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【就活】化学メーカーの中の人への疑似OB訪問~DMへの質問回答まとめ~(2020/04/29)

こんにちは、Ridです。

コロナ自粛で時間があるので、今回は定期マガジンとは別に、今までTwitterのDMに頂いた質問と、それに対する私の回答を纏めていきたいと思います。

もちろん、個人が特定されてしまうような質問はカットさせて頂きますので、今までご質問頂いた方もご安心ください。そこは厳守。

ご質問を頂いた方ならご存知かと思いますが、私の回答は基本的にはマジレス長文です。

こちらとしては真面目に返しているつもりですが、たまに聞くだけ聞いて既読スルーみたいな人もたまにいます。笑

少し残念ですが、言って欲しい言葉が返ってこず、がっかりされてしまうのかもしれません。全員に好かれるのは無理なので、仕方ないですね。

今回読んでいるアナタも、

「は?意味わからないんだけど・・・」

と思う回答内容もあるかもしれません。

ただ、あくまでも私の意見になりますので、そういう部分は華麗にスルーして頂けると幸いです。


あらかじめ、この言葉を贈ります。


「百に一つの真実を見極めよ。」


-四季報の使い方を教えてください

就職四季報ですが、これは大きく分けて3つの視点で熟読します。

①どんな会社があるのか。どんな企業なのか。
②自分の内定確率はどのくらいか。難易度はどのくらいか。
③自分にとってのホワイト企業か。

ここから派生して、それぞれ見るポイントを挙げていきます。

①の優先チェックポイント
・特色
・記者評価
・今後力を入れる事業
②の優先チェックポイント
・採用人数
・採用大学。学歴フィルターがおおよそ分かる。
・倍率
・選考プロセス
・選考ポイント。似たようなことが書かれているが、多数比較してみると微妙に異なる。
・そもそもNAが多くないか。NA=答えたくない=マイナスの情報
③の優先チェックポイント
・3年後離職率。ここが一桁なら、まず自分も辞めないはず(当時のRid)
・ボーナス
・業績
・NAの数

③に関しては自分の許容値があると思うので、人によって見るポイントは変わります。

①と②は客観的事実で、「自分の内定確率の角度」がおおよそ掴めるはずです。

私は、そこまでスペックの高くない学生に向けてメインで呟いていますが、学歴で不利を取る方は、採用実績校の欄に同ランクの大学が無ければ受かる可能性はかなり低いです。

また、出来れば就職四季報は数年分手に入れて比較した方が良いと思います。

私は3年分の四季報の数字を見比べて、受ける企業を選定していました。

受かりそうもないところばかり受けるのは時間の浪費ですからね。

あとは「大学初かどうか」も大事ですが、これは四季報よりも大学内の過去実績を見に行った方が良いです。

複数冊比較というのは、就職四季報は年に1冊しか販売されないので、複数年という意味です。

先輩から貰うか、転売、古本屋などでゲットしましょう。


-自己分析は何から始めれば良いですか?

自己分析ですが、私は一般的に言われている自己分析には否定的です。

やるならまずは、自分史を作りましょう。

そこから、使えるテーマを3つ拾います。

基本的には大学時代の経験で、1つは学業のガクチカを含めましょう。

ので、あと2つを自分史から探します。

世間で言われている自己分析をするなら、スペックが高いのが前提です。


-恋愛をテーマに自己PRしても良いでしょうか?

恋愛というテーマで話すなら、伝え方次第ですが、職業柄、お堅いBtoBやエネルギー、インフラ系ではあまり響かない可能性があります。

響くとすれば、革新的な業界。ITや人材、メガベンチャーなどかなと思います。

恋愛エピソードから「仕事においても成果をあげられる再現性が見えるか」見えなければ、単なる独りよがりです。

例えば、メンタルを鍛える為に100人にナンパし、最初はからっきし駄目だったが、少しずつ食事やカラオケに持ち込めるまで成長した、というような話が出来れば、PDCAを回す能力があることが分かり、採用側としても、「この子は仕事で使える、特に飛込み営業なんかに向いているな!」と判断出来るかもしれません。

但し、この手のエピソードが刺さるのは、お堅い伝統的な日系企業ではないと思います。


-現時点での志望業界以外に興味が湧かないのですが、業界は絞っちゃマズイですか?

