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【音楽遍歴】2005年に聴いていた音楽とベスト3アルバム


はじめに

今回は2005年1月から2005年12月に聴いていた音楽とベストアルバムについて書こうと思います。

この年は購入したアルバムは80枚と例年と比べると少なめでしたが、80年代初期から大好きだったDepeche ModeNew Orderの新作がリリースされるというウハウハ状態。ライブの方もNew Orderが最終日のグリーンステージのヘッドライナーを務めたFuji Rock Festivalに加え、Summer Sonicや大阪開催のElectraglideにも参加。単独公演でもInterpolThe DelgadosLemon Jellyといった中々良いメンツのライブを見ることができた充実の一年でした。

今回は、そんな時期に購入したアルバムとベストアルバムについて書いてみたいと思います。

2005年に購入したアルバム

この年は、先に挙げたDepeche ModeNew Orderといった2世代前のバンド以外に、BeckNine Inch NailsThe Chemical BrothersOasisといったビッグネーム、Bloc PartyClap Your Hands Say Yeah!といった期待のニューカマー、Franz FerdinandSigur Rósといったキャリアを駆け上がっているバンドの新作がバランス良くリリースされた印象。2004年が世代交代を強く感じさせた年だったのに比べて、この年は「ベテランもまだまだ頑張ってるぜ」的なリストになっているのが特徴です。

  1. Crying At Teatime(Alfie)

  2. The Last Romance(Arab Strap)

  3. Tank(Asian Dub Foundation)

  4. Tourist(Athlete)

  5. Down In Albion(Babyshambles)

  6. Guero(Beck)

  7. The Future Embrace(Billy Corgan)

  8. Silent Alarm(Bloc Party)

  9. The Bravery(The Bravery)

  10. I'm Wide Awake It's Morning(Bright Eyes)

  11. Open Season(British Sea Power)

  12. Broken Social Scene(Broken Social Scene)

  13. Push The Button(The Chemical Brothers)

  14. Every Open Eye(CHVRCHES)

  15. Clap Your Hands Say Yeah(Clap Your Hands Say Yeah)

  16. X&Y(Coldplay)

  17. In Motion(Copeland)

  18. The Invisible Invasion(The Coral)

  19. Plans(Death Cab for Cutie)

  20. Playing The Angel(Depeche Mode)

  21. Pocket Revolution(Deus)

  22. Some Cities(Doves)

  23. Siberia(Echo & The Bunnymen)

  24. The Back Room(Editors)

  25. Blinking Lights And Other Revelations(Eels)

  26. El Presidente(El Presidente)

  27. Leaders Of The Free World(Elbow)

  28. Engineers(Engineers)

  29. Nightbird(Erasure)

  30. Pushing The Senses(Feeder)

  31. At War With The Mystics(The Flaming Lips)

  32. You Could Have It So Much Better(Franz Ferdinand)

  33. Bleed Like Me(Garbage)

  34. Demon Days(Gorillaz)

  35. Excerpts From The Diary Of Todd Zilla(Grandaddy)

  36. Before After(Heaven 17)

  37. Elevator(Hot Hot Heat)

  38. Gods And Monsters(I Am Kloot)

  39. Employment(Kaiser Chiefs)

  40. No Wow(The Kills)

  41. Inside In/Inside Out(The Kooks)

  42. '64-'95(Lemon Jelly)

