自分にとっての当然は他の人からみたら希少かもしれないぞ~POOLOJOB 3ヶ月の学び~
2024年2月末、Facebookを見ていると大学院の後輩がいいねしました!という広告が流れてきた。
「旅を、仕事にしませんか?」どうせInstagramとかTikTokの収益化か運用代行だろうと思っていた。
数日後、同じ広告が流れてきた。気になって開いてみると「トラベルクリエイターとして文章術を学ぶ」とある。これは風向きが変わってきた。文章執筆なら同人誌でさんざんやってきたから、そのスキルが仕事に変わるならこれほどありがたいことはない。とりあえず話を聞いてみることにした。
興味はあるが…
説明会ではTABIPPOという会社が展開する4つのオンラインスクールについての説明があった。人生について幅広く捉えるPOOLO LIFE、フリーランスライターの養成を目指すPOOLO JOB、地域おこしなど地方創生を目指すPOOLO LOCAL、次世代のリーダーを育成する POOLO NEXTである。3月からLIFE7期が、4月からJOB3期が始まるとのことだった。人生について考えるほど自分はまだ経験値を積んでいないので、得意分野が活かせるJOBに入りますと宣言したのが全ての始まりである。
最初の課題はお金だった。POOLO JOBは完全オンラインスクールだから東京まで行かなければいけないとかはないけれど、それでも18万6千円もする。参加したいのは山々だけれど年収250万円の自分に一括で払うのは無理だな…
「分割払いでもいいですか」
こういう言ってしまえば不要なところで諦めが悪いのは乗車率の悪い癖である。結果3分割で6万2千円ずつ納めることとなった。
文章を書くのは大変ではないが…
あっという間に1ヶ月がすぎ、4月、開講の時期となった。実際どんな人がどれくらい集まるのか全然予想もつかなかったけれど、全国各地、はては海外から50人もきていて驚く限りである。
さて、入ってみるとどうやらチーム分けというのが存在するらしい。自分はCチームとのことである。
メンバーは以下の通り
乗車率 @riding_rate
たけし @TakeX_toyoko8
かなは @kanahanablog
あばれるちゃん @abareru526
Saki (Twitterなし)
さて、どんな人なのかと自己紹介を見ていて、たけしさんに目が止まった。
出身地、広島市 中高6年間男子校に通う、北大後期組…!?
自分と瓜二つと思える経歴に目を奪われてしまった。これは楽しくなりそうだ。
チームが組まれるとはいえ文章執筆というのは孤独な仕事である。だからこそコミケ前になると原稿スペースとかいってただタイプ音を響かせるだけのスペースが深夜のTLにいくつも現れるのだろうけれど、おそらくここにいる人はまだそのノリについてこられるほどオタク仕草に染まっていないだろう。だからチームミーティングが最低月一で設定されるのだったが、逆にいえばそれとZoomのブレイクアウトルームくらいしか他の人と話す機会がない。都市部に住んでいればオフ会の開催も容易だろうけれど残念ながら乗車率がいるのは香川県の片田舎である。結局会期中JOB生と会うことは一度もなかった。
さて、講義の話に戻る。課題にはSNS課題、note課題、メンター課題の3種類がある。メンター課題は提出必須、プロのライターの赤入れが入る最も重要な課題だ。そして量をこなすためにあるのがnote課題、これは800・1500・3000・5000字の中から選んで決められたテーマについてnote記事を書くというものである。最後にSNS課題、これはXを1日3回投稿するというものである。メンター課題は4月が1500字、5・6月が4000字である。2万字の原稿を平気で書く同人作家ならこれらはわけもなくかける、そんな傲りも最初はあった。
4月下旬、最初のメンター課題の赤入れが返ってきた。メンターの最初の一言「率直に言って、文章が上手だなと思いました」この一言でかなり自信がついた。
一方で、写真や小見出しなど自分の文章には「読みやすくする努力」が必要であることがわかった。
しかし、5月の連休あけから少しずつnoteの執筆に遅れが出るようになる。理由は金銭の不足とメンタルである。3分割でしかもカード払いなので請求は翌月である。手取り16万(家賃3万)の人間に毎月6万の支払いはかなり厳しい。3回目の支払いはこのnoteを書いている時点でまだ済んでいない。
それに加えて会社での仕事量が減り、居場所がなくなってきた。毎日何をしに行っているのかわからない状況。家に帰っても布団から起き上がれない日々が続いた。結局noteは半分と少ししか書けなかった。
そんなことをしているうちに2回目のメンター課題の締切が近づいてきた。2回目のメンター課題はメンバーへのインタビューである。だいぶハードルが上がった。なんてったってインタビューとなると流暢に話さないといけない。文章は30分固まってても続きがあれば読者はそこで詰まったりしない。しかし会話では10秒も黙っていれば相手は心配してしまうし場合によっては怒らせてしまうかもしれない。会話というのは自分にとっては文章を書くよりよほどストレスフルなことなのだ。それでもなんとか会話が成立できたのは、共通テーマが多かったおかげだろう。インタビューしたかなはさんはサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩いた経験があった。姉妹協定を結んでいる四国遍路を回っている自分と重なるところが多かったのは幸運であった。
そうこうしているうちに6月が近づいてきた。6月10日には締切なのだが、6月1日になってもインタビュー先すら決まっていない状況だった。これはまずいと思い、自分の本を置かせてもらっているお店に泣きつくことになった。そしてできたのが大川オアシスへのインタビューである。指定4000字のところ、3200字しか書けなかったのは痛恨の極みであった。
書き終えても相変わらずお金はない。週末は資金確保に奔走しなければならないし、急遽異動が決まったりとずっと走り回ったまま6月後半まできてしまった。
結局何を学んだのか
6月後半になると、note課題が「これまでの総括」に移ってきた。このタイミングで自分はかなり困ってしまった。あまりnoteも出せていない、 Xのフォロワーも増えたとはいえ割合としては他の人に比べ大したことはない。その状況で自分は何を学べたのだろうか。
とりあえずわからないなりにSlackに投げたところ返ってきたのは次のようなコメントだった。
そう、1つのアカウントを10年間、大して炎上することもなく運用する。フォロワーが3400人いる。自分としては日常であり当たり前だったのだけれど、視点を変えてみるとこれはとても希少なことなのかもしれない。SNSだけでなく、同人誌の執筆というのも年に2回必ずやっていることなので全然自分としては「この季節が来たなあ」くらいのイメージだったけれど、どうも多くの人はそうではないようだということに気づけたのが、POOLO JOB最大の学びだったかもしれない。
『今時の若いモンは』という漫画で「仕事とは、誰かの不可能を自分の当たり前にすること」という台詞があった。POOLO JOBで得られたのはスキルよりもむしろその視点だったかもしれない。そしてその視点があったからこそ、このような表彰もいただけたのではと思っている。
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