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「選択的夫婦別姓制度」が総裁選の焦点に?日本の姓の歴史の背景をひもとく
ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル
みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。
日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。
「選択的夫婦別姓制度」が総裁選の焦点に?日本の姓の歴史の背景をひもとく
本日のテーマは「選択的夫婦別姓制度」。
紹介する記事はこちら(2件)。
先週、自民党総裁選が告示され、過去最多の9名が立候補を届け出ました。
そして今、立候補者のひとりである小泉進次郎氏が推進を掲げたことをはじめとして、総裁選の焦点のひとつとなっているのが「選択的夫婦別姓制度」です。
選択的夫婦別姓制度とは、結婚をする際にこれまでは必ず同姓にしなければならなかったのを、「同姓にしたい人は同姓」「別姓にしたい人は別姓」と選択肢を増やす制度です。
ここで改めて、姓の歴史を振り返ります。
【姓の歴史】
明治3年(1870年):一般に平民に姓の使用が許されるように
明治8年(1875年):姓の使用が義務化(※夫婦別姓)
明治31年(1898年):『戸主と氏(姓)を同じくする家族』が戸籍編製の単位となる(※夫婦同姓が義務化)
私たちが当たり前に姓をもつようになったのは約150年前。
そして、元々は夫婦別姓だったのが、夫婦同姓に変更されたのが126年前。
なぜ、夫婦同姓は義務化されたのでしょうか?
「その背景には『家』を基盤とした国家構築を強めたい政府の意図」があったと、戸籍問題に詳しい早稲田大学台湾研究所研究員の遠藤正敬さんは話します。
【構造化特集 無戸籍 第8回】
負を生む「家族の証明」戸籍制度は必要なのか
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「例えば、男性は外で働いて『家族』を養うものだとか、女性は家事や育児に専念して『家』を守るものだという、誰もが耳にしたことのある思想は、戸籍制度をはじめとした『家族』をめぐる様々な政策によって、明治以降に強化されてきたと言えます」
「伝統的家族観を脅かすような変化に対しては、その時々で色々な理由や論理をこじつけて、変化を止めようとする保守層の政治的な動きが存在してきたのです」
遠藤さんは、保守的な政治勢力が守ろうとする「伝統的家族観」の合理性を次のように語った。
「選択的夫婦別姓に反対する意見の大半は『家族の絆を維持するため』というものです。
(中略)
別姓を認めない理由として『家族の絆』を掲げるのも納得し難いですが、現行の制度においても一つの屋根の下で、違う名字の家族が、絆を持って暮らしていることもある。
現行の戸籍制度は様々な負を社会に生み出しています。そんな中で、『絆の維持』を大義として、机上の『伝統的家族観』に固執し、夫婦同姓をはじめとする戸籍制度の変革を拒むのはナンセンスな論だと言わざるを得ないと思います」
ぜひお読みください!
※このリンクからこの記事にアクセスすると、どなたでも9月23日(月)まで無料でお読みいただけます!
\ 余裕のある人はもう1本 /
同性婚、夫婦別姓はなぜ進まないのか
――家族制度の変遷と課題をひもとく(前編)
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結婚制度に強い関心を持つハヤカワ五味さんをモデレーターに、家族社会学者の永田夏来さんをゲストに迎え、日本の結婚制度や家族のあり方について紐解きました。
永田 「日本の制度は届出婚と言われていて、それ(フランスの婚姻制度)に比べればカジュアルで、簡便です。
(中略)
ただし、その先にある家族の仕組み、具体的には住民票や戸籍といった制度は、昔からの家制度を引きずっている部分もあって、ガチガチに見えるのでしょう。結婚の手続き自体とは、区別しておきたい部分です」
ハヤカワ「だとすると、戸籍や住民票の部分に課題がありそうですね。家制度がなかなか変わらない理由はどこにあるのでしょうか」
永田「おそらく、子どもを位置付ける感覚が欧米とは違うのでしょう。ヨーロッパでは、『子どもにも人権がある』という考え方が当たり前ですよね。
(中略)
対して日本の子どもは、家の中にいるべきだ、保護者が管理しないといけない存在であるという意識が強い。それは家父長制の延長にある感覚だと思います。『子どもや女性は人権がある個人なのだ』という意識が薄い。
そうした点が、選択的夫婦別姓の問題を含む婚姻制度や家族のあり方がなかなか変わらない足かせになっていると思います」
ぜひお読みください!