171 「やればできる」って言われても
小学生の時、通知表に毎回のように書かれていた学習面の所見があります。「やればできる」です。
「やればできるのにもったいない」「もっとやれば力は伸ばせる」「欲がないのが残念」などというい書き方をされたときもありましたが、多くの先生に「やればできる」と言われてきました。そのたびに思いました。「やっているのに」と。
小学生の私には先生がなぜそう思うのかがわかりませんでした。最近はあまり聞かなくなった「知能検査」を根拠にした先生もいましたが、子どもながらに何となくモヤモヤしていました。自分ではやっているつもりなのに「やればできる」と言われるのが納得がいきませんでした。がんばっているのに「がんばれ」と言われるのと同じです。
「やればできる」と言われても何をどのようにやればよいのかわかりません。「じゃあどうすればいいの?」と聞きたかったですが具体的なアドバイスはなかったです。
今思えば先生の目には私がやっている(=がんばって勉強している)ように見えなかったのでしょう。努力が足りないと思ったのでしょう。あるいは所見の事例集からそのまま抜き出しただけだったのかもしれません。でも複数の先生がそう書いていたということはやはり私の努力が足りなかったのでしょう。それならそれでどんな努力が必要か教えてほしかったですが、それを自分で考えるさせることも先生の意図だったのかもしれません。
その後教師になって自分も生徒の通知表に「やればできる」と書いていたことがありました。かつての自分を思い出し、小さなアドバイスを添えました。