
【ベストアルバム】 2023年ベスト10アルバム
はじめに
2023年1月から12月までに入手した113枚のアルバムとEPから上位10枚のアルバムを選んでみました。単純に毎月間ベストアルバムを選んだかと言うとそうでもなく、月間ベストアルバムには入っていないアルバムも4枚入っています。一応、順位も付けていますが、トップ3以外は日によって変わりそうなくらいに僅差です。
2023年ベスト10アルバム
それでは10枚のリストとそれぞれのアルバムについての簡単なコメントを。
10.First Two Pages of Frankenstein (The National)
多彩なゲストを迎えつつも、作品全体のトーンは抑え気味で地味目。それだけに、曲の良し悪しがストレートに出ていて、所々「うーん」と思う曲がある一方で、それを補って余りある曲もあり。今回は弱いところに目を瞑って加点法での選出。

9.Alchemy (Disclosure)
「リズムで攻める」タイプのダンスミュージックで頭を空っぽにして身体を動かすのに最適。快楽的過ぎず、ストイック過ぎず、フォーマット的に新しくもないけれど、心に真っ直ぐ飛び込んでくる音に身を任せる贅沢な時間を味わえる1枚。

8.Stereo Mind Game (Daughter)
音数が抑えられて囁くように歌われるたギターロックは寡黙ながらも叙情的で、アレンジ的にはドリーミー。ただ、夢見心地とは対極的な息苦しさが所々に感じられ、脳天気に「ドリームポップ」と括るのが憚られる二面性を併せ持つ作品。

7.Everything Is Alive (Slowdive)
適度にメランコリックなメロディーに、適度にフィードバックがかかったギターを重ね、飽きが来る一歩手前でまとめ上げる何ともバランスの取れた1枚。闇を切り裂いて時折放たれるような光を感じさせる楽曲群は良い意味での伝統芸。

6.The Ballad of Darren (Blur)
往年の弾けるようなポップさはないものの、斜に構えつつ、枯れ切っていない瑞々しさを感じさせる内容。「時代とのシンクロ感」はGorillazとは比較にならないけど、夏の終わりのようなノスタルジックな楽曲群は間違いなく今の彼らの音。

5.Cracker Island (Gorillaz)
超豪華なコラボレータの個性に負けない良質な楽曲を揃えた作品。強烈なインパクトを持つ曲こそないものの、曲に合わせて静と動に潔く振り切りつつ、味付けは丁寧で繊細。作品としての統一感もあって、高級な幕の内弁当を見ているよう。

4.The Record (Boygenius)
完璧に磨き上げていないインディーズ感を残しつつも感じるのは飽くなき職人魂。3人それぞれがボーカルを取れるのも大きな強みで、曲毎の手触りを巧みに変えることによって、シンプルなメロディーを多彩に仕上げた堂々のデビュー作。

3.Madres (Sofia Kourtesis)
「ペルー出身」と聞いて「ラテン系?」と思ってしまうものの、実はモノトーンを基調としながらも適度な開放感と明るさを持ったストイックで多幸感の溢れるエレクトロミュージック。ポップス好きにも充分リーチできる懐の広さが魅力的。

2.夢中夢 (Cornelius)
聴き手のコンテキストで様々な解釈が成立する、まさに「環境と心理」を地で行く抽象的で多義的なサウンドが中心ながらも、初めての人にも取っつきやすい歌モノも収録されていて、彼の世界観が深く・分かりやすく表現された作品。

1. Mement Mori (Depeche Mode)
創立メンバーの死でバンドの存続さえ危ういと思っていたこともあり、アルバムが出たこと自体が感無量。還暦を過ぎた、その筋のレジェンドでありがながらも現役感は充分で、"Ghosts Again"の美しさと力強さはまだ全く色褪せず。祈来日。

おわりに
何とか10枚選んでみましたが、これ以外にも毎月の月間ベストアルバムで取り上げたスピッツ、Helsinki Lambda Club、Sparklehorse、BeirutやEverything But The Girl、Homecomings、The Lemon Twigs、Wilcoなど、ベスト10外にするのが惜しい良質のアルバムがたくさんありました。
また、Blur、Depeche Mode、Slowdive以外にもSparks、A Certain Ratio、The Boo Radleys、Sigur Ros、The Chemical Brothers、Mull Historical Society、Ash、The Hives、Orchestral Manorvres in The Dark、Teenage Fanclub、そして極めつけは20年ぶり以上となるPeter Gabrielといった10代〜20代の頃からよく聴いていたバンドも新作を出してくれたのも嬉しいところ。
そして、来年はじめにはGrandaddyが超久々のスタジオアルバムをリリースするというニュースもあって、こちらも楽しみです。
これからもタラタラと音楽にまつわるクロニクルを垂れ流していきますが、どうぞよろしくお願いします。