平沢進と緑茶夢のこと 23.10.01

毎年9月はいろいろあるんですが、今年もご多分に漏れませんでした。
反省するところは反省しつつ、切り替えていこうと思います。
考えてみればここ二か月くらいは実に私らしくなかった。
多分悪い夢を見ていました。目が醒めた気分です。

とはいえ9月は悪いことばかりでもなく、平沢進のライブがありました。
私は大阪二日目に参加できたんですが至福のひとときでした。
それに伴って平沢関連のDVDやCDを新旧入り混じりつつ新規購入したのですが、その中の一枚P-MODEL時代の「PersPective」というアルバムを聴いていると、森脇真末味の「緑茶夢」という漫画を思い出しました。

森脇真末味は学生の頃に出会った作家ですが、「緑茶夢」は20代になってから読みました。80年代初頭の関西のインディーズバンドの人間模様を描いた作品です。
この漫画の主人公安部弘、16歳の作詞作曲もする天才ボーカリストという設定の少年のモデルは今になって振り返ると、読んだ当時は名前すら知らなかったのですが、若き日の平沢進だったのだと思います。
この弘が執着するのが他バンドからの助っ人、ドラマーの八角(やすみ)京介なのですが、P-MODEL時代、平沢進が片腕として絶大な信頼を寄せていたのが「田中靖美(たなかやすみ)」であることを考えると、このネーミングでわかる方には納得していただけるのではないかと思います。
なお作者からモデルであると明言されたわけではありませんが、作中にP-MODELのファーストアルバムのジャケットが描かれていたりするので意識されているのは間違いないと思います。

「PersPective」というアルバムは1982年発売のP-MODELの4枚目のアルバムですが、先述の田中靖美がこのアルバムを最後に脱退した事を思うと(正確には次作アルバムの直前)全体的に病んだ雰囲気と、ラストの曲の歌詞「行かないで行かないで」が無関係とは思えないのです。
ちなみに私はこのアルバムがとても好きです。病んだ雰囲気でありつつ全体的に魂の底から出たような音楽で、なんだかとても心を打たれます。
「四月の雨」という話の中で、弘が即興で歌う曲は「のこりギリギリ」のような曲だったのかもなあと、アルバムを聴いてて思いました。
どちらかをご存じの方は、興味がおありになれば併せてどうぞ。

ちなみに私が平沢進の名前を初めて聞いたのは1997年ごろ、バイト先で一緒だったオタク女子からおすすめされたのがはじめですが、本格的に聞き始めたのは2020年3月です。緑茶夢との共通点に気が付いたのは昨年くらいなのですが、心底運命を感じました。
それ以前にも、もし弘が今も音楽をやっていたら平沢進みたいになってたんじゃねとか考えた事もありましたが、別に根拠があったわけでもなかったので…。
ちなみに携帯の着信メロディが長州力の「パワーホール」だった時期もあり、そこにも運命を感じています。これも平沢進作だったなんてね…。

というわけで、いろいろ殺伐とした毎日でしたが、好きなものに心を寄せる時間を取れてちょっと一息つけました。
最近自分の好きな事って何だったっけ…と思いがちだったので、いい機会でした。
今夜はゆっくり「緑茶夢」を読み返そうと思います。
お付き合いくださった方ありがとうございました。

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