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和山やま『女の園の星』1~2巻

引っ越しを終えて約2ヶ月が経ちました。新しい賃貸アパートで日々の生活に大小さまざまな変化が訪れていますが、その中でも暮らしに最も変化があったのが「自動お湯はり機能」。めちゃくちゃ最高じゃないですか?

引っ越し前のアパートはお湯と水のハンドルをひねって調整する混合栓で、季節によって水温も給湯時間も変わるし、自分で蛇口閉める必要もあり本当に面倒でした。もう、あの頃には戻れない…。

"それが今やボタン一つで解決 まさに文明の恩恵に浴してる 感謝の一言それに尽きる"(U-zhaan & Ryuichi Sakamoto feat. 環ROY × 鎮座DOPENESS / 『エナジー風呂』)

プロパンだけどガス料金の請求を恐れず、毎日湯船にお湯をはっています。そして次に目論むは、退勤のタイミングに合わせて給湯を開始し、帰宅と同時にお湯はりが終わり、玄関で靴を脱ぐように即脱衣・即入浴の仕組みづくりです。調べたところSwitchBotを購入すればできそう。

マンガの備忘録を二冊。

■和山やま『女の園の星』1~2巻

note用ヘッダー画像作成_女の園の星(文中)

ある女子高、2年4組担任・星先生。生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、教室で犬のお世話をし、漫画家志望の生徒にアドバイス。時には同僚と飲みに行く…。な~んてことない日常が、なぜこんなにも笑えて愛おしいんでしょう!? どんな時もあなたを笑わせる未体験マンガ、お確かめあれ!(コミックス裏表紙より)

冒頭、『女の園の くだらないお話』と説明されるように、ある女子校(=女の園)の先生(=星先生)と生徒たちの「な〜んてことない日常」に起こる出来事の「すきま」に思わず笑わされる作品です。たまに声出して笑っちゃいます。

1話目の「生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとり」は、生徒の絵しりとりが読み解けず悩む星先生のエピソードであると同時に、作品世界をとてもよく表しているように思います。

星先生『本来 絵しりとりというものは 絵心のない人間の登場によって 必ず亀裂が生じるもの』〔…〕『だめだだめだ こんなお遊びに真剣に向き合う必要はない…』([1時間目]より)

つまり、絵しりとりとは、相手から不十分なメッセージを受け取り、次の相手に読み解かれることを期待して不十分なメッセージを送るお遊び。そのような、亀裂の入りやすいコミュニケーション。その為、しばしば勘違い(作中の「放心状態」)のまま進行することもあります。

さらに、星先生は脆いコミュニケーションの「傍観者」であり、輪の中に入っていくことはしません。会話の断片を拾い、前後の文脈から推察し、自分なりの解釈を繰り返す。読み解けない絵が何を意味するのか?「布袋」「本当の布袋」「哺乳類」…。どれも間違い、勘違い。「すきま」に当てはまるのは別の言葉。しかしながら、その誤読こそが笑えて面白い。

私は学生時代、教師を人間だとは思っていませんでした。悪い意味ではなく、「教師は教師」でしかありませんでした。しかし、たまに職員室に入れば、普段教室ではほとんど笑顔を見せない先生が他の先生と笑いながら喋ったりしてるのです。「あ、この人笑うんだ」と、人間なので当たり前のことですが、生徒が普段見ることができない先生の顔に、ドキッとしたりしたものです。(「特集放送直前!『女の園の星』和山やま先生スペシャルインタビュー」より)

一般的に先生は生徒を「見る存在」です。それを読者は先生を「見る存在」として、職員室や学校外での先生を眺める「傍観者」になることができる。当たり前のことに「ドキッ」とする感覚。そしてまた、読者自身も星先生のことを読み間違えていることに気付き、そのギャップに再び笑わされます。

2巻の[9時間目]、「小林先生のペタリスト」面白すぎませんか? 次巻の発売が待ち遠しいです。

おわり

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