【短短編】秋のいろいろ【雑記】
天高く馬肥ゆる秋。
今年も森には、秋の恵みが沢山ある。
まったけ、あけび、栗に胡桃、鮭も良い。
想像しただけでも涎が出る。
えびづるの実も食べ頃だろうし、山芋も掘りたい。蔓にむかごがあればなお嬉しい。
秋は何かと忙しい。冬ごもりの準備をしなければ。
畑の秋野菜も収穫し、鼠に喰われぬよう納屋にしまう。
食材を干したり、燻したり、塩に砂糖、酒に漬けたり。
夏から乾かしていた薪も、いい具合に乾燥している。
ここは霜月になるとすぐに、雪に閉ざされる。
話し相手もおらず、一人で小屋に籠るのだ。
いや、ヤギがいたな。
調味料は商人から買った。
贅沢品のココアやチョコレートも。
次が今年最後の行商だと言っていたので、沢山の本を持ってくるよう頼んだ。
物語、旅行記、歴史書に図鑑、文字を読むのは何でも楽しい。
糸に毛糸、布もある。端切れ布を使って何を作ろうか。
四ヵ月は小屋に閉じこもるのだ。
準備万端にしなければ。
冬ごもる準備が一番楽しい。