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草むしりにはバッハ、最終的にシャコンヌ聴き比べにハマった話

もう4月かしらというくらいヌクヌクだった日、帰宅したら家族が今日は草むしりをしたよ、という。え?もう草生えてるの?

そういえば昨年、職場の都合で4月中旬くらいからGWすぎまで長期休暇となり、そのまま緊急事態宣言も出たから私は大人しくホームにステイし続けたけど、延々と草むしりをしていた。毎年、畑エリアでは夏になるとどこに野菜があるかわからないくらいに草原と化し、冬になれば一面茶色になるのを繰り返し見ていたので、草むしりという作業がなんのやり甲斐も達成感も生まないと分かっていて、やろうと思った。

まずは庭エリアから。ここは家のWi-Fiエリア内なので、音楽を流しながらやれる。ユーチューブでクラシック音源から再生していたけれど、バッハの曲が私には気持ち良かった。ゴールドベルク変奏曲や平均律クラヴィーア曲集あたりを流しながら作業をしていると、ほどよく無になれた。これがショパンなどになると、何かが違う。感情が刺激されるというか、演奏者のパッションがやかましく感じるというか。

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次々にバッハの曲を聴いていくうちに、ヴァイオリンの音色こそ草むしりに至幸、と思うようになった。特に、シャコンヌと呼ばれる「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の第二番はこの時期、寝る前にもよく聴くようになった。いくつかの演奏を聴き比べるうちに、自分の好みもはっきり分かってきた。やはり、演奏者のパッションが強すぎるのは性に合わない。冒頭のフレーズだけで、聴き続けられる演奏かどうかが分かる。あとテンポが遅すぎるのも何だかムズムズそわそわして合わない。私にとって聴いていて気持ちが良かったのは、MIDORI(五嶋みどり)とヤッシャ・ハイフェッツだった。

▼五嶋みどりさん

クラシックの曲の解釈をいくら読んだとしても、この演奏が心地よくて何度も聴いてしまうという事実以上に必要な言葉はないと思った。

音楽はただ聴けばいい。自分に合うものを。

長期休暇が終わったあとも、しばらく五嶋みどりさんの演奏を聴いていた。世界中の学校で子どもたちに音楽の授業をする動画は、五嶋みどりさんの人となりを知れてとてもよかった。だから彼女の奏でる音は深い音色なのだ、とも思った。

その後、集中的な草むしりにより一度は綺麗になった畑エリアだったが、仕事が再開し梅雨で雨が降るたびに草が生い茂っていった。そして冬になればほとんどが枯れ、今また、新芽が出ようとしている。

それも分かっていたことだ。でも今年はできれば草むしり三昧なGWにはしたくない。



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