水槽がおかしくなった原因
金魚の病気から始まって、熱帯魚の水槽に黒ゴケの大増殖、エビや貝の姿が見えなくなり、アオミドロ(糸状ゴケ)の大量発生、魚の転覆病と続いた水槽の異常も漸く治まり、ここで一度振り返って原因を考えてみたいと思う。
■水槽のこと
うちには水槽が2つあって、 45cm に金魚2匹と 60cm に熱帯魚を飼っている。
最初は子供が夜店で掬ってきた金魚のために小さな水槽を買い、その金魚が大きくなってきたのとアクアリウムをやってみたかったので 60cm 水槽を増やした。
ところが水槽に水草を植えて金魚を入れると、ものの数日で水草が全部抜かれ、植え直しても植え直しても次の日には水草が水面に漂っている。
重りを付けても石で押さえても数日も持たず、ほとほと嫌気が差して、45cm の水槽をもう一つ増やして金魚を移動させた。
そして 60cm 水槽の方は水草を植え直し、金魚のタンクメイトとして買ったオトシンクルスとドジョウ、そして追加でカージナルテトラとレッドファントムテトラをいれた。
■濾過器のこと
60cm 水槽の濾過器は、最初から上部フィルタが付属。
45cm 水槽の濾過器は、最初は投げ込み式を使っていたけど、手入れの面倒さと能力不足を感じて上部フィルタに変更し、それでも不足を感じたので、底面フィルタを追加した。
どちらの水槽もそれで十分に水は綺麗だったんだけど、ある時から、金魚側がちょっとおかしくなり始める。
まずは、コケ掃除屋として入れたマルタニシが全滅。
次に、今までは2〜3週間程度持っていた上部フィルタのウールマットが短期間(数日)で目詰まりする様になり、ウールマットの掃除後にポンプのスイッチを入れると、白く濁った水がドバッと出始めた。
また熱帯魚側は、逆にウールマットがほとんど汚れなくなってきて、こちらも掃除後にポンプのスイッチを入れると、白く濁った水が出てくる。
加えて、黒ゴケが酷く繁殖し始め、今まで沢山いたラムジーライムシュリンプたちの姿が見えなくなった。
そのうちに糸状ゴケ(アオミドロ)があちこちで糸を引くのが目立つ様になり、魚が1,2匹、じっと動かなかったり斜めになって泳いでいたりし始めた。
金魚側はマットの掃除と水替えを頻繁にしたり、ウールマットを新品に交換したりしたけど、状況は変わらず。熱帯魚の方は、逆にウールマットの掃除は控え、水替えを多めにしたりしたけど、状況は好転せず。
そうこうしているうちに、金魚が病気(赤斑病)になってしまった。
■「バクテリア」という「呪(しゅ)」に縛られる
最初に言おう。水槽がおかしくなった原因は、水質悪化。
そして水質汚染の原因は、上部フィルター内の汚れと、底砂の汚れ。
治療のために金魚をバケツで塩浴させている間に水槽と上部フィルタの装置を洗ったんだけど、装置本体からは白い汚れがいくらでも出てくるし、底砂はもう、洗っても洗っても水が真っ黒になり、餌の食べ残しやフンがどんどん出てきてキリが無い。
でもどうして?
水の汚れは濾過器のスポンジマットで漉され、ウールマットや濾材に繁殖したバクテリアが分解してくれるんじゃ無いの。特に底面フィルターは底砂が広面積のフィルタとなって、繁殖したバクテリアによって効率よく水を綺麗にしてくれるんじゃ無いの。
フィルタ掃除はバクテリアを殺さない様に気をつけて、優しく丁寧に、底砂も下手に掃除するとバクテリアを殺すという話じゃ無かったの。
ここがね、自分自身が「バクテリアの繁殖」という言葉の「呪」に掛かっていたところだと思う。
金魚を飼うに当たってネットで色々調べたけど、どこを見ても必ず出てくるのが、「生物濾過」という呪文。
バクテリアを繁殖させて生物濾過を行う。その為にはバクテリアが繁殖する濾材やウールマットは水槽の水で軽くすすぐだけにしろ、水も一度に多く換えるな等々。
自分もそれに従ってメンテしてたんだけど、ずっと引っかかってる事が一つあった。
それは、ウールマットを綺麗にもみ洗いしてセットしても、早ければ数日、遅くとも1週間程度でドロドロ状態(俗に言う、バクテリアが繁殖した状態)になっていた事。
特に金魚水槽だと、新品のマットに変えても直ぐに目詰まりするぐらいにドロドロになっていた。
ええっと、綺麗に掃除しすぎるとバクテリアが死滅するんじゃ無かったの?
