167 校長室に飾られた歴代校長の肖像写真
教員研修の講師として学校を訪問することがたびたびありました。最初に通されるのが校長室で、そこで目にするのが歴代校長の肖像写真です。ほとんどの学校に飾ってありました。歴史の長い学校はその数も多く、古い写真はセピア色に変色していました。圧倒的に男性の写真が多いです。最近でこそ女性も増えていますが、古い年代のものはほとんどが男性ですし、着ている服が暗い色なので部屋の中も暗い感じがします。残業で夜遅くに部屋に入ると私などはいささか不気味な印象を受けます。
それにしてもどの学校でも肖像写真を飾っているのはなぜでしょう。そのような規則があると聞いたことはありません。慣例なのでしょうか。それにしても全国どこに行っても同じ風景なのがとても気になります。音楽室にある作曲家の写真と同じように、だれかが始めたことが全国的に広がったのでしょうか。
写真を飾るにしてもなぜ学校長なのかも疑問です。校長室だから校長の写真? 学校のリーダーだから? 業績が大きいから? 昔の学校長は地元の名士として尊敬を集めることが多かったようですが、今はそのようなことはなく学校長は役職でしかありません。写真を飾りたいのであれば特定の個人ではなく、全校生徒や卒業生、全教職員の写真を年度ごとに飾る方がよいのではないかと思います。
学校長の自己満足だという人もいます。たしかに自分の肖像写真が末永く校長室に飾られることを嬉しく感じる人はいるようです。そう言えば年度末で退職する学校長に「4月以降はここに写真が飾られますね」と言ったら満更でもない様子でした。
それにしても全国どこの学校に行っても似たような校長室が多いのはなぜなのでしょう。最近は校長室の在り方を見直す動きも見られますが、肖像写真はこれからも飾られ続けるのでしょうか。自分の代でそれをやめることに抵抗がある学校長もいるようですし… 「伝統」を壊すことになると考えるのでしょうか。校長室にもっと個性が感じられるといいのにと思います。