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「熊野リベンジ!紀伊半島一周の旅」その11 「きぼう」は見えるか あらふねリゾート

【前回までのあらすじ】


クレソン後輩の希望に沿って、熊野を3年ぶりに巡ることになった「私」。3年前は回れなかったところを目指して、熊野リベンジに向かうのであった。
クレソン後輩の赤いヤリスクロスに乗り込み、1月2日の夜に名古屋から三重県津市に移動して一泊し、そして1月3日には本格的に熊野を目指すのだった。
発覚したクレソン後輩の頻尿癖はどんどん深刻になっていく。
そんな時限爆弾を背負ったまま、熊野三社の一角・熊野速玉大社と神倉神社にお参りして、恐怖の石段でヘロヘロになってしまった。
しかし、もはや怖いものは無いと開き直り、熊野の中枢・熊野本宮大社まで勢いでやって来た。大激戦の「つぼ湯」には入れなかったが、仙人風呂には足だけでも浸かることが出来て、ライトアップされた大斎原も拝して満足。
3日の宿を目指してヤリスクロスを発車するのであった。

【山中から海を目指して】

あたりは真っ暗で非常に寒い。
今日の宿は海岸沿いの国民宿舎あらふねリゾート。
夕食が美味しいらしく、食にこだわる頻尿後輩の願いで決まった。

まず新宮市まで戻り、海に出なければ始まらない。
しかも美味しい食事は午後8時には取り下げると言っている。
現在時刻は午後6時15分ほど。
うおぉぉぉぉ急げ急げ!!

とは言っても、山道のため慎重に進んでいく。
ほとんど街頭がなく、片道一車線の山中で焦ると危ない。
急ぎつつ安全運転して行く。腕の見せ所だ。
信号で停まって、上を見上げると満天の星空がここでも見えた。

満天の星空の下、人里離れた山中を車で走るのも、心のデトックスのようで素敵だ。時間制限さえなければ・・・

「あっ、次のコンビニで停まってください」
新宮市まで戻ってきて海が見えるくらいのところで、頻尿後輩が車を停める。
「疲れていますよね。眠くないですか?(´・ω・`)」
「正直ちょっと眠いねー(=_=)」
「じゃあ自分モンスター(エナドリ)買ってきますんで(^o^)」
と親切顔でコンビニに入っていくが、時間制限がある中でトイレに行きにくいが故の提案じゃないか、と勘ぐってしまう。

まぁ好意はありがたく受け取ろう。
何しろ、本日は熊野古道センターから始まり、鬼ヶ城の不安定な石の上を歩き回り、神倉神社で死にそうな石段を昇り降りして、熊野本宮でも石段を駆け上がり温泉を探し回って疲れていたのだ。1日の出来事だとはもはや思えない。

買ってきてくれたモンスターをグビリと飲むと・・・
「うぉぉぉぉぉキタキター!!!!」

モンスターって何で一時的にでも無茶苦茶元気になるんだろう!
「どこまででも運転できるでーーー!!!」(((((((((((っ・ω・)っ ブーン

【あらふねリゾートの豪華夕食】

あらふねリゾートに着いたのは午後7時30分直前。良かった・・コンビニ寄っても間に合った。
チェックインをして、部屋に入らずにそのまま食堂へ行く。
「お見えになったよ」と職員さんの声がする。
本当にお待たせしてすいません(´;ω;`)
「すいません、すいません」と連呼しながら食堂に入る。


ご飯と味噌汁はセルフサービスでよそったが、味噌汁に天かすが入っているのが面白かった。
机に座ると、職員参賀シュボッと固形燃料に火を着けてくださる。
「お食事持ってきますからね」

すんごい豪華じゃないか。
それにしても固形燃料で調理されているのはなんなのだろう。
「ちょっとだけ」とフタをめくってみたら・・・生きたアワビが苦しんでのたうち回っていた。

調理されるアワビの断末魔ムービー(10秒)

「NOォォォォォォォ!!!!」

何故か映画「プラトーン」の絶叫を思い出した。

自分はまだ生きている生物を目の前で調理されるのが苦手なのだ。
自分が生命を奪って生きていることの罪深さを突きつけられるのと共に、目の前で苦しんでいるのをどうして良いかわからないからだ。
いっそのこと楽にしてあげたい。
もう海に返すことはできない。食べるしか無いんだね。

「ごめんね(´;ω;`)」

ナイフとフォークでバター焼きになったアワビをカッティング。

「美味しいですね(^o^)」

頻尿後輩は満面の笑みでアワビを滅多切りにして、ワシワシ食べている。

「美味い(^o^)美味い(^^)」
哀れアワビは切り刻まれて彼の口の中に次々に収まっていく。

しかし、アワビは美味いのだ。

「美味いんだよなぁ、困ったことに・・」

映画「おくりびと」の緒形拳の名台詞が蘇る。

そして何気に天かす入り味噌汁とご飯がやたらに美味い。
特に、味噌汁は何杯もおかわりしてしまった。

部屋は素朴ながらに落ち着く和室。

二人だと十分広い。

大浴場は天然温泉らしく「湯ノ谷温泉」なんて書いてあった。
浴室で温まって、怒涛の一日がようやく終わりに近づいていることを実感する。

【「きぼう」は見えるか、あらふねリゾート】



午後10時を過ぎると、あらふねリゾートは物音がほとんど聞こえなくなる。

巨大カジキの模型や漁具などが置かれたロビーに誰もいない。
よく見たら「あらふねビーチで きぼう(国際宇宙ステーション)を見よう」と手書きで書かれている。

「おっ!宇宙ステーションが見えるのか!!?」とテンションが上がると

「良く見える日がしばらくありません」と書かれているオチ。

宇宙ステーションとは書いてあるものの、「きぼう」がよく見える日がありません、とは新年早々縁起でもない。


【海を眺めつつの起床】

部屋の窓から凪の海がよく見える!

夜も入った温泉に、朝も午前6時から一風呂浴びてみたのだった。
大浴場は改築した後が生々しく見えるし、何故か天井はガラス窓になっていて気になるが、広々していてゆっくりできる。

国民宿舎あらふねリゾート、結構オススメです。

出し遅れている年賀状をポストに投函しに行くと、特定郵便局だった。
そして隣は津波の際の避難塔になっていて、南海トラフ地震に備えているのが伝わってきて生々しい。
小道の奥に少し迷ってしまったが、なんとか脱出して、熊野那智大社へGO!

怒涛の1月4日が始まったのだった。

その12へ続く


【後輩の頻尿メーター】

⚫️⚫️◯◯◯◯◯◯◯◯ 2/10
国民宿舎で放出したのでしばらく大丈夫(のハズ)

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