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2024/01/10  インドの消えない児童婚、解決策は… 気になる記事

こんばんは!
今回はインドで社会問題となっている児童婚について書いてみた。
これまでとは少し趣を変え、他のメディアでは取り上げられないようなインドの「深い」ニュース記事を取り上げ、「リアルなインド」を皆さんに紹介していく。
これは自分自身がnoteで投稿を始めるにあたって、いろいろなメディアを調べてみたが、インド系の情報はスタートアップや経済の話などが中心で、内容はだいたい明るい内容が多い。、
だが、実際に住んで、地元メディアに触れていると、明るくない、暗い話題も結構多く、そういった情報はあまり日本のニュースでは見かけない。
そのため、明るいインドもそうでないインドも含めた「リアルなインド」を記事を通じて、紹介していきたいと考える。
皆さんの意見があったら、ぜひコメントください。


☕児童婚って何?

ユニセフによると、児童婚とは、18歳未満での結婚、またはそれに相当する状態にあること、と定義されている。
また、約7億5,000万人の女性と女の子が18歳未満で結婚しており、そのうち3人にひとり以上(約2億5,000万人)が15歳未満で結婚しているとされている。
これは驚きの数字である。G7の合計人口(約7億8,000万人)に近い数の女性が、児童婚をしている計算となる。


🍪インドの結婚観

インドではというと、20〜24歳の女性の23%が18歳以前に結婚しており、児童婚の割合が最も高い国の1つであるとのこと。
たしかに、Netflixで公開中の児童婚告発の映画、『ブーブル』(bulbbul)は2020年の作品であり、まだそんなに古くないし、
インドの友達に聞いても、自分の周りにはいないが、聞いたことはあるとのことで、まだインドでは根深く残る社会問題である。
ニュース解説の前に、一つ紹介しておきたいのが、インド人の結婚観である。
私の職場や友達の話だが、ほとんどが家族が決めた相手と結婚する見合い婚で、恋愛結婚はまだ一般的ではないようである。
見合い婚でも、相手をお互いが選べるようになったり(拒否権がある)、昔に比べれば少しずつ個人の意志は尊重されてくるようになっているようだが、
結婚自体がパートナー同士の契約ではなく、家族同士の契約という考え方がいまだに強く、これはムンバイやバンガロールなどのメガ都市の一部の人を除いては多くのインド人に当てはまると思う。

🍵ニュース解説

それでは、ニュース記事の解説に入るが、今回取り上げた記事は「西ベンガル州では児童婚が依然として多いのはなぜか?」だ。

①児童婚は乳児の死亡率を押し上げる。
今回の舞台である西ベンガル州はインドの中でも最も児童婚の割合が高い州のひとつであり、実にインドの児童婚の15.2%を占める、数にすれば500万人以上である。
コルカタといえば、もしかしたらピンとくる人もいるかもしれないが、インドの北東に位置し、イギリス統治時代には首都にもなった、歴史深い都市を有する州である。
そして、この記事ではこの州で行われた調査・研究をもとに、児童婚が与える悪影響について、このように説明している。
児童婚は人権侵害だけでなく、母子健康状態にも影響する。
西ベンガル州で児童婚が最も多く、経済的に貧しい地区であるムルシダバードの大学病院では、24時間以内に10人の乳児が死亡した。
原因は子供たちが極度に低い体重で生まれたためであり、ある子供は480グラムで生まれたという。
児童婚をする家族は一般的に貧しく、またさらに母の体が成熟していないため、生まれてくる子供の体に十分な栄養を届けられないことを考えると、
児童婚は乳児の死亡率を押し上げる原因となる、言えるだろう。

②識字率と児童婚の間に直接の相関関係はない
政府も何もしていないわけではなく、13歳から18歳の少女を対象に、学業を奨励する条件付き現金給付スキームを、2013年から10年間実施し、
2020年から2021年の高等教育に関する全インド調査では、西ベンガル州の推定女子入学者数は929万人であり、男子入学者数の863万人を上回ったという。
しかし、女子の学業就業率は上がったものの、児童結婚の発生率は依然として高止まりしており、実際の効果には疑問がある。
このことから、識字率と児童婚の間に直接の相関関係はないと指摘されている。

③法律はあるが、事件化しない
児童婚には法律の施行にも問題があるという。
女性児童開発省によると、2006年の児童婚禁止法(PCMA)に基づいて過去5年間に全国で登録された事件数は、西ベンガル州が105件だが、児童婚が少ない州より少ない数しか事件化されていない。
そして、この問題は草の根レベルの活動では改善は難しく、政治が意志をもって、地方自治体、学校、地域コミュニティを含むすべての利害関係者を含む社会運動として取り組まない限り、改善はないと結んでいる。

🍰さいごに

児童婚というと経済レベルが上がればおのずと改善されると思っていたが、現実はそんなに簡単ではないことがわかる。
インド最大の商都ムンバイを持つマハラシュトラ州も、インド国内で4番目に高い児童婚率を持っていることからも明らかだろう。
インドは独立100周年2047年に向けて、先進国入りを掲げた「Vision India 2047」を制定した。
先進国入りするには、経済の規模だけではなく、こういった人々の健康・人権問題への取り組みも大変重要な要素である。
英知を結集した対応が求められる。

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