業界を絞る絞らないは、その人のスペックに依存します。

Fランだけど大手に行きたい、早稲田だけどGPA1.4でノンゼミノンサーだけどとにかく大手に行きたい。

こんな人であれば、業界絞るという贅沢なことは言ってられなくないですか?という話です。

興味が持てないのは、知らないからです。

また、興味がある業界でも、仕事については分からないんですから、その想いに拘るのは、あまり意味が無いと思っています。


-志望動機では人があまり着目していない新規事業や製品などを褒めれば良いのですか?

人が着目しないマイナー一面=新規事業や製品を褒めても、それが相手の心に響かなかったら何の意味もありません。

例えば、好きな女性に、

「見た目がタイプなんです!!!」

と言っても、普通に引かれるかもしれません。

「◯◯さんはホットヨガが流行る前からヨガを始めてて、その結果今の美しいルックスがあると思います。そういう先見性と努力を継続できる姿に惹かれました」

と言った方が、

「でしょう?私、流行の先端行ってるよね!」

と喜んでくれる人もいます。

美女ほど単なる見た目よりも、内面を褒めてもらった方が嬉しいですよね?

ただ、どうでも良い内面を褒めても、心には響きません。

たまに、売れてない部署の製品を褒める就活生がいますが、社員からしてみれば「あー、何も分かってないな」と思うだけです。


-以下に挙げる化学メーカーに対する不安について、実際はどうですか?

【不安事項】
•化学メーカーの年収が高いと言われるのは近年でスマホ等の市場が拡大したからであって今後は下がると予想される。
•営業職に関して、BtoCメーカーよりBtoBメーカーの方がホワイトだとよく聞きます。ですが、インターンに参加した企業の参加者からの噂によると取引先の企業の方との会食が頻繁に行われる等で自由時間がない。
•総合職でも勤務地が田舎である可能性が大いにある。

・化学メーカーの年収は言われているほど高いとは言えません。そこそこです。お荷物社員が異常に多いので固定費のムダが多く、その足かせで福利厚生はそこまで良いとは思いません。メーカーの中ではマシな方かもですが。

・化学メーカーの売上高が軒並み4000億以上、1兆超え企業もあり、そこそこの年収なのは、確かにFPD(フラットパネルディスプレイ)と半導体チップの市場の恩恵が大きいです。

・FPDと半導体であるが、業界景気は乱高下しながらも、しばらく成長は続きます。極端なこと言えばドラえもんやPSYCHO-PASSのような世界に向かっている途中だからです。

・代理店営業なら会食はあります。一方で私は新規の役割を与えられています。商談相手はメーカーの設計、開発の方。その為、2019年の会食の数は0回でした。

・川上の製品担当であれば、代理店営業なので会食はあるものの、そもそも取引数が少ないので、月に数回あるかないかだと思います。川中なら月一回以上はあるイメージです。

・事務系総合職でも、間接部門は工場勤務を必ず経験します。営業は基本主要都市ですね。


-提案型営業を通して、社会的意義という面での大きさ(人の生活に無くてはならないもの)と新しさ、を兼ねた製品を作りたいなと考えているのですが、達成可能なのでしょうか?

社会的意義、と言われてしまうと何ともお答えが難しいです。

人の生活に無くてはならないもの、と言うと、すでに売れている製品はどれも「無くてはならないもの」です。

ねじ一本ですら、無くてはならないものなのですが、「社会的意義の大きさ」をどう定義されていますか?

新しさ、というのも千差万別で、どう定義していますか?

例えば、先ほどのネジだって、今まで使われていないプラスチックのネジを作れば、「新しいモノ」になります。


-提案型営業をする際に、実際に起こりやすい間違いや、こんな能力が求められるなどありましたら教えて下さい

提案型営業ですが、そもそも提案型営業とは何か?を間違ってしまうと、全然成果が出ません。

提案型営業で組織として成功しているのはキーエンスなので、似たような働き方が出来るかどうかは大切です。

提案型営業は、「お客さんの課題や困り事」を探すところから始まります。

この時、

「何か困っていませんか?」

と聞いても何も出てこないことは大半なので、

お客さんのことをよくよく勉強し、

「◯◯こんなことで困っていませんか?」

とこちらから気付かせてあげることが必要です。

つまり、相手のことをよく勉強しなければなりません。

だからこそ、私は一見すると関係の無い半導体業界などの他の製造業についてもそれなりに詳しいという事情があります。

トーク力や仕事の進め方なども大事ですが、お客さんのことを知ろうとする好奇心や勉強熱心さはマストだと思います。


-学閥について、以下の質問回答をお願いします

【学閥について】
・化学メーカーは学閥の強いイメージがあるのですが、実際、出身大学がどのような影響を与えるのでしょうか(僻地に飛ばされる、昇進できない等)
・「有名大学出身でない場合、学閥色の強い化学メーカーだと配属希望が通らない」という噂は本当ですか

