「死」について思う事/江戸前エルフにハマった理由

「死」について思う事

 先日、飲み会がありました。アルコールのおかげでで皆饒舌になっていて、もちろん私も例外ではありません。
どんな話の流れだったかは忘れましたが、私はこう問いかけました。
「死んだらどうなるんだろうって考えちゃうことありますよね!」
私は誰にでも共通するあるあるネタだと思って発言しましたが、そこにいた皆から返ってきた反応は「いや、無いけど…」という予想外のもので、大変カルチャーショックを受けました。そして、(あ、普通の人って死ぬことについて深く考えたりしないんだ)という学びを得ました。

 例えば、洗面台に立って歯を磨いている時。鏡には自分が映っていて、リビングの方からは家族が慌ただしく出かける準備をするような音が聞こえてきます。何気ないいつも通りの日常風景です。そこでふとこう自分に問いかけます。
「この日常はいつまで続くんだろう」
物事には必ず終わりがあるので、この永遠かのように思われる日常もいつかは必ず終わってしまうことは分かります。何事も今はここにあるけど明日はここにないかもしれない。そしたら、次はこう問いかけます。
「全てが終わった後はどうなるんだろう」
私たちがいなくなった後の街の様子を俯瞰して想像してみます。私が後世に何を残すのかはわかりませんが、しばらくは子孫とか創造した何らかの物という形で世の中に私の形見が、生きた証が残っていくと思います。そしたら、次に
「私の生きた証はいつまで残る?」
地球は大体30~50億年後には消滅してしまい、人類の滅亡はもっと早いと考えられてるみたいです。人類がいなくなって地球がなくなってしまえば、私の、というより、もはや人類全体の営みの証は文字通り宇宙の塵となってしまい、誰にも思い出されることはないと思います。さらに、その土台にある宇宙でさえも数千億年後には消滅してしまうらしく、この世には永遠に続くものなど何もないことを痛感します。
そこで初めて胸に穴が空いたかのような重い不安を覚えます。私の一生なんか、長い宇宙の歴史のほんの一瞬でしかなくて、それに、私が今まで、そして、これからの人生で、笑ったこと、泣いたこと、愛したこと、その全部が遅かれ早かれ無くなってしまって残らない。私はその事実がたまらなく怖くなります。
例えば、私はビートルズが好きです。彼らの音楽は文明が崩壊したりしない限りずっと受け継がれていくと思います。けど、いつかは地球や宇宙が無くなってしまって、誰もビートルズの音楽を聴かないし、彼らがリバプールに生まれ、お互いを見つけ、世界を熱狂させた物語を語らなくなる時が”必ず”来る。私はそれが怖いです。
(そういえば、もうすぐビートルズ名義での新曲が発表されるらしいですが、それに関してリンゴやポールが「僕たち四人からの最後の曲だよ」とコメントしていて泣きそうになりました。ビートルズは諸行無常を体現してるんだ。(意味不明))

ここまで長々と書いてきましたが、自分の感情を一言でまとめてみると「孤独への恐怖」です。死ぬこと自体はそんなに怖くなくて、死ぬ時に私の愛したものがほとんど残ってなくて、私のことを知る人がいなくなり独りになってしまうことが怖いのです。何かを愛し生きながらえさせる行為が自分の存在の証明になると無意識に知っているためでしょうか。だから、私が恐怖を和らげるためにできることは家族を増やして、臨終の時に独りでないようにすることですね。そして、子孫がいればきっと、その遺伝子的な私のコピーたちは、私が見ることのできなかった景色に、知ることのできなかった事実に、私の代わりに辿り着いてくれるのです。これはとても尊いことだと思います。私だって、あんまり自覚はなくともご先祖達の遺伝子を背負って今を生きていて、ご先祖達が知り得なかった未来を目の当たりにしているのです。私がここにいること自体が先祖達の生きた証であり、この連鎖を続けていくことが私にとって孤独への恐怖を拭える唯一の方法なんです。そして、なるべく長生きをしましょう。
そうやって死への不安や恐怖に立ち向かうと決意しました。

江戸前エルフにハマる理由

「いや、江戸前エルフって何だよ」という声が聞こえてくるので簡単に説明。
江戸前エルフは樋口彰彦氏による漫画作品で、現代の東京月島にある神社のご祭神として祀られる不老不死のエルフ・エルダとそこの新米巫女・小糸の交流が描かれます。
最初にアニメを見た時、瞬時に察しました。「あ、これ死が題材のやつだな」と。前述の事情によってすぐにハマってしまいました。
どう足掻いてもエルダが小糸の最期を見届ける未来が確定しているんですよね。小糸はそんな結末があることを悟りながらも、持ち前の前向きな精神でエルダとの今を大事に生きていくんですね。それがとてつもなく切なく、尊かったので、全話を見終えるまでもなく私の中での殿堂入りが確定しましたね。(「N・H・Kにようこそ」も殿堂入りです。あれも切なくて好きです)強く生きていくための勇気を貰えました。私の説明ではすごくシリアスな作品に思われるかも知れませんが、実際は日常系ほのぼの百合作品ですので頭空っぽにしても楽しめます。オタクは日常の中の一瞬の陰りに弱いんだ、知ってるぞ。
架空の世界ぐらいには永久に変わらないものが存在して欲しいですね。
月並みな結論ですが、終わりがあるからこそ人生は美しいですね。

P.S. 死ぬ前に一年ぐらいかけて、これから人類と宇宙に起こることを解説して欲しい、欲しくない?

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