カミサマのおはなし➋

注意:前作【カミサマのおはなし】とはそこまで繋がっていません
   なので今作だけでも大丈夫だと思います。(語彙力が足りなくてすみません。)

神によって作られた一つの世界がある。
神は時々地上へ行き、ヒトに尋ねる。
「お前は今の生活をどう思っている?」

そこは、この国で最も暑いところだった。
それによってそこに住むヒトも少なかった。

神は道端で寝ている男を起こし、尋ねた。
「お前は今の生活をどう思っている?」
「いきなりなんだよ。どっから現れやがった?」
「私はお前達に神と呼ばれている存在だ。」
「ほんとにいたのか。」
「ああ。」
「神だったら俺の生活をどうにかしてくれよ。」
その生活というのを尋ねているのに、と思っていると男がばたりと倒れてしまった。
そういえば、随分痩せこけている。
この男を助ける義理はないが、ここで見捨てると後々厄介になってしまうかもしれないので、仕方なく助けることにした。

ひとまず水をだして男に飲ませた。
前に尋ねた時ヒトが野菜をくれたのを持っていたので男に食わせた。
「助けてくれてありがとな。」
苦しそうだが、どうにか口をきけるくらいには回復したようだ。
男は自分の家へと案内した。
「そういや何だったけ、今の生活か?
みりゃ分かる通り苦しくて、もういやになってるぜ。」
「それはなぜだ?」
「なぜ?そりゃ、毎日食料は少ししかない、飲み水だって数キロ先にしかないからな。」
「水というのはそこの壺に入っている液体のことか?」
「そうだけど。なにか?」
「前の町で見たときよりも茶色くて少し気になってな。」
「はぁ?水って茶色いもんじゃねえのか。」
何を言っているのだろう、そう思った。
「もしかしてさっきの見たこともないきれいなのってあれが本当の水なのか?俺ぁてっきり魔法の飲み物かと思ったよ。なんせとてもうまかったからな。同じ水とは思えなかったよ。」
「お前はあの水しか飲んだことがないのか?」
「逆にあの透明なのはどこにあるんだ?」
驚いた。
ほんの少し(ヒトにとっては数十キロ)離れるだけでこんなにもヒトの生活が違うとは。
そういえば、この辺りに井戸はほとんどなく、かつてのそれらしきものはどれもみすぼらしいものだった。
この男が言った通り、数キロ離れた所に大きな池はあったが全く底が見えないほどに濁っていた。
「なぜお前はここから去ろうとはしない?」
「それは・・・その。」
「ヒトは苦しいものが嫌いなのではないのか?」
「・・・こんな場所でも思い出つうもんがあるんだよ。」
「そうか。それはいいことなのか?」
「さあ、でも俺ぁその思い出を大切にしてぇと思ってるだけだ。」
物好きなヒトもいるもんだ。
「もうそろそろ私も帰ろう。長居したな。」
「こちらこそ助かったよ。」
「言い忘れていたがこのことは他の者には言うんじゃないぞ。」
「へっ?なんでだ?」
「前に噂が広まり大変なことになった。」
「なんだそれ、面白そうだな。また会ったら聞かせろよ。」
「いいだろう。会えるか分からないがな。久しぶりに楽しめた。
 さらばだ。」
「へへっ、じゃあな。」
そして神は消えた。

あの男はとても面白かった。
あんなに堂々と神に話すヒトは今までいなかった。
やはり、ヒトに尋ねることは様々なことが分かるからとても楽しい。
明日も神は急に表れヒトに尋ねる。

「お前は今の生活をどう思っている?」