学閥は基本的には関係ないです。

ただ、所属組織は多少は影響されることもあります。

やはり商売なので、「誰と仕事したいか」は何だかんだみんな考えています。

偉い人が「アイツ欲しい!」と言えば、引っ張ってもらうことも無くはないです。同じ大学の後輩で気に入られていれば、鶴の一声でその人の部署に配属になる可能性もゼロではありません。

ただ、基本的には学閥は関係ありません。人柄や実力の方がよっぽど関係あります。


-川上系では新規営業が少ない気がするが、この理由は何でしょうか?

これは、「新規の見込み客が少ないから」、そして「特定顧客向けだけでも十分なほど規模が大き過ぎるから」だと思います。

川上系の営業マンは営業ではなく、事業管理責任者と呼ぶのが適切かもしれません。

自分の原料が最終的に、どこにどう使われているのかが分からず、ユーザーの課題が分からないことも多いです。

課題とはニーズなので、ニーズが分からなければ、既存の売れていた製品をひたすら儲かるように売るしかなく、それで成り立っているので、今のところ新規をやる必要性が無いということになっています。

ホワイトたる所以です。

また、規模が大き過ぎるので、設備投資の額も半端じゃないです。

従って、小さい顧客ニーズなどにはそう簡単に応えられないという事情もあります。


-今後期待出来そうなメーカーはどこですか?

これは「世界で何が必要か?」ということを考える必要があります。
世界の問題には、

・水不足
・食糧不足
・人口増加
・高齢化
・交通渋滞
・地球温暖化、省エネ、環境破壊
・エネルギー不足


こういう問題がありますので、こういった問題を解決出来る方向性のビジネスをしている会社は、伸びるでしょう。

5G、IoTバブルもあるので、半導体業界に強い会社であったり、自動運転によるモビリティ革命も起きているので、乗り物系に対するビジネスをやってる会社も伸びます。

但し、競合との兼ね合いもあるので、どこがと言われると、具体的には何ともお答えしづらいところです。

まあ、再生可能エネルギー分野は個人的にはオススメ業界ですね。


-化学メーカーの志望動機ですが、これどう思いますか?

私は今までの人生で『誰かのために』をもとに、多くの人に貢献してきたと考えています。社会人になってもこの想いを大切にしていきたいです。今までは小さなコミュニティの中での貢献をしてきました。就職を機により大きな社会、地球に貢献するような大規模な貢献をしたいと思いました。その中で化学業界は、幅広い事業に関わることができかつ、社会基盤を支える存在意義の高さに魅力を感じ志望するようになりました。

この動機ですと、

「それ、鉄鋼メーカーとかじゃダメ?石油企業じゃダメ?インフラメーカーじゃダメ?」

色んな突っ込みが出来ますね。面接で必ず深掘りされます。


【それに対する追加メッセージ】
そうですよね。私が考えている化学の志望理由が
①社会貢献
②安定性
③雰囲気
④社会に不可欠
⑤若手の裁量が大きい
です!
けど、絶対に化学である理由が説明できなくて・・・。
マネはしないのでridさんの化学業界である理由を教えてもらうことはできないでしょうか。

①〜⑤どれも化学業界である必要は無いですね。面接でかなり突っ込まれると思います。

絶対に化学である理由が説明できないと自覚されてる以上、面接官も「うちの会社が取る必要は無いな」と判断すると思いますよ!

私の当時の志望動機は、

①メーカーが良い理由
②その中でも化学業界が良い理由
③さらにその中でも御社が良い理由

自分のエピソードとそこから得た経験、価値観にリンクさせて、①から順に絞り込むように話していました!


-文系総合職の勤務地はどう決まりますか?

