67 雪の日に...
私の住んでいるのは関東の温暖な地域なので、冬でもめったに雪は降りません。でも何年かに一度は雪に見舞われることがあります。ある年の1月のことです。
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昨日は先週に続いて2度目の雪が降りました。今回は都心でも10センチ近く積もりました。雪の少ない首都圏では大雪です。窓から眺める外の景色はあたり一面真っ白で、何とも言えない美しさです。「きれい!」そう言って温かい部屋の中から外を眺めていた私でしたが何となく後ろめたい気持ちにもなりました。
昨日はたまたま休日だったので学校は休みです。私は雪の降りしきる寒い中を出かける必要がありませんでした。暖房の効いた家の中で温かい飲み物を味わいながら外の景色を眺めている私の家にはいつも通り新聞が配達されていました。郵便屋さんは懐かしい友人からの手紙を届けてくれました。テレビをつけると雪の中で作業をしている人たちの姿が映し出されました。「そうか、この雪の中でも働いている人たちがいるんだ」そんな当た前のことを私は忘れていました。
子どもの頃、雪深い東北の町で暮らしていたことがあります。だから雪の大変さは体験しています。雪の中で働くことがどれだけ大変かということもわかっていたつもりでした。でも、便利で快適な暮らしに慣れていた中で、厳しい環境で仕事をしなければならない人たちの苦労に頭が回らなくなっていたようです。
昨日、新聞がいつものように配達され、郵便屋さんが旧友の手紙をとどけてくれたことも実はとても大変なことだったのです。感謝しなければいけないことだったのです。さらに、寒い日でも暖房の効いた温かい部屋の中で快適に過ごせることにも感謝しなければいけないと思いました。ただ、こういうことってなかなか気がつかないものですよね。目の前にいる人には感謝することはあっても、自分には見えない人たちの苦労や努力に感謝することは少ないです。思いを馳せることすらしないことが多いです。
自分が気づかないところで大変な仕事をしている人がたくさんおり、自分はそういう人たちに支えられて生きているということを気づかせてくれた昨日の雪です。
そして昨日の雪がまだ残る今朝のことです。いつもより早めに車で家を出た私は、スリップしないようにのろのろと車を走らせて学校に向かいました。 学校が近づくと道路で雪かきをしている野球部の人たちが目に入りました。校長先生や他の先生も一緒に雪かきをしています。道行く人たちが「ごくろうさま」と声をかけています。校門を入り、校舎に続く道でも雪かきをしている生徒がたくさんいました。野球部以外の人たちもいました。みんな黙々と働いています。その間を車で走らせてもらうのが申し訳なかったです。ここにも感謝しなければいけない人たちがいました。
今回の雪に私は大事なことを教えられました。