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【音楽遍歴】1999年に行ったライブ②


はじめに

1998年から本格的にライブを見に行くようになり、この年も大体1ヶ月に1本のペースで見に行っていました。

この年は何と言っても苗場スキー場での初開催となったFuji Rock Festival。神戸から阪神高速~名神高速~東名高速~中央自動車道~上信越道~関越道と延々と走り、越後湯沢から車で山道を登って、最後のスノーシェイドを抜けたときに右側の視界に飛び込んできた広大な会場の様子は未だに目に焼き付いています。

それ以外の単独公演はManic Street PreachersBeckなどビッグネームもありますが、"The Man Who"の大ヒットの中の初来日となったTravisが印象的でした。逆の意味で印象的だったのはFuji Rock Festivalでも登場したCatatonia。何が印象的だったかはまた別の記事で。

今回はそんな中から、下半期に見に行った4本のライブに関する出来事について書いていきたいと思います。

ライブ情報

  1. Mansun(1999年1月14日@心斎橋クラブクアトロ)

  2. Manic Street Preachers(1999年2月5日@Zepp Osaka)

  3. Ash(1999年2月15日@ベイサイドジェニー)

  4. Beck(1999年4月16日@大阪厚生年金会館)

  5. Stereophonics(1999年6月12日@赤坂ブリッツ)

  6. Kleenex Girl Wonder(1999年6月15日@心斎橋クラブクアトロ)

  7. Fuji Rock Festival '99(1999年7月31日~8月2日@苗場スキー場)

  8. Pavement(1999年8月22日@心斎橋クラブクアトロ)

  9. Suede(1999年9月16日@IMPホール)

  10. Travis(1999年9月27日@心斎橋クラブクアトロ)

  11. Catatonia(1999年11月4日@心斎橋クラブクアトロ)

  12. The Charlatans(1999年12月8日@Zepp Osaka)

出来事もろもろ

Fuji Rock Festival '99

苗場で行われた初めてのFuji Rock Festival。神戸から車で延々と走り続けて漸く辿り着いたということが、より特別の経験感を強めたのかも知れませんが、あらゆる瞬間、あらゆる場所に音楽が溢れている素晴らしい3日間でした。この年は最終日の夕方に多少雨は降ったものの、比較的天候には恵まれ、今ほど混雑もしていなかったので、グリーンステージ後方でUAの音楽を聴きながらのんびり昼寝などもでき、体力的にはタフでしたが快適に過ごすことができました。

初日、最初に見たのはホワイトステージの電撃ネットワーク。ドライアイスを食べて鼻から煙を出したり、ドラム缶に爆竹を入れて爆発させたりと、コンプラ上等パフォーマンスの連続。「フェスティバル(お祭り)」のオープニングの役割は充分に果たしました。その後、奥田民生Hi-StandardThe Black CrowesRage Against The Machine等を少しずつ。この日のクライマックスはホワイトステージのヘッドライナーUnderworld。内側へ潜り込んでくるタイプの曲で場にエネルギーを蓄積し、ほぼ臨界点に達した瞬間に満を持して"Born Slippy Nuxx"をドロップ。ステージ上方に設置されたスクリーンにはオーディエンスから溢れ出る笑顔が映し出され、多幸感に溢れた時間が続きました。周りを山に囲まれ、流れ星が時々見える星空、そんな特別な環境での特別な時間でした。この経験があるので、僕はUnderworldのライブを見続けているのだと思います(そして、未だこのライブを超える体験はできていません)。

行ったことがある人は分かると思いますが、Fuji Rock Festivalの会場はとにかく広く、普段運動不足気味の身体には堪えます。という訳で、2日目にして既にバテ気味。昼間はダラダラと過ごした後、夕方から活動開始。"Hey Boy, Hey Girl"で始まったThe Chemical Brothersは、前日のUnderworldとは対称的に、「俺たちの音で踊らせてやるぜ」的な強引さ。これはこれでアリだと思いますが、前日のUnderworldの体験が強烈すぎたので、やや散漫&退屈気味。この日のクライマックスはグリーンステージのヘッドライナーBlur。アコースティックギターをバックに演奏された"Tender"は苗場の環境にピッタリ。Daemon Albarnが「今夜は星が綺麗だね。ちょっと照明を消してみて」と言うと照明が落とされ、満天の星が目に飛び込んできました。そして、ラストはみんな大好き"Song 2"。"Woo Hoo"の大合唱と共に会場が一体になってジャンプを繰り返し、3分間のエピローグがあっという間に駆け抜けていきました。