これは年度によって変わります。そもそも新卒の配属枠は、各部署が「欲しい」と手を挙げるところから始まります。

つまり、人が足りない部署です。

これは定年退職、若手の退職、売上増加に伴う人員増、など不特定多数の要因があります。

私の時は、文系の約30%が工場勤務でした。

私含めた残りは、本社やグループ会社のビル(もちろんグループ会社に出向もある)でした。

逆に、その年全員が本社勤務になる年もあります。

そういう年は、管理部門の募集がなく、全員が営業配属の年ですね。

基本、工場勤務になるのは間接部門です。経理や人事なら工場勤務はマストです。営業なら基本は主要都市ですね。


-今回の原油暴落に関する以下の質問の回答をお願いします

今回の油価暴落は、総合化学メーカーの業績にどのような影響を与えるのでしょうか?調達コストが下がるため、化学メーカーにとっては追い風なのでは?と個人的には考えているですが、、、

結論「石油化学系の川上の部門が赤字になります

調達コストよりも、Exit先が大事で、今回の原油価格下落は、供給過多、しかも油の需要が無いという中での相対的供給過多です。

先々週、2000万バレルの減産合意がありましたが、需要はなんと2400万バレル減です。

しかも各国の在庫はもうパンパン。

そんなわけで、調達コストがいくら安くなろうが、世界経済の需要サイドは大失速していて、今までの規模での売り先がないので、化学メーカーの川上部門は赤字を垂れ流すと思います。


【追加質問】
「Exit先が大事」ということであれば、モノの消費が停滞している今は、石油化学系の川上原料だけでなく他の素材(MMAや炭素など)、機能商品も軒並み同程度に赤字になると思うのですが、特に川上部門が大赤字になる理由を教えて頂きたいです!

MMAや炭素は、個人的には機能商品だとは思いません。笑

これも十分に川上の製品で、もちろん大幅減収だと思います。

モノの需要が落ちた時に打撃を喰らうのは「規模の経済」を武器に、多売しているビジネスです。

原油、触媒、原料やペレットなんかはこれに該当します。

この手の商売は、大量生産することで固定費が薄まりますから、需要が減ると強烈なダメージを受けます。


-日本の化学メーカーが生き残って行くのは難しいのでしょうか?

化学業界の展望としては、「他のメーカーに比べたら比較的」安定ですが、他業界同様、リストラの波が押し寄せると思います。

その根拠は、中国が大規模設備投資を行い、最新の設備で色んなモノを生産しているからです。もはや技術力=日本独自のものでは無くなってきています。

化学製品も同様で、技術的にハードルが高くないものは、中国にシェアを取られる可能性があるからです。

また、日本はあまりにも現場の人手不足で、どんどん自動化が進みます。
すると、必然的にどの職種も無駄をカットされることになり、特に間接部門が減らされます。

また、化学業界の営業は、基本的に「引合い」を前提としたルート営業(御用聞き)ばかりなので、新規提案型営業ができない低レベル営業マンが多いです。(但し、専門商社や自動車メーカーなどの営業よりかは、化学や物理の知識があるだけマシかもしれません。)

今後、AIが普及してきた時に、新規提案型営業ができない営業マンはリストラや減給の対象になりやすく、だからこそ不断の勉強が必要になります。
逆に、知識と経験が豊富な営業マンは、社内で重宝される実力主義時代がすぐそこまで迫っています。

それと日本の化学業界はすでに世界に進出しており、まだしばらくはそこそこのレベルで世界と戦っていけると思います。化学業界は日経の中では世界で競争力がある方ですので。


-素材メーカーの海外展開について、どのように考えていらっしゃいますか?

素材メーカーの海外展開ですが、基本的には追い風です。

特に樹脂やCFRPなどのコンポジット材、セルロースナノファイバーのような新素材分野は、鉄という既存の材質からの置き換え(=奪う側)なので、追い風です。

新興国への進出も必要で、これから製造業に力を入れて経済発展させようとする国が出てきた時にはフォロー対象です。

インドなんかは中国みたいに世界の工場になりたいと言ってるみたいです。

化学、素材メーカーは結構どの部署も海外展開が進んでいるので、みんな海外と何らかの接点がある環境でビジネスしてると思いますよ!