  43. There's A Fire(Longwave)

  44. The Great Destroyer(Low)

  45. The Magic Numbers(The Magic Numbers)

  46. Into the Woods(Malcolm Middleton)

  47. The Secret Migration(Mercury Rev)

  48. And The Glass Handed Kites(Mew)

  49. Hotel(Moby)

  50. All My Bad Thoughts(The Montgolfier Brothers)

  51. Waiting For The Sirens' Call(New Order)

  52. With Teeth(Nine Inch Nails)

  53. Don't Believe The Truth(Oasis)

  54. A Hyperactive Workout For The Flying Squad(Ocean Colour Scene)

  55. Brassbound(The Ordinary Boys)

  56. The Others(The Others)

  57. A Fever You Can't Sweat Out(Panic! At The Disco)

  58. The Understanding(Röyksopp)

  59. Takk...(Sigur Rós)

  60. Artists Cannibals Poets Thieves(Six. By Seven)

  61. Nice and Nicely Done(The Spinto Band)

  62. Face The Truth(Stephen Malkmus)

  63. Language, Sex, Violence, Other?(Stereophonics)

  64. First Impressions Of Earth(The Strokes)

  65. Young For Eternity(The Subways)

  66. Love Kraft(Super Furry Animals)

  67. The Loon(Tapes 'n Tapes)

  68. Here Come The Tears(The Tears)

  69. Man-Made(Teenage Fanclub)

  70. Live In Tokyo (25/11/05)(Underworld)

  71. RiverRun Project(Underworld)

  72. OK Cowboy(Vitalic)

  73. With Love And Squalor(We Are Scientists)

  74. Get Behind Me Satan(The White Stripes)

  75. Eternal Sunshine Of The Spotless Mind(Original Motion Picture Soundtrack)

  76. Nikki(くるり)

  77. Killer Street(サザンオールスターズ)

  78. スーベニア(スピッツ)

  79. OZ(100s)

  80. I ♥ U(Mr.Children)

2005年に聴いたベスト3アルバム

3枚に絞り込むのが結構難しいので、まず追加で何枚かを簡単に紹介します。

最初は、Lowの"The Great Destroyer"。Dave Fridmannをプロデューサに迎えて、水面下にの重苦しさや暴発寸前のエネルギーを表面化させたたサウンドを提案。序盤は歪んだギターで繊細なボーカルをガードする新生Lowを印象付け、中盤はポップサイドの素顔や美しいハーモニーを奏でる従来世界を展開。終盤は新旧のサウンドを衝突させつつ安定化させるという地味ながらもハイレベルな作品。

続いては、Dovesの"Some Cities"。哀愁感を漂わせる楽曲にライブで得た力強さや各国の音楽的要素を取り込んだ内容は、これまでの作品と比べるとトータルな世界観はやや弱め。それでも、ダイナミズムを感じさせるなギターとハイハットの振動音が生々しいドラムスとのコンビネーションがイニシアティブを取る曲が増えるなどの新味は魅力。尺の割にはボリューム感もあって、オヤジ達の底力に脱帽。

そして、お約束その①Depeche Modeの"Playing the Angel"。先行シングルから"Violator"時代への再接近をある程度予感したものの、前作で手中に収めた熟成に以前のお家芸のパーカッシブな装飾を施したサウンドは期待以上のデキ。意外にもDave Gahan作の楽曲が良く、かつてのDepeche ModeのDNA復活に大きく寄与。新旧ファンの望む最小公倍数的サウンドにリーチした重要な作品です。

最後は、お約束その②New Orderの"Waiting for the Sirens' Call"。8年の空白を埋めるために多少「頑張った」感を表に出した前作"GetReady"とは違って、自然体なサウンドには斬新さこそないものの、貯金を取り崩しただけのような惰性感もなし。Peter Savilleの必要最小限の情報がプリントされたジャケットと同じく、基本アーキテクチャに恣意的な作為がなく、バンドの年齢を重ねる毎に純真無垢さが増幅されていくという訳の分からない強みを存分に発揮したアルバム。

そして、ベスト3アルバムは以下です。

Takk… (Sigur Rós)

前作"( )"は現実感が希薄過ぎることもあって、"Agaetis Byrjun"の魔法が溶けかかった印象がありましたが、今作ではその魔法が再び機能し始めました。非現実世界への導入の役割を果たす"Takk..."で始まると、フィードバックノイズさえ最上級の美しさに変える「ロックモード」の"Glosoli"、ポップなメロディにややトゥーマッチなアレンジ、楽器の一部のような役割を果たしていたJonsiのボーカルが「言葉」を刻んでいく"Hoppipolla"と圧倒的な美しさを見せつけていきます。

また、美しさだけではなく、少数の厳選した音と途中で僅かに挟まれるホルンの音色で作り上げられた淡い夢のような"Se Lest"、ピアノとグロッケン、消え入りそうなボーカルで寡黙に始まり、突如ライブのときの激しさとその向こう側の開放感を表現する"Saeglopur"へと展開。感情制御を困難にする程の静のエネルギーを持った"Svo Hljott"から、ゆっくりと現実へ戻る道案内をする"Heysatan"へのエンディングの流れも素晴らしく、自然に冒頭の"Takk.."へとループ。

従来の美しさを突き詰めると同時に、楽曲のポップ度が上がり、前衛的アート感を嫌う人にも充分リーチできる内容になっているところが強みで、孤高でありポップ、激しくそして美しい内容に仕上がった傑作です。

Leaders of the Free World (Elbow)