■バクテリアは繁殖「させる」んじゃなく、繁殖「する」
ハッキリ言おう。殺菌してるんじゃ無い限り、バクテリアなんていくらでも増える。
濾過でまず大事なのは、バクテリアによる生物濾過じゃ無く、食べ残しやフン等の汚れを漉しとる物理濾過。生物濾過は、物理濾過のその先にある。
今回失敗したのは、ウールマットや多孔質濾材、底砂についたバクテリアが食べ残しやフンまで分解して綺麗にしてくれると信じて、バクテリアを減らさない様、フィルタ内部や底砂をガサガサ洗う事を控えないといけないんだと思い込んでいた事。
でも、バクテリアにも処理能力の限界がある。限界を超えた汚れは底砂やフィルタ本体内に残り、どんどん溜まっていく。
また、バクテリアの「分解」とは人間に都合のいい結果を生む場合の話であって、「腐敗」もバクテリアの活動の結果だ。
バクテリアを大事に考えすぎて掃除が不足して、バクテリアが完全に分解できる以上の食べ残しやフンが蓄積し、水が腐った状態になったんだな。
ことわざで言う、「角を矯めて牛を殺す」って奴。
■金魚水槽はリセット
金魚水槽は、水槽と濾過器、底砂を徹底的に洗った。要はリセットした。
でも、水槽のリセット時によく起きる白濁りが中々収まらない。
ネットで調べると、これまたほとんどがバクテリア説で、バクテリアが繁殖し始めたら白濁りは消えるとか、白濁りは死んだバクテリアが原因だとか言うんだけど、長い時間が経てば濁りは薄くなるし、エサをあげた時には濃くなるし。バクテリア云々じゃ無く、これは単に濾過器が細かい汚れを漉し切れてないだけなんじゃ無いかと推測。
ならば濾過能力を上げようと、試しに中古の外部フィルタ(コトブキパワーボックスSV5500)を買ってみた。
効果てきめん。やっぱり濾過マットの上から水を掛けるだけの上部フィルタよりも、ポンプの力で強制的に濾材に水を通す外部フィルタの方が処理能力が上だ。
ただ、それでも完全には白濁りが無くならないので、試しにメーカー指定に準拠した「荒目スポンジ→細目ウールマット→活性炭、リング濾材」というフィルタの順序を、「リング濾材→荒目スポンジ→バイオボール→細目ウール」という、目の粗い素材から細かい素材の順に並び替えてみたら、これがバッチリ当たりで、見事に白濁りが取れて水が澄み始めた。
やはりバクテリア云々を考えるよりも、純粋に、効率的にゴミを除去するにはどうするかを考えた方が良い。
■熱帯魚水槽は大掃除
熱帯魚水槽の方は、魚を全て出して水槽をリセットするのはあまりにも大変なので、プロホースという底砂を掃除する器具を使ってとことん掃除した。
ガラス面にこびり付いた黒ゴケはスクレーパーで剥ぎ落とし、コケに塗れてボロボロになった水草は抜いて新しい苗を植え、ウィローモスも黒ゴケにやられてない部分を使って巻き直した。
そして、濾過能力を上げるためと、水流を作り出すために、外部フィルター(エーハイム2213)を導入。
効果は絶大で、アオミドロの発生は完全に治まり、じっとしていたり転覆していた魚も全て元気に泳ぎ回る様になり、生き残っていたエビも顔を見せる様になった。
■まとめの様なもの
今回の件で学んだのは、やっぱり
濾過の基本は物理的なゴミを綺麗に取り除く事である。
と言う事だな。
そして、結局
十分な能力を持った濾過器を使って食べ残しやフンなどのゴミを完全に除去する。
底砂や水草に溜まった汚れも落とし、水槽内に汚れを残さない。
魚が疲れない程度の弱い水流を作って、水槽の隅々にまで新鮮な水を行き渡らせる。
物理濾過では取れない、水に溶け込んだ汚れを取るために、定期的に水を替える。
といった、水槽管理の基本の基本に辿り着いただけだった様な気もするね。
ああ、生き物を飼うのは難しい....。