スマホでダンスビデオ撮影術_セクション4: 撮影のため準備
この全6回のセッションでは誰でも始められるダンス撮影のノウハウを紹介します。
ここ数年、SNSを通じて個人が自己表現として動画を配信できるようになり、自主映画のように仲間を集めてグループで撮影すれば、もっと表現の可能性が広がると思います。特別なカメラを使わなくても、今のスマートフォンでも映画を作ることは可能です。実際、プロの世界でも、スマートフォンを使ってベースを撮影することはよくあります。
動画の撮影・編集・配信はとても身近になったものの、若いダンサーの中には、自分で動画を創作するには「何から始めていいかわからない」という声も聞かれたので、ここでは基本的な撮影の準備ついて解説します。
セクション4:撮影のため準備
ここからはスマートフォンを使って撮影するためのテクニカルな準備についてまとめます。
4-1映像の解像度
解像度はHD(1920×1080ドット)が一般的ですが、近年は4k(3840×2160ドット)も多くのスマートフォンで利用できるようになりました。
4Kの解像度は、編集時のズームや手ぶれ補正に便利です。ただし、解像度が高いほどデータ容量が大きくなり、たくさん撮影するとストレージを圧迫したり、編集時に時間がかかったりすることがあります。
スマートフォンのスペックが低い場合は、HDに設定しましょう。
余談ですが、ほとんどのスマートフォンでフロントカメラはHDなので、全体の解像度は低くなることも知っておいてください。
HD(1920x1080dot)と4k(3840×2160dot)の二種類あり、4Kは絵が大き
スマートフォンのスペックが低い時はHDを選ぶ
スマートフォンのフロントカメラは解像度が低いものが多いので注意
4-2 アスペクト比は縦か横か?
近年、さまざまなSNS動画メディアで、スマートフォンでの撮影に対応するため、縦型フォーマットが採用されています。
以前は、人間の視界は横方向に広いため、特に映画などでは横長の動画が主流でしたが、SNSではバストのアップを見せたい人が多いため、縦長の撮影が一般的になってきました。
映像の画角の比率をアスペクト比といい、16:9が一般的です。
全身(フルボディ)のダンスを撮影する場合は、縦位置撮影の方が有利です。
一般的に、景観を大事にする場合は横長、人物を見せたいSNSでは正方形か縦型というのが主流です。
映画っぽく見せやい人はアスペクト比横長
SNSを中心に人物を見せたうときはアスペクト比縦長
4-3 フレームレート
フレームレートは、1秒間に何枚の写真が撮れるかを表す名称で、fps(frames per secondの略)と呼びます。
フレームレートが速ければ速いほど、動きはより滑らかになります。
一般的に配信映像は30fpsです。24fpsは映画を撮影するときに使われ、映画のような仕上がりにしたい場合は24fpsを選びましょう。
ただし、滑らかな動きが必要なダンスの撮影には不向きです。ダンスを撮るなら30fpsか60fpsを選びましょう。
速い動きを撮影する場合は60fpsの方がスムーズですが、データ量が2倍になるため重くなり、ストレージも圧迫してしまいます。
機材スペックに余裕があれば、60fpsで撮影し、配信用に30fpsで書き出すのが良いでしょう。
バラバラのフレームで撮影すると、編集時にカクカクしてしまうので、撮影前にフレームを選択しておきましょう。
フレームレートは24fps、30fps、60fpsの三種類(最近は120fpsもある)
普通は30fps。
ダンスなど早い動きの撮影は60fpsが理想。
24fpsは映画用、ダンス撮影では使わない。
ばらばらのフレームを混在してはいけないので30fpsか60fpsのいずれかを選ぶ。
4-4 レンズ
スマートフォンには複数のカメラが搭載されているものもあり、広角、望遠などを選ぶことができます。
ダンスの場合、全身を写したいので広角を選びたいところですが、グループでの踊りを広角で撮ると、前列と後列の距離が強調されて後列がよく見えなかったり、中央の人が強調されてしまったりするので注意が必要です。
スマートフォンに広角レンズが搭載されていない場合は、クリップ式の広角レンズが便利です。安価なものだと周辺がぼやけてしまうので注意しましょう。
フロントカメラで動きを確認しながら撮影したい場合は注意が必要です。一般的なスマートフォンのフロントカメラは、顔を撮影することが目的なので、やや望遠気味です。撮影場所が屋内で、フロントカメラで撮影したい場合、全身を写すことはできません。また、一部の機種を除き、ほとんどの場合、フロントカメラはバックカメラより解像度が低いことも知っておきましょう。
4-5 ストレージ 何分何メガ?
当たり前ですが、たくさん撮るとストレージがいっぱいになり、撮影ができなくなります。
ここでは、撮影前に確認することをまとめました。
現在の携帯電話のストレージ残量を確認。
1分間のテスト撮影を行い、データ量から撮影可能時間を算出する。
パソコンで編集する場合は、microSDカードを用意し、保存先をmicroSDカードに指定する。
4-6 三脚
三脚は必須アイテムではありませんが、ダンスの動きに合わせて写真から撮影してくれるフォトグラファー(カメラ担当)を手配できればベターです。
三脚は1人で撮影する場合や、グループ全員が出演する場合には必要です。
適当な高さで固定できればいいので、高級なマウントを買わずとも100均でマウントと簡易三脚もしくは自撮り棒を買っておければいいし、見つからない場合は洗濯ばさみで代用できます。
フォトグラファー(カメラ担当)は必要。
100均一で買えるもので代用。
4-7 絵作り責任者と撮影スタッフ
チームで撮影する場合は、分担が必要です。
全員が参加するダンス作品であっても、ショットごとに作業を分担する必要があります。
基本的な役割分担は以下の通りです。
ダンサー
フォトグラファー(カメラ担当)
コンセプト・絵作り担当(撮影担当と兼務でもいいが分けておいたほうがズムーズ)
編集担当(撮影と兼務でも良い)
スタイリスト
ダンスが上手く踊れていても、ひどい顔にになっていたりします。場合によっては、コンセプトと異なるニュアンスの映像が撮れていることがありますが、フォトグラファー(カメラ担当)はカメラの操作に忙しく、気がつかないこともあります。
きれいに撮れることと、コンセプトに沿った写真が撮れることは、相容れない場合があります。
シーンごとに撮影内容のOK・NGを判断する担当者をあらかじめ決めておくと、全体の公平性や統一感を確保することができます。
役割はシーンごとに変えても構いません。
例えば、オープニングのシーンではコンセプトを強調し、ユニゾンの部分は振付が決めるなど。
人数が多い場合は、さらにスタイリストのような役割分担をするとよいでしょう。
スタイリストは、服やメイクをデザインするだけではなく、衣装や髪型に気を使うのも仕事です。
踊りを頑張りすぎて、服装や髪型が乱れていても踊っている本人は気がつけないものです、カメラ目線で調整してくれる人を決めておくといいでしょう。