私と猫2~甘えん坊のかわいい子

これまでうちで飼ってきた動物に関しては楽しい思い出も多いのですが、今としてはどうかと思われるような事も多く読む人をもやもやさせそうだというのと、辛かったり今も悔やまれるような思い出がセットになるので何となく書けずにいたのですが、自分自身の気持ちの整理と、懺悔のような気持と、今のねこに繋がる歴史を振り返ろうというので書いてみています。

今のねこ以外は、飼い始めたのはもう30年ほど前の話になるので、今の常識とは違うものだと念頭に置いていただけると幸いです。
当時はフロントラインもなく、ノミにつかれたらシャンプーや櫛で地道にとるしかなかったりもしました。動物病院も今ほどたくさんなく、複雑な病気を見てくれるようなところも、少なくともうちの近所にはなかったのです。

最初に飼った猫は捨て猫でしたが、二匹目のねこも捨て猫でした。
最初のねこがきて一年ほどたったある日、家族が買い物に行った先の駐車場でねこを拾ったというのです。
最初のねこよりは月齢という意味でも個体差という意味でももう少し小さく、まだ目もちゃんとは明いていませんでした。
動物病院に連れて行ったところ、雌猫だということでした。
目は子猫独特のキトンブルーでしたが、成長してもきれいな青い目で、体もシャムのような色で柄がついているところはトラジマ、色的にシャム猫のようでしたが体形がどう見ても日本猫という愛嬌のある、人懐こく大変かわいい子猫でした。
なんでこんなかわいい子が捨てられたのだろうと疑問に思いつつ、これだけかわいければすぐ貰い手も見つかるだろうといずれ里子に出すことも念頭に入れて飼いはじめますが、捨てられた原因はすぐに判明しました。
トイレがダメな子だったのです。

段ボールに古い毛布を入れて寝床として整え、トイレ砂を入れたトレーを横に置くと、毛布におしっこをしてトイレで寝ているような子でした。
赤ちゃんだから不安なのかな、と人間の布団で一緒に寝ると必ず粗相をします。布団だけでなくソファやクッションに至るまで、次々とだめにされました。
これはかなり後に判明するのですが、この子はトイレ砂の手触りがダメだったようなのです。この頃は今のように砂の種類も多くなく、鉱物でできた固く冷たいものしかなかったのです。
トイレシートなどもなくはないもののかなり高価で、安価で出回り始めたころトイレをシート式に変えてみたところそこでするようになりました。もっと早く分かればなあ、とも思いましたが、分かっていたところで当時としてはどうしようもありません。

トイレで苦労はさせられましたが、それでもそれを補って余りある、見た目も性格も大変かわいらしく皆に愛された子でした。名前を呼べば「ニャーン」とかわいい声で返事してくれる、おとなしく触らせてくれてだっこもさせてくれて、ちょっとぼんやりしてあんまり頭は良くないけど愛嬌のある優しい子でした。
あと、今思えば目もあまりよくなかったのではないかと思います。
青い綺麗な目も、人間では光を強く感じたりもするようなので、しょっちゅうゴツゴツいろんなところに頭をぶつけていたのも、どんくさいからではなくもしかしたらよく見えていなかったのかもしれないなと。

この子が亡くなったのは、前の子が亡くなって約半年後でした。
前の子とこの子は兄弟同然に育ったのもあり仲が良く、前の子が窓を開けているそのうしろで待機して一緒に脱走したり息の合ったところも見せていました。
それだけに、前の子が急にいなくなって、この子としてはどこに行ったのかと毎日鳴いて探し回ります。人間としては前の子を死なせてしまった悲しみはもちろん、おにいちゃんを探し回るその姿があまりにも悲しくいたたまれませんでした。
現在一匹で飼っているねこも、それがあってほかにお迎えしていないのもあります。人間のエゴかもしれませんが、あんなに悲しい思いをさせたくないし、私たちもそれは同じだったのです。
そして徐々に元気を失い、ある日仕事から帰ってくると、後ろ足が立たなくなっていました。いきつけの病院では原因は分かりません。
とりあえず何かしらの薬をもらいますが、その夜血尿が出て、明け方に息絶えてしまいました。
享年10歳、おにいちゃんを追うように旅立ってしまいました。

病気の原因はよくわかりません。動脈瘤だったののかもしれませんし、何かしら病気を持っていたのかもしれません。
いずれにしても介護する時間すらなく亡くなった事により、その死を長く引きずることになりました。半年くらいは毎晩知らずに涙が出て、眠れない夜を過ごしました。
彼らより先に飼い始めた犬は健在でしたが、この数年後やはり後ろ足が立たなくなり寝たきりの介護を一年間する事になったのです。
フルタイムで働きつつの犬の介護はそれはもう大変でしたが、事故と病気による急死で愛猫を失った経験は、介護をしつつ看取れる事の幸せを教えてくれました。

12月に二匹目の子を亡くし、私にはもう生き物を飼う資格はない、犬を送ったらもう生き物は飼わないでおこうと思い、立ち直りかけていた翌年4月。大阪の友人から

「猫を拾った中学生と知り合った、どうしても貰い手がつかない一匹がいる」

という連絡がきました。
結果としてそれが現在うちにいる子なのですが、次回はそのお話です。

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