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さよなら日本海

こんリシェ(՞ . .՞)ฅ”
今回は私の黒歴史について語っていこうと思う。

これは私が専門学校の時の話である。

酒を覚えたてだった私はまだまだ青かった。
具体的に言うと、シンガポールスリングというカクテルをシンガポールスリリングというくらい真っ青でまっさらであった。

そして、何を思ったのか酒に関してはイキっていた私はもっぱらジンライムが好きだと言い張りジンライムしか口にしなかった。

そして、それを隅っこの席に座り水で薄めながら飲み込むというのが私のイキり飲酒スタイルであった。

そんな私の庭と言えば仙台の国分町だった。
昼間と打って変わってギラつく街が私にとっては眩しく、またそんな影の私に光を与えてくれた。

その中でも行きつけの格安店というものがあり、学生の私にとってはいい居場所だった。飲みに行けば大抵同じ学校の学生に会うことの方が多く、そこの飲み屋で交友関係を広げたと言っても良かった。

要は、酒クズの集まりである。
バカみたいに酒を飲む私にとってそこのお店が居場所だったのかもしれない。

そんな居酒屋で悲劇は起こる。

ある日、友人と私はいつものようにテーブル席の端っこでちびちびとジンライムを飲んでいた。何時間もひたすらジンライムに水を注いでは嗚咽しながら飲み干していた。

そうして飲み続けていると次第に店内ざわめき出す。
そう、店のライムを枯らしてしまったのだ。

「ジンライム下さい」

そう言うと店員が申し訳なさそうにこちらへ駆け寄ってくるなりこういった。

「申し訳ありません、店にあるライムがなくなってしまいまして…」

私と友達の酔いのボルテージは頂点に達そうとしていた。ジンという酒は普通の酒より度数がある。ちびちび飲んでたとはいえチリツモだ。酔う時は一気に酔ってしまう。

「あの、レモンでしたらあるのでレモンでも大丈夫でしょうか……?」

2人の酔いが悪い方へと傾き出す。

「はぁ、ライムないんすか?なら買ってきて下さいよ!」
「はぁ、すみませんがこの時間帯ですと店が空いてないもので……」

何故、人は酔ってしまうと変わっていくのだろうか。大人になった今では嗜むという事を覚えた。しかし、この時はケツが青かった。へこへこする店員に何故か怒りが湧いて言ってしまう。

「なら、この店で1番強い酒持ってこいよ!!」

酒クズもとい、私が声を荒らげた。
恐らく家族にもそんな声を荒らげた事はなかったと思う。店員はビクッと肩を震わせると1拍置いてそそくさとカウンターの奥へと逃げるように去っていく。

……言い過ぎたと思った。
だが、その時は1つの後悔もなく澄み渡った表情を浮かべていたのだと思う。それは友人も同じだった。
よくやったと言わんばかりに水で薄めたジンライムのグラスを掲げてくる。

チン、と鈍い音の後2人は嗚咽しながら薄めたジンライムを飲み干した。


……5分程経過したであろうタイミングだった。カウンターの奥から先程の店員がやってくる。

さよなら日本海です


綺麗な青!

そこには水色の液体が注がれたグラスが……。

「何だこれ、甘そうな酒だなガハハ」

友達が笑う。私も釣られて笑うと即座にその液体を口に含み……

嗚咽した。

……その酒はあまりに飲めたものではなかったからである。

「何これまっず!」
「うわっ、こんなん飲める訳ないじゃん!」

友達と私は水をすぐさま口に含む。
調べてみるとさよなら日本海というカクテルはウォッカ、ジン、テキーラ、日本酒、ブルキュラを混ぜたちゃんぽん酒なのであった。

一気に酔いも覚め、現実がジワジワと襲ってくる。
何て愚かな事をしたのだろう。酒が私達へと語りかける。

……店を出たのは10分も経たなかった。

「すみませんでした……」

お会計をしながら店員へ頭を下げる。結局、酒は残してしまった。
そして、もう二度とその店へ行くことはなかった。

居場所を1つ失った私は人間として1つ成長出来たと感じたと同時に後悔してもしきれなかった。

これからお酒を始めようとしている人に伝えたい。
くれぐれもお酒でイキろうとしないで欲しい。あと、私を反面教師にして欲しい。そして、殺してくれ……

以上が私の黒歴史のひとつさよなら日本海であった。せっかくなら笑い話にして昇華してしまいたい。

引き続き黒歴史を書いていこうと思う。

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