日本語教師の本棚2「雑談の一流、二流、三流」に学ぶオンライン教師の雑談術
オンラインの授業では通常、教材があらかじめ指定されていて、教師はその範囲を準備して授業にのぞみます。
しかし、時々特に何の資料も指定されず、備考欄にあの言葉が書いてあることが・・・。それは
フリートーク
もしくは、
先生の話が聞きたいです
などのざっくりとした、つかみどころのない「学習範囲」。これを、私は学習範囲ではなく、「むちゃぶり」と呼びます。
こういう時、皆さんはどうしていますか?
以前は、私もこの「フリートーク授業」に、あまり意義を見出せました。
「自分は単なるおしゃべり相手になるために、日本語教師になったんだろうか・・・」と。それに、フリートークと聞くと「本当にフリートークでいいんですか?何も教えなくていいんですか(ビクビク)」と、意味もなくおびえていました。
今は、
フリートーク キタ―――(゚∀゚)―――― !!(死語)
と盛り上がっています。
生徒も教師も会話力を鍛えるすばらしいチャンスと考えると、見方が変わりました。
今回は、雑談が怖くない、むしろ雑談を良質な会話授業にするため、この本を参考にしてみました。
今回は、私がこの本で参考になった点を、授業にどう生かしているかをご説明していきます。
まずこの本のキーワードでもある「雑談力」を定義しておきます。
雑談力 = トークさせ力
つまり、
フリートーク授業 = 生徒に話してもらう授業
フリートーク授業 ≠ 教師が話す授業
こう考えると、気持ちがグッと楽になりますよね。
なんだ〜 生徒の話を聞けばいいのか〜、と。
つまり、この授業のゴールは生徒に「今日は私ばかり話してしまってすみません・・・」と謝らせること!ま、謝らせなくてもいいんですが、生徒が「今日はたくさん話せたな〜」という感覚を持てれば、ミッション終了、ということになります。
では、どうすれば生徒に話してもらうことができるんでしょうか。以下本書で参考になる3つの点に絞ってご紹介します。
①挨拶に2プラスする
授業開始後、まずは挨拶から始まります。この時からフリートークは始まっています。
初めての方には聞くこと盛り沢山ですよね。相手のことをひたすら聞くだけで、もう10分ぐらい経っていることもあります。
いろいろ、根掘り葉掘り聞かれて嫌じゃないか、と心配してしまうかもしれませんが、プライベートなことやネガティブなことでない、日本語学習にまつわることではあれば、いろいろ聞かれてイヤな思いをする、ということはほぼないと思います。生徒も勉強するために来てるわけですし。
また、すでに何回か授業をしている生徒なら、前回話したことを覚えておいて、挨拶も早々に「あの話、あれからどうなった?」と切り出すことができます。
例えばこんな感じです。
○○さんこんにちは!
+1 1週間ぶりですね。お元気ですか?
+2 そういえば、先回話していたあの件、どうなりました?
こうすることで、相手も「今日は私が話す日」という会話のスイッチが入り、その後の会話もスムーズになる気がします。
②違いに興奮する
フリートークをしていて、困るのが、自分と全く趣味や趣向の違う生徒に、いろいろ趣味のことを聞いたり、話さなければならない時です。
特に、今はアニメやゲーム好きの学生が多く、その分野は私にとって全くの守備範囲外なため最初は会話が盛り上がらず困っていました。アニメやゲームが好きです、と言われても「へ〜。そうですか」みたいに、全く触れずに会話するとか・・・。
ただ、会話に困っていたのは会話の方向性を「自分との共通点を見つけること」を主眼に置いていたらと気づきました。
自分との違いを見つけることに主眼を置けば気持ちがかなり楽になります。
「え〜!そんなゲームがあるんだね」とか、「何時間ぐらいプレイするの?」とか。聞けば聞くほど、次に聞きたいネタが生まれるようになります。
③15秒以内に渡す
フリートークの時に、生徒が「じゃあ、先生はどうですか?」と聞いてくることがあります。
ここで、先生が「そうですね〜」と長々話しだすと生徒は「聞くモード」に入ってしまいます。そもそも授業では先生の話を聞くものとインプットされている学生が多いですから、ここで先生が話し出すと、せっかくここまで「生徒が話す」雰囲気を作ってきても台無しになります。
いろいろ言いたいことがあっても、ここは極力グッと堪えて、自分のことはなるべく早めに切り上げて、相手にターンを回すよう、いつまでもボールをドリブルし続けないようにしたいですね。
私も、ここで結構失敗します。というか毎回失敗しています。いつも、今日も話しすぎた・・・と反省ばかりです。
ただ、あまり「質問質問」と意識してしまうと、会話が「質問攻め」みたいになってしまうので、「自分のターンは短めに」くらいに意識すればいいのかな、と思っています。この点は、私も努力中です。
まとめ
いかがでしょうか。オンライン教師の実力は、「雑談力」「コミュ力」にかかっているといっても過言ではないでしょう。どんなに、経験があっても知識があっても資格があっても、「雑談力」がなければ、なかなか生徒がつかない、というのがオンラインの難しいところです。
しっかり生徒に話してもらう授業を、目指していきたいですね。いつの日か、生徒にこう言われた時には小さくガッツポーズをしてやりましょう。
先生、私ばかり話してしまってすみません・・・・
ご紹介した本には、他にも「一人三役こなす」など、役に立つアイデアがありましたら、ぜひ一度ご覧ください。
ご紹介した本の要約もありましたので、リンクを貼っておきます。
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