🐈 自殺・尊厳死・安楽死について 🐈

こんにちは　Ridiusです。
今回は、自殺・尊厳死・安楽死について話したいと思います。

🐈自殺は悪か

一般的に、人を殺すという行為は許されません。誰かや法律によって禁止されている、ということではありません。
もしも、私が誰かを殺害したとしましょう。村社会であった頃であろうと、現代のWeb2.0の社会であろうと、その噂は広まり、その危険度をその社会の人々が共有します。私は、その社会の健全性のために消されるでしょう😇

では、自殺は許される行為なのでしょうか。
「死の自己決定権」
WHOによると、悲しいことではありますが、2019年に推定703,000人が自殺でこの世を去られました。

男性（10万人あたり、12.6人）
女性（10万人あたり、5.4人）

自殺の大部分（77％）は、低・中所得国で発生しています。
自殺者全体のうち、58%の人々は50歳未満の人々でした。

自殺する若者

15歳〜29歳の人々の死因のうち、男女全体の４位は自殺でした。

Suicide worldwide in 2019 
https://www.who.int/publications/i/item/9789240026643 

以上のデータからも、自殺は予防されるべきものであると考えます。
しかし、それは生命に対する自己の権利を侵害することはできないとも考えられます。
ピンピンコロリを望む人もいて、無理に生かすことは自己決定の侵害です（人間の命が、原則神のものと考える場合などは別ですが）。

WHO（2022年）によると、日本人の健康寿命は、
男性　72.6歳
女性　75.5歳

これに対して、日本人の平均寿命は、
男性　82歳
女性　88歳

日本人の平均寿命-健康寿命は、
男性　9.4年
女性　12.5年

自殺は、自分のためになら許されるのか。はたまた、隣人に対して、役に立つうちは生きられるのか、苦痛という恐怖に打ち勝つために許されるのでしょうか。

ここで、我々自身が、我々自身であるということは、健康寿命が終わった後も言えることなのか、そもそも「人生」と「生命の終わり」が同じなのかという疑問に私はぶつかりました。

🐈尊厳死

尊厳死とは、人間の意思で、尊厳を持って死に至ることです。
「尊厳を持って死に至る」とはどういう状態なのでしょうか。

尊厳死肯定の場合
尊厳死を肯定する場合、それはQOL（quality of life)が低下していないかというように考えることができます。
個人が自由意思を持ち、発言し、行動し、自己決定を行える状態はQOLが高いということができるのではないでしょうか。これに対して、QOLが低いという状況は、延命治療を受けながら、自己決定のための自由意思がない植物状態であると言えます。（生活の質の高低をどのように決めるかが問題）

尊厳死を肯定している方々が、「QOLが低い人の人生は、もう終わっている。」わけではありません。彼らが主張しているのは、自由意思で、周りがとやかく言うなと言うことです。
個人の自由で、事前に尊厳死を望んでいる場合（living will)、尊重されるべきなのでしょうか。

尊厳死否定の場合
否定される方々は、SOL（sanctity of life)を主張します。この生命の尊厳は、生命は尊いものであり、生命より死を選ぶことは何が何でも許されず、尊重されるべきではなく、阻止されるべきという考えです。

尊厳死の事例として以下のようなものがあります。

テリー・シャイヴォ事件（尊厳死）　
2005年 15年に及ぶ植物状態に終止符を打つことについて、テリーの両親とテリーの夫の間で争われ、栄養補給を停止し、テリーの意思を尊重した事件。

日本では、尊厳死法制化はうまく行っていません。
2007年、厚生労働省が国として初めての「終末期医療の決定プロセスに関する指針」を作成しました。回復する見込みのない患者、延命治療を家族が望まない場合に、治療の停止があるようです。

尊厳死の案として挙げられているのが、
1. 患者の生前意思表示によって、医師が延命措置をしなくとも免責になります。
2. 生前の意思表示に基づき、医師が延命治療を停止しても免責。

問題としては、医療費の圧迫による尊厳死選択、周囲からの無言の圧力、ドナーになるように言われるなどが考えられます。

🐈安楽死

安楽死とは、尊厳死とは異なり、苦痛なくこの世をさることができることです。

自発的安楽死　患者本人の自由意志による死
非自発的安楽死　本人に意思のない死
反自発的安楽死　本人の意思を無視して、または反対して行われる死

日本では、安楽死の違法阻却事由に、
昭和37年名古屋高裁判例
1 死期の切迫
2 耐え難い肉体的苦痛
3 苦痛の緩和・除去が目的であること
4 患者の自己決定権
5 医師が行うこと
6 倫理的に妥当である方法で

1991年の東海大学病院事件では、３、６は要件として不要とされました。

海外の事例では、有名な「ブリタニー・メイナード事件」があります。

「ブリタニー・メイナード事件」
米国カリフォルニア州に住むブリタニー・メイナードは、28歳で結婚し、幸せな夫婦生活を送っていた。しかし、結婚後に彼女は原因不明の頭痛に悩まされてしまう。1年半ほど経った頃に脳腫瘍があることが判明。すぐに腫瘍を　　　 取り除くために手術を行なったが、有効な治療方法がなかった。そして、彼女は余命半年であると宣告されてしまう。彼女とその一家は、医師の自殺幇助が認められているオレゴン州に引っ越すことになる。2014年、処方された致死薬を飲んで死ぬというメッセージをYoutubeで配信し、11月1日死亡。
2015年、カリフォルニア州で医師による自殺幇助が認められる。

といった事件です。

ブリタニーは、脳腫瘍によって、忘却や人格の変化の可能性すること、自分でいなくなってしまうことを拒否しました。
我々にとって、将来の幸福を奪ってしまう行為と自分自身であり続けることはどちらが大事なのでしょうか。

他にも、スイスでは1942年に安楽死が認められるようになり、オレゴン州では1997年に、オランダで2001年に、ベルギーでは2002年にと言うように認められる地域が増加しています。最近では、2015年にドイツでも安楽死や尊厳死を合法化しました。

🐈個人的に

個人的に、尊厳死も安楽死も本人の自由であると考えています。「アルジャーノンに花束を」でもあるように、自身が得てきたものを失うのは辛いことであり、自身の尊厳も傷つけられるだけでなく、他人に対する敬意も失ってしまうかもしれないわけで、自由意思が残されている状態で、将来を考えると悲観的になりそうです。しかし、全ては自分で決定できる必要があり、家族や友人などの周囲がとやかく言うことではないと考えます。
その人の死生観に沿って、自己の死の形を決定することが「幸福」なのではないでしょうか。