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名作になりえた迷作、NETFLIX「グラマラス」
NETFLIXの「Glamorous」。
私は嫌いではないのですが、駄作と言わざるを得ません。
まず、キムキャトラルがメインの登場人物として出演するのが嬉しかった!しかも舞台はニューヨーク。
SATCのサマンサの面影を求めているファンにとっては、それだけで、魅力的な作品です。
しかも、配信日は、「And Just Like That(AJLT)」のシーズン2と同じ日にぶつけてきました。
「AJLT」にサマンサはいないけれど、パラレルワールドのように「グラマラス」にはサマンサがいる!そんな期待を抱いて観たのですが、とにかく悪い意味でツッコミどころが多すぎたと思います。
以下ネタバレを含みます。
■マルコがモテまくる謎
フェミニンな雰囲気のマルコは、とても良いキャラクターだと思いますが、同じLGBTQの中のG。性自認男性のゲイの欲望の対象になるのでしょうか?
性的マイノリティの仲間としては認識するでしょうが、性的に興奮する相手として、マルコは不自然だと思います。
出てくるゲイの男性たち(しかもマッチョでエリート。ゲイの世界でカースト上位にいると思われる人たち)は、彼らと同じような属性にいる人たちで惹かれあうのでは。
何か、ストレートの女子がマルコを恋愛・性的対象にしているような違和感です。
おそらく出演者たちも、「こんな展開で良いのだろうか・・・?」と考えていたのでは?
「SATC」のスタンフォードとアンソニーもそうでしたが、フェミニンなゲイ同士は、友達にはなっても恋愛には発展しない方が自然だと思います。なぜなら、根っこでは女性的な感性同士だからです。
"多様性"をウリにしていたはずなのに、逆に偏見を助長してしまっている気がします。LGBTQはとにかくLGBTQ同士で付き合うんだ、と。
■レブロンて、そんなにすごい会社なの?
まず、私はレブロンという会社やブランドが好きです。化粧品業界や社会に与えた影響は大きいですし、歴史や伝統のある一流のブランド(企業)だと思います。なので、決してレブロンをディスるわけではないのですが、登場人物の一人が、レブロンにスカウトされて悩むという描写が、かなり違和感があります。しかもけっこう長く描かれます。
レブロンって憧れの会社なのでしょうか?
「グラマラス」の世界線だと、あたかも理想の会社の様に描かれていて、現実世界では経営ピンチに陥っているレブロンなのに、どういうスタンスで見ればいいのか分かりません。
ニューヨークに本社がある化粧品会社だったら、エスティ ローダーとか、ロレアルUSAなどが夢のヘッドハンティング先とかにできなかったのだろうか・・・。
おしゃれな世界観を目指したはずなのに、何か方向性がトンチンカンだな、と感じてしまいました。
■ニューヨークで撮影してないんかい!
「NYガールズダイアリー」でもそうでしたが、散々、ニューヨークが舞台と訴求しながら、撮影はカナダだそう。
ブルックリンやサックスフィフスアベニューなど、聴きなれた地名が登場しますが、実際はトロントで撮影されたらしく、不思議な感じでした。(街並みがきれいすぎる)
予算の関係でしょうが、現実世界には存在しないパラレルワールドを観ているような気分でした。
■作品にはいいところもある!
まず、キムキャトラルの吹き替えをサマンサと同じ勝生真沙子さんが担当してくださったのが本当に嬉しかった!疑似サマンサが体験できました。
リカルドチャヴィラさんの出演も楽しかった!まるで「SATC」のサマンサと「デス妻」のカルロスが夢の競演をしているような錯覚がありました。
物語のラストで、マルコはノンバイナリーではなく、LGBTQのT。内面は完全な女性である、ということを確信し、性別移行を目指すという展開で終わるんですが、(何じゃそりゃ!って展開ですよね。それまでのノンバイナリーとか、ゲイ男性との恋愛模様とか何だったの!?という・・・)
こうなったら、トランスジェンダー女性としてのシーズン2も観てみたかったですよね。
普通に社会生活を送る、トランス女性を主役に描いた作品ってあまりないですから。
■キムキャトラルをメインの主役にするべきだった
主役を演じたMiss Bennyさんの方向性が本人も周りのスタッフも良く分かったいなかったがゆえ、珍作になってしまったのだと思います。
とにかく、多様性のキャラを主役に行き当たりばったりで作ってしまったから迷走してしまったのでは。
むしろ、主役(中心人物)をアラフィフのキャリアウーマン(キムキャトラル)にし、新しい時代の「SATC・AJLT」を目指すべきだったと思います。
名作になる可能性がいっぱいあったのに、変なドラマになってしまったことが本当に残念です。
方針、方向性をしっかり考慮したうえで、シーズン2を創ってくれないでしょうか・・・。