後、自分で撮った写真を拡大してみると、確かに機体の横にしっかりと海上自衛隊の文字があった。
この出会いの後、私は「艦隊これくしょん」というゲームにハマり、このUS-1が二式大艇の流れをくむ飛行艇であると知り、更に好きになり、いつか実際に飛んでいる姿を見に行きたい!という思いを強めるのだが、見に行く機会を逸したまま、2017年12月13日に最後の機体が退役してしまった。
今でもこの写真は私の宝物だ。
-終-
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