行ったことがある人は分かると思いますが、Fuji Rock Festivalの夜はとにかく寒く、開催初年度で勝手が分からず、装備が甘めだったこともあり、最終日は風邪気味。まずは、頭痛が酷い中で力を振り絞ってCatatoniaから。本国ではビッグネームの彼女達ですが、日本では知名度が低いのか、最前ブロックでも余裕を持って見ることができました。ボーカルのCerys Matthewsは白いドレスを纏いつつ、手にはワインボトルという天使か悪魔か分からない風貌。ただ、その表現力はホンモノで、彼女の歌だけで1時間を充分楽しむことができました。Ashの頃には体調は悪化の一途を辿り、Ocean Colour Sceneの頃には雨も降り出して冷えてきたこともあって、駐車場に戻って車の中で寝ていました。キャンセルになったHoleの代わりに出演したBernard Butllerのステージから漏れて来る音を車で聴きながら、この年の僕のFuji Rock Festivalは幕を閉じました。ただ、Happy Mondaysは見たかったなあ(と言いつつ、その後も見ていない)。

Travis

この年の5月にリリースされた2ndアルバム"The Man Who"はトップ10ヒットを記録するシングルを連発する中で売れ続け、絶好のタイミングでの来日。数ヶ月前にはグラストンベリーフェスティバルのメインステージで演奏しているバンドにとって、心斎橋クラブクアトロのキャパはさすがに小さく、フロアはオーディエンスで埋め尽くされていました。

客電が落ちるとメンバーがニコニコしながら普通に登場。有名人オーラは皆無で、フレンドリーな普通の人達という感じ。ただ、音楽を演奏し始めると印象は一変。ボーカルのFran Healyは低音から高音まで無理なく歌い、曲への感情移入のコントロールが自然。フロアに緩やかに放たれたグルーヴに身体が包み込まれて、心地良くユラユラと揺れているような不思議な感覚続きました。

曲中に挟まれるMCはゆっくりめで、オーディエンスとのコミュニケーションを重視しているかのよう。そして、オーディエンスは音楽への反応という形でバンドに働きかけ、ポジティブなフィードバックループが生まれていました。自分達の音楽を等身大で表現したパフォーマンスはアルバム同様にストレートに心に届き、もっと大きくなれるバンドだということを確信できた素敵なライブでした。

セットリストはこちら

Catatonia

「ありゃー、客少ないなあ」というのが第一印象。確かに、Fuji Rock Festivalでもそれ程多くのオーディエンスを集めた訳ではなかったし、チケットの整理番号が20番っていうのも気にはなっていたけど、クアトロクラスの規模の会場でこれだけ空きスペースができるとは。50人くらいしか居なかった気がします(人生で体験した最少人数のライブ)。

Cerys Matthewsは喉の調子があまり良くなさそうで、「天使の声」モードのときもやや声が擦れ気味。その影響もあったのか、ライブならではの躍動感やグルーヴはほとんど感じらず、Catatoniaというバンドが彼女のボーカルの存在感で成り立っていることを考えると致命的でフラストレーションが溜まりました。中盤以降はやや持ち直し、大ヒット曲"Road Rage"で多少の盛り上がりはありましたが、まあ「それだけ」という感じでした。

その後、名古屋のライブはメンバーの体調不良でキャンセル。ただ、それは表面上の理由で、大阪よりもチケットが売れてなかったんじゃないかという気もします。本国イギリスではフェスティバルのヘッドライナーを務めるくらいのポジションなので、大阪の客入りを見るとキャンセルしたくなる気持ちも分からなくはないけれど。"International Velvet"で聴かせてくれたスケール感のあるライブを期待していただけに、ちょっと残念なライブになってしまいました。

The Charlatans

この日のオープニングアクトはWino。「The CharlatansのオープニングアクトにWinoを持ってくるとは、思い切ったブッキングだなあ」と感心。ただ、The Charlatansを感じさせるような曲はほとんどなく、メロディは平坦気味ながらも、適度な屈折感と強力なリズム隊の頑張りもあって、演奏が終わる時には充分なな拍手が起こっていました。

The Charlatansのメンバーが登場したのは20時20分頃。オープニングトラックはニューアルバムのリードトラックでもある"Forever"。その後も、ニューアルバムの曲を中心にライブが進み、そのグルーブは即効性こそないものの、ボディーブローのようにジワジワと効き始めます。

大きく盛り上がったのは"North Country Boy"等の前作からの曲が演奏された中盤以降。"Werdo"や"How High"などのリズムを強調した曲が連発され、燻り気味だったフロアのエネルギーが一気に爆発。サイケデリックなギターとオルガンのパンチ力が目立ったラストの"Sposton Green"でもう一度熱狂に辿り着いたところでライブは終了。新作はCDで聴く分には少し地味でしたが、ライブでは充分にグルーヴィ。動と静の両面での圧倒的なパワーを感じさせるライブでした。

おわりに

今回は1999年に見に行ったライブの内、下半期に行った4本について書きました。この年の下半期はFuji Rock Festivalに尽きます。チケット代の高さや交通の便の悪さなどの問題はありましたが、それらを許してしまうだけのパワーを持った「場」でした。

ステージもグリーンステージ、ホワイトステージ、フィールドオブヘブン、ヴァージンテント、リーバイスニューステージの5ステージと今よりも随分少なかったですが、フィールドオブヘブンではPhishTodos Tus Muertos等、それまで知らなかったアーティストを知ることができ、音楽塗れの3日間を過ごせました。

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