-転職について、以下の質問回答をお願いします

・化学メーカーから転職する先はどの業界が多いですか
・逆に、転職して化学メーカーに来られた方は、どの業界出身が多いですか
・化学メーカーは離職率が低いイメージがありますが、転職される方は何を理由に転職されたのでしょうか

転職先は同じ化学業界が多い印象ですね。

または、他のBtoBメーカーが大半です。

転職して来る人も同様で、製造業って全てが繋がっているんだなあと実感します。

ちなみに私は新卒時代に辞退したものの第二新卒で転職活動した経験があり、リク〇ートキャリアの総合職は内定貰えましたが、IT系はそこそこ落とされました。

基本、BtoBメーカーじゃないとキャリアアップは難しいと思います。それかコンサルですね。


-転職について、以下の質問回答をお願いします:Part2

転職は多いか。
転職先としてどこがメジャーか。業界内転職もありますか?
転職前後である程度商材が一致している必要があるのでしょうか。

BtoBで理系分野の化学業界は、YouTubeやアフィリエイトなどと異なり、学の無い人には参入しにくい領域なので、安定感という意味ではまだマシな方かもしれません。(但し、中国などアジア人が異常に賢くなってきているのが危険要因ですね)

物凄く悪化する可能性はもちろんあります。

結局ビジネスとは、陣取り合戦のトレードオフなので、「何かに置き換えられる」モノがヤバイのです。

置き換えられてしまう理由は、先程の環境問題だとか省エネ、省力化などです。

例えば鉄の業界は今やばくて、化学業界のプラスチックに置き換えられてしまう奪われる側の商材だからです。(軽くて強い炭素繊維は追い風。軽い=省エネ)

プラスチックでさえ、環境問題の懸念から置き換えられ始めています。


転職は多くも少なくも無いのかなと思います。

私の周りの営業の先輩の転職先だと、公務員、同業他社、機械メーカー、化学業界の中の川中→川上の移動などです。

1番多いのは化学業界内転職だと思います。

新規提案型営業をしていた人なら、商材はあまり関係ないですね。何故なら、取引先の業界やものづくり全般に詳しいからです。

担当部署、製品以外の知識が乏しい人は、同一商材や同一業界内で動くしかありません。


-以下の企業ついて何か見解があれば聞かせてください

【日東D工】
・あまりゆったりした雰囲気は感じられず、意外と激務なのではと感じた。
・テープと偏光板が大きな収入源なので、有機ELに変わっていくと偏光板の売り上げが低迷するのではないか。
・社長さんへのインタビュー記事によると、折り曲げ型スマホのような物が出るとしたら接着面が増えるのでその分テープの需要が増えるから大丈夫だと言うことを言っておられました。ですが、正直なところ将来性は怪しい。

確かに私もN電工は結構ハードワークなイメージがあります。笑

製品は、テープというか接着剤がとても優秀です。

稼ぎ頭の偏光板は確かに有機ELで使用数が減りますし、同社も特許販売で身を削っていますので、そのうち規模は縮小せざるを得ないかもしれませんが、技術力があるので、稼げる市場を探してまた何とかやっていくんだと思います。


余談ですが、折り畳み式スマホはそこまで流行らないと思っています。

大画面モニターや湾曲モニターは普及すると思いますので、接着剤のニーズは増えるかもしれません。

液晶は何だかんだ優秀なので0にはならないかと。

なので、規模は縮小しても、他にもニッチトップ製品を多数抱えていることもあり、潰れることは無い優良企業という判断です。


【京○ラ】
京○ラに関しては、製品も幅広いので将来性はまだそこそこにあると思っています。ですが、業務の割に年収が低いのではないか。

Kセラは日系企業特有の色々な無駄なこともやっていますが、セラミックスに限って言えば今後も安泰な位置にいると思います。

携帯電話時代の名残なのかやたらと従業員数が多いので、リストラの可能性はあると思います。

素材系は日本は全体的に頑張れている方なので、長期目線で身を置いておくにはアリな会社だと思いますよ。


-格上格下みたいな序列は業界内に存在しますか?

化学業界は売上高4,000〜5,000億円企業が乱立していて、しかもどの企業も微妙に違う製品を主力に据えているので、実に多様性のある業界です。

格上格下を、四季報の年収で判断したいものの、売上高が年収の上下と逆だったりするので、判断が難しいといったところでは無いでしょうか?

