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「もやしっ子を御柱に!」ちょっとオカルトな中部の旅(その7)~「祖父の呼び声」「岐阜県民の歌」「栃の実せんべい」~



【前回までのあらすじ】

頭も顔も良いが、肝心な時に体調を崩しがちな「もやしっ子」後輩を、野性味あふれる聖地・諏訪の巨木御柱おんばしらまで育て上げようと、昭和のパワハラ親父精神で旅に出た。
諏訪大社を参拝した後に、誰もいない暗闇で誰かにぶつたかったり、旅館自慢の風呂が水風呂だったりと珍道中となってしまう。
「わたしゃ知恵が足りませんからねヘヘへ」とか言って象山神社で「ちえもち」を買った後輩だったが、さっそく失くしてしまい、知恵が足りなくなってしまう。

象山神社から下呂を目指す(距離186km)

次に目指すは岐阜県の下呂(げろ)である。
長野県を横断して、186kmもの移動。この旅、最大の移動となる。
下呂は温泉もあるが、人間魚雷回天を考案した黒木博司少佐の故郷で「回天楠公社」をお参りしたいと思っていたのだ。


【祖父の呼び声】

Bluetooth接続して車のスピーカーから音楽を流していたのだったが、人間の声が聞こえてきた。

「おーい」「おーい」

「ありゃ」

「おーい!おーい!◯◯、どこに行ったんだ?」

「祖父ですな」と後輩が解説する。
齢90歳を超えられたお祖父様が、孫がどこにいるのか電話してきたのだった。

「どこに行くかは言ったんですけどねぇ・・・とにかく通話しましょう。おーい、◯◯にいるよー」と後輩が大きな声で返答する。

ところが

「おーい!!おーい!!聞こえるか?どこにおるんだ?おーい!」

「耳が遠いんですよね・・・こっちの言ってることは何も聞こえてませんね・・困ったなぁ」
お元気で90歳を超えているとは思えないほどハリのある大声だった。
「一旦切りましょう」と通話を切る後輩。
すぐさま着信がかかってくる。

「おーい!!!!おーい!!!!」

心配ないように実家に連絡してもらったが、「祖父の呼び声」は車のスピーカーから響き続けたのだった。


【熱唱 岐阜県民の歌】

ずーっと見渡す限り山だ!山!山!山!!

見渡す限り山

運転に疲れてくると

「岐阜は木の国♪山の国♪」

隣からハリのある歌声が聞こえる。
「岐阜県民の歌」らしい。
今まさに、木と山と向き合っているので、心に刻まれる歌だった。

どんどん民家が無くなってくる

こっちであっているのだろうか・・
そう思うほど人が少なくなり、秘境感が増していく。

手打ちうどん「下呂(げろ)さぬき」・・語感が悪い

ようやく見えた下呂の文字。
手打ちうどん「下呂(げろ)さぬき」・・・うーん


【モチモチの木?栃の実せんべい】

下呂に近づくと「ちょっととちの実せんべい買っていいですか?」と言ってくる後輩。
「母が好きでしてね。」
「へー、美味しいんだ?」
「いや、私は好きじゃないんです ヘヘヘ」

なんでも栃の実というのは国語の教科書に出てきた「モチモチの木」の実のことらしい。あの話だととても美味しそうに思えたが・・・

少し怖いけど魅力ある滝平二郎の絵
これが栃の実だったのか

そういえば、大学の友人の研究が「古代トチ利用法」だった。「とち」を「土地」だと最初は勘違いして「不動産」の研究でもしているのかと勘違いしたので、よく覚えている。
古代から日本人は栃の実を食用としてきたが加工が必要だったようで、その利用法を友人は研究していたのだった。

栃の実

「ちょっとお待ち下さいヘヘヘ」

とちの実煎餅&カフェ 千寿堂」なるところに入っていく。

古代の人々が食べていた食材を、現代人が食べて追体験しているんだな。

回転楠公社まではもうすぐ


話が進まなくてすいません。続きます。

「もやしっ子を御柱に!」ちょっとオカルトな中部の旅(その8)~下呂と黒木博司少佐~


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