これまでのスノッブさが和らいで、コミュニケーションしやすい印象に変わった3rdアルバムは、ミルフィーユのように様々な音を重ねて作り出す微妙な色合いのサウンドは、同郷であるI Am Klootの渋さとDovesの繊細かつダイナミックさを共存させる豪華な仕様。

断続的に音が押し寄せるさざ波のようなサウンドが徐々に感情中枢を浸食しつつエネルギーを充填し、臨界点付近で静かに点火するような"Station Approach"、妖しげで渋くウェットな世界を構築する"Picky Bugger"から"McGreggor"の連続性、クセのあるポップなメロディに得意の抽象的アレンジを施した"Forget Myself"など序盤から仕掛けどころが満載。

その後も、曲内の音の出し入れに長けた曲が続き、アルバム全体のダイナミズムとメロディの潜在能力を100%引き出すことに成功。リズムを鍛えてギターが呻りを上げる"Mexican Standoff"や繊細なメランコリーを奏でる"The Everthere"など曲間の音の出し入れのセンスも申し分なく、メインストリームから一定の距離を保ちながらも、これまでの「もう少し~だったら」というモヤモヤ感を蹴散らす内容。

Digital Ash in a Digital Urn(Bright Eyes)

フォーク/カントリーをベースとした"I'm Wide Awake It's Morning"と同時にリリースされたこの作品は、ループや打ち込みを多用しつつも、多彩な生楽器群を取り入れたバンドサウンドを展開しています。

長めのディレイをかけたドラムスが耳に残る"Gold Mine Gutted"では様々な楽器が顔を覗かせながら物寂しさを表現したかと思えば、打ち込みで歯切れの良いアレンジを施した"Arc of Time (Time Code)"は穏やかながらもポジティブさを強調。と思えば、生ストリングスを導入した陰鬱で重厚な"Down in A Rabbit Hole"では再び逆サイドの世界観を表現するなど、目まぐるしく印象を変えて進んでいきます。

それ以降も、スペイシーなギターとストリングスがスムーズで不連続なサウンドスケープの遷移を見せる"I Believe in Symmetry"、"Digital Ash in A Digital Urn"流にフォークソングを再構築した"Theme to Pinata"、スケール感とパーソナル感を共存させた"Easy/Lucky/Free"などトリッキーな聴き所を量産。緻密なサウンド構成の一方で、表現方法がまどろっこしいので輝きが散乱している気もしますが、元々の輝度が高いので許容範囲。もう一方の新作のデキも良く、このクオリティの作品を違うアプローチで2枚同時にリリースした才能には驚かされました。

おわりに

今回は2005年1月〜12月までに購入したアルバムとベスト3アルバムについて書きました。ちなみに、2005年のイギリスの年間アルバムチャートはこんな感じのようです。

  1. Back to Bedlam(James Blunt)

  2. X & Y(Coldplay)

  3. Intensive Care(Robbie Williams)

  4. Employment(Kaiser Chiefs)

  5. Demon Days(Gorillaz)

  6. Face to Face(Westlife)

  7. Eye to the Telescope(KT Tunstall)

  8. Breakaway(Kelly Clarkson)

  9. Curtain Call: The Hits(Eminem)

  10. Forever Faithless: The Greatest Hits(Faithless)

この年購入したアルバムの内、3枚が年間チャートのトップ5に入るという珍しさ。とは言っても、ColdplayKaiser ChiefsGorillazの3枚なので、人気どころではある訳ですが。Kaiser Chiefsが年間チャートの4位ってのは個人的にはちょっと不思議な感じです。イギリス人にとっては、「良い塩梅」なんでしょうか。

Oasisの新作が13位で、前年にリリースされたThe Killersのアルバムにもセールスで負けてしまうというのは衝撃。チャートが最重要だとは思いませんが、あれだけチャートを席巻していただけに、改めて事実が可視化されると寂しいところです。

同じ話がStereophonicsにも当てはまり、新作は週間チャートでは1位を獲得したものの、年間チャートでは37位とトータルのセールスは振るわない状況。面白いのはFranz Ferdinandで新作が年間チャート50位なのに、前作が45位という状況。新作が9月末リリースということで、実質3ヶ月の売り上げで、さらに新作リリースで旧作が売れるという効果があったにしても、ちょっと謎。Coldplayは約200万枚売れたようですが、徐々にダウンロード販売の影響が出始めて、売れ方が変わってきているのかも知れません。

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