そういう意味合いから考えますと、化学業界で「大手」として存在感があるのは、以下の企業かなと思います。

【最大手】
信越化学、三菱ケミカル、住友化学、三井化学、東レ、旭化成、積水化学【大手】
帝人(優良)、昭和電工、三菱ガス化学(優良)、JSR (優良)、クラレ(超優良)、宇部興産、東ソー、SUMCO (優良)、カネカ

これは私の主観に過ぎませんが、無理やり優劣や格上格下を付けるとするなら、やはり売上規模で区分けしたくなりますね。ただ、大手+記載漏れした数千億円企業の中には、最大手よりも将来性のある企業は沢山あるとも思っています。

見栄を張るなら最大手、現実に将来を見据えるならクラレなどの一位製品を大量に抱えている企業でしょう。

四季報の年収は、ボーナスによって左右されるので、今1000万円超えの企業は、今後没落する可能性だって有り得ます。

化学業界で伸びるとするなら、炭素繊維や半導体向け材料など、素材分野でしょう。

個人的には、石油化学や有機化学系の大規模プラントでドバッと販売するスタイルの会社は、若干怪しさを感じています。(財閥系は選択と集中に迫られている過渡期かもしれませんね。)


【追加質問】
売上でいうと、日東電工、DIC、大陽日酸、あたりも売上では劣っていませんが、外れた理由は何かありますか?

忘れてました。笑

確かに、大手集団にいますね。T陽日酸はM菱ケミHDの中にいるので、M菱ケミ軍団の括りで良いかなと思って省きました。

財務諸表を見てないので分かりませんが、S越化学はシリコンウエハーと塩ビ原料の二軸であり、特にドバッと売っている塩ビ原料は、そもそも塩ビが将来性に疑問符を付けられることがある(例えば、レジ袋は昔はビニール袋だったのが、燃やした時のダイオキシンの環境問題で、今はポリ袋になった。塩ビ→PP)ので、リスク管理の為に内部留保に回してるのかなと想像しています。

堅い会社ですね。

とまあ、どこが一位なのか人によって意見が変わりますが、これはもはや投資の世界でして、どこが伸びるか分かってたら今頃みんな億万長者というワケです。

故に、長期の話はあまり意味がありません。(人生も同じ)

分かるとすれば、短期的には半導体業界がもう一度盛り上がる日が確実に来るので、その時にはS越化学やJ○R、T京応化辺りの半導体業界に強い製品を持っている企業業績が爆上げ、ということくらいですね。

中長期で分かる話とするならば、世界的人口増加、先進国の少子高齢化、エネルギー不足、食糧不足、水不足、医療不足、地球温暖化・環境問題、この辺を解決するビジネスに力を入れている企業が、将来性あると言えますが、これはあくまでも方向性の話であって、「じゃあどの企業が?」というのは分かりません。

新規ビジネスはなかなか成功しないので、既存の中から精査するしか無いでしょう。

まあですから、将来性と言うことになるともはやご自身の投資センスの問題で、「えいや!」の世界になります。笑


-この化学メーカーに対する見解を教えてください

>あくまでも私個人の見解であり、事実とは異なる場合がございますのでその点はご了承ください。(と念要りに聞いてから回答しています)


M井化学ですが、売上高1兆あるうち、基盤素材分野が7割近く占めていますね。

しかも石化ライセンス収入以外はどれも汎用品分野で、「規模の経済」だからこそ競争力が付く分野です。

今は原油は需要が無く、供給過多で値下がりし続けているので、石油化学分野は収益がかなり凹むと思います。

また、汎用品分野は川上の最上位である資源国の方がコストメリットが出るので、非資源国の日本は不利です。

だからこそ三菱も住友も、基礎化学系から川中寄りの高機能分野にシフト中です。

肝心の機能性分野ですと、自動車用のエラストマーやPPコンパウンド、不織布を推していますよね。

自動車向けはトヨタだけでなく米国もシェアを抑えているのはリスクヘッジ的に強みですが、自動車分野は競争が激しいので、今後どうなるかはあまり予想が付きません。

PP関連は、一番頑張りたい素材分野ですが・・・。

軽量化ニーズはCFRPが主役の中で、どう用途開拓するか、これって結構大変です。まあ私は詳しい技術を知らないので、今後化ける可能性もあります。分野としては追い風領域なので。

不織布は、中国でもマスク作れるように、技術的には簡単です。機能を付与したオムツ業界でどれだけ売れるかなんですが、オムツ分野はレベルの高い日系がどんどん参入しているので、こちらもどうなるか分かりません。

社員に対するイメージですが、やはり三井らしく、個人は粒揃いだと思いますので、何だかんだ今後も今の位置をキープしていくのかなと思ってます。


おわりに

定期的に色々な方からDMを頂きますが、そのとき思ったことをバンバン書いているので、よくよく考えると論理に穴があるかもしれません。

あくまでも当方の意見に過ぎませんので、参考になると思う部分だけ参考にしてください。

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