浅い、海の底
電車が海の上を歩いてく
海の中に沈むホームには誰もいない
周りを魚が横切っていく
どこまでも続く線路の脇にはわかめが漂う
輝く空にはひびが入り、雲が崩れている
月は大きく黒光りしている
遠目に見える陸地には高い緩やかな山々が何処までも見える
いつまで待っても誰もこない
列車はいつくるか分からない
駅を訪れるのは列車から降りてくる者だけ
同じ者は降りてこない
ただ、みんな何処かへ向かって海中を歩いていく
それだけだ
遠くから音が聞こえた
いつの間にか列車が来ていた
今日もいつも通り影たちが降りてくる
その中にふと、
キミがいた
世界がほんの少しだけ
変わった気がした