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Ghosts Again(Depeche Mode)が素晴らしい!

はじめに

昨年10月に開催されたプレスカンファレンスで、ニューアルバムリリースとワールドツアー開始を発表してから新しい情報がなかったDepeche Mode。1月末にSNSでカウントダウンのティーザーが共有されて、「お、ついに新曲の発表か!」と期待させておきながら、カウントダウンがゼロになった瞬間、新曲の公開日時を発表して、さらにカウントダウンが1週間延びるというお預けプレイ。

そんな中、日本時間2月10日午前1時にようやくニューシングル"Ghosts Again"がようやく公開されました。この曲はプレスカンファレンスで断片が公開されたもので、前作から6年ぶり、そして昨年5月に創設メンバーのAndy Fletcherを亡くして初めてリリースされる3月24日発売の15枚目のアルバム"Memento Mori"からの1stシングルカットになります。

金曜日から今日にかけて200回くらいリピートしたので、レビューというか、色々と頭をよぎった感想を殴り書きしてみます。

感想(殴り書き)

Depeche Modeは僕の音楽的嗜好を形作ったバンドの一つで、文句なしのパーソナルレジェンドであり、オールタイムフェイバリットバンドです。ただ、最近の作品はちょっとアンビエントっぽさが強くなり、どこか別世界の音楽のような感覚があり、良いところを探しながら聴いていました。

ところが、"Ghosts Again"は彼らがポップミュージックのフォーマットになっていて、ちょっと懐かしい感じを出しつつも、これまでの彼らのどの曲とも違う感じがあり、200回聴いてもまだまだ聞き続けられます。

最初に聴いたときは、メランコリックで美しい印象が強かったものの、何度か聞き返すうちに、痛々しさと力強さ、絶望と希望、成長と終末というような、様々な対極的な要素と、様々な感情が入り乱れて詰まっているような気がしてきました。

少ない単語による抽象度の高い歌詞ながらも、キチンと韻を踏むMartin Goreの様式美を相変わらず。これまでと大きく違うのは、Andy Fletcherの死によって、聴いている個人個人が単語やフレーズの間に意味やイメージを補完する(してしまう)という解釈性の高さで、そのせいもあってなのか、楽曲に引き込まれる感覚が強烈です。

サウンド的には、イントロからAメロのミニマルな感じから、徐々に音の厚みを増していき、最後の方はキラキラ系のシンセサイザーを散りばめたりと、シンプルなメロディと構成の割には飽きさせない工夫が満載。Dave Gahanの歌もこれまでになく生々しく、それが思いの強さや力強さに加えて、センチメンタルさをより強調しているように思います。

そして、非常に細かいですが、個人的に特に気に入ったのは次の二つです。

  • 2番のブリッジ部分の"Everybody says goodbye"という歌詞の"goodbye"の歌い方が切なくて、グッときます。共感してくれる人がいる気はしませんが、Soft Cellの名曲"Say Hello Wave Goodbye"の最後の方の"goodbye"と同じ歌い方です。

  • 最後のコーラス部分が終わった後の、希望に満ちあふれたようなキラキラした音が散りばめられたバックトラックが突如終わるところに、Andy Fletcherの突然の喪失と重なり、胸を掴まれる感じがします。

と、長々と殴り書きをしてきましたが、Depeche Modeのファン以外の方も充分刺さる曲になっていると思います。Anton Corbijnによる「第七の封印」をオマージュしたビデオも曲にピッタリで秀逸なので是非ご覧下さい。

おわりに

なんせ、パーソナルレジェンドでオールタイムフェイバリットと崇める人間の感想なので話半分くらいで受け取って頂きたいところですが、それでも久々に自分の好きなDepeche Modeが戻ってきてくれたようで嬉しいです。

3月24日にリリースされる"Memento Mori"はそのタイトルからして、なかなかヘヴィな内容が予想されますが、とにかく今は楽しみでしかありません。

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