イタチとの闘い
田舎に住んでいると小動物との闘いが起こります。
子供のころ住んでいた家の天井裏にはねずみが住んでいました。
夜になると大運動会が繰り広げられ、ドタバタいう音で眠れなかった記憶があります。
次に引っ越した家では最初はいなかったのですが、何年か経つとどこからか侵入してきました。しかしそのねずみたちは、現うちのねこにより絶滅の危機に瀕し(数十匹は狩りました、逆にどんだけ住んでいたんだという話です)たまらず一族郎党逃げ出したようで、ぱったりとでなくなりました。
今回はそんななかのひとつ、イタチとの闘いの記録です。
高校生の頃、家が仕事場になっていたので、子供だけ個室用の別の家に住んでいました。ごはんなどは仕事場になっている家で食べていたのですが、高校生にもなるとさすがに手狭なので、セカンドハウスがてら近所に用意してくれていました。高校生から20すぎるくらいまでその家で過ごし、仕事場を実家兼仕事場に改築してからはその家は手放しています。
今回は、多感な時期にそれで寂しかったとかいう話ではなく、その家でのイタチとの闘いの話です。
イタチとの戦いはつい10年ほど前にもあったのでその話もしてゆきたいと思います。
こたつの中の侵入者
二階建てのセカンドハウスには子供3人で住んでおり、居間にはこたつとTVがありましたが滅多に誰も使いませんでした。居間の横には台所がありそこは私だけがたまに使ってました。
ある日家に帰り、台所を使っていると、居間のほうから突然何かが飛び出し、ダダダダとすごい音を立てて勝手口へと消えていきました。
めちゃめちゃびっくりして、恐る恐る勝手口のほうを見ましたが何もいません。居間のほうにも何の気配もありません。勝手口の扉は開いていません。ということはまだ家の中にいます。
その時は何が起こったか分からず、怖すぎたのでとりあえず台所を早々に出て部屋に帰りました。
次の日、また台所におそるおそる入って、何もいないか気配もないか確認し、ホッとしてお茶など入れていると、またダダダダッとすごい音を立てて何かが居間から走ってきます。まためっちゃくちゃびっくりしてちょっと泣きそうになりながら居間と勝手口を確認しますがやはり何もいません。
しかし、この時、黄色く細長い影を視界の隅に確認しました。
周囲の人々に聞くと、それはおそらくイタチであろうという話でした。
この時点で十数年この土地に住んでいましたが、イタチを見るのは初めてでした。しかし周囲の人々によるとイタチの侵入例は結構あるようで、あいつらは賢いから大変だよという鬱情報までいただきました。当時は情報がありませんでしたが、色が黄色であったことからチョウセンイタチだったと思われます。
敵が特定できたところで対策を講じます。
まずはダメ元でネズミとりを仕掛けますが、いつも居間から勝手口に走り抜けるので勝手口の前に設置し勝手口の扉を開けて置きます。
居間には恐ろしくて入れなかったので、また走り抜けてくれるのを期待します。私がいないときはどうしているのか分かりませんが私が台所に入ると100%走り抜けるので、あえて台所に入って様子を伺います。しかし一向に出てくる気配はなく、もしかしたらもう出て行ってくれたのかもしれないとホッとしていたら、気を抜いた瞬間にまた飛び出してきました。
イタチが賢いなと思うのは、こちらの気配をうかがっているところです。こっちが気を張っているときは出てこず、ホッとして気を抜いたタイミングで出てくるのです。
そしてもちろんネズミ捕りなどにかかるはずがありません。きれいに避けていきます。
勝手口を開けていたので外に逃げ出してくれていることを祈りましたが、次の日もやはり居間から飛び出してきて絶望します。
もはや、正にいたちごっこ状態でどうにもならないと思い、勇気がなくて入れなかった居間を思い切ってのぞいてみます。部屋には気配はありませんでしたが、そういえばこたつは一度も確認していません。意を決して布団をめくってみると、そこには食パンが一斤まるごと運び込まれており、半分くらい食べられていました。食パンは私が台所のテーブルに置いていたもので、そういえばいつの間にかなくなっていたことを思い出しました。
食い散らかされた食パン以外は糞などもなく、ここは寝床にしていたのでしょう。きれい好きで賢い生き物なのだなと思いつつ、こたつごと片づけてしまいました。
そしてそれ以来、イタチは出なくなりました。寝床が使えなくなった以上用はなかったのでしょう。しかし扉がどこも開いてない状態からどこから侵入したのか、糞はどこにしていたのか…。
ちなみにその家があった場所は今は道路になっていて跡形もありません。
台風と侵入者
これは10年も前のことではない、今の家での話です。
ある台風の日、雨戸を閉めて台風に備えていると、突然猫が狂ったように走り出しました。ものすごい勢いで家の中を回り始め、何かの病気の発作なのかと心配して確認しにいくと、猫の先には見覚えのある黄色く細長い生き物、そうイタチです。猫の勢いは半端なく、イタチも捕まると命はないとわかっているのでしょう、必死です。私はまた家に住みつかれたらたまらないと裏口やベランダなど開けられるところは全部開けます、台風なのに。
そうして何とか出て行ってくれますが、そのあとが大変でした。
ものすごくくさい、ものすごい動物園臭。
野生の動物とはいえ、侵入されただけでこんな匂いになるはずがありません。昔住み着かれた時ですらこんなにおいはしませんでした。
後で調べたところによると、イタチもスカンクなどと同じように命の危険を感じると身を守るためにガスを放つ、つまりおならをするという事で、台風の日うちに侵入したイタチは正に命がけだったことがうかがえました。
そしてそのおならの臭いことと言ったらたまりません。
しかも台風なので窓も開けられません。
うちにあったファブリーズを噴射しまくり新品を一本使い切ってもまだ臭く、やむを得ず窓を開ける羽目になりました、台風なのに。
そもそもなんであの時に限ってイタチが入ってきたのか…台風で雨戸を閉めるタイミングで入ってきたのかもしれませんし、イタチも避難したかったのかもしれません。
また住み着かれることだけが心配でしたが、さすがにその時は猫もおり、イタチもまさに死ぬ思いをしたから懲りただろうと思ってましたが、後日屋外にある洗濯機の前でミーアキャットポーズをとっているのを見てしまいました。懲りてない…!
ちなみにイタチはそこから侵入したようで、猫も時々、窓越しに洗濯機のほうを見ていました。猫的にはよほど面白かったのでしょう、「あいつまた来ないかな」と言わんばかりに待っていましたが、もう二度と来てほしくありません。庭ならまだいいけど家の中はお互いリスクしかありません。
しかし、その後はイタチの侵入はありません。
私が子供のころはもっと田舎で近くにいそうなものが、家に入ってきたことも外で見かけたこともありませんでした。
チョウセンイタチは外来種で、もっともそこまで新しいものでもないのでしょうが、都市化に伴って生きられる場所が減ってきたので人家への侵入も目立ったのかもしれないと思うと、それはそれでかわいそうに思います。
もう家では会いたくないのと同時に、彼らが生きていける場所が広がってくれたらなあとも願っています。
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