「徳川まつりの世界線」GREEミリオンライブとミリシタのコミュで描かれる「まつり姫」の違いとは (リライト版)
【リライト版の解説】
この記事の初出は、私の旧ブログ(FC2ブログ版)に掲載した2018年2月4日の記事(http://nichohon.blog78.fc2.com/blog-entry-1007.html#more)となります。
2023年となった現在、最初にnoteに上げる記事を何にするか迷ったのですが、旧ブログのミリオンライブ関連のテーマの中から、徳川まつりとの「ファーストコンタクト」を取り上げた5年前の記事をリライトして、第一弾にすることを決めました。
この記事を書いたきっかけは、2013年に稼働したGREE版ミリオンライブ(いわゆるグリマス、以下GREE版)と、2017年に稼働したばかりのミリオンライブシアターデイズ(以下ミリシタ)とで、アイドルの描かれ方が微妙に違うのでは? と考え、GREE版とミリシタ版のセリフテキストを比較研究してみようと思いついたことでした。
初出記事を出した2018年2月4日は、ちょうどミリシタが稼働して半年ちょい、かつまだGREE版のサービス終了の約1か月前でミリオンライブの「過渡期」といえる期間です。
今、「アニメ版ミリオンライブ(以下ミリアニ)でまつり姫を知りました!」という方も増えてきているので、本記事がかつてのGREE版→ミリシタにおいて、徳川まつりがどのように描かれてきたかを知っていただく歴史資料になれば幸いです。また2018年当時のミリオンライブをリアルタイムで知る方は、ぜひ5年前にタイムスリップした気持ちでご覧いただけるとよいかと思います。
なお、本記事は読みやすさなどを考慮し、今の自分の視点から大幅に初出記事に手を加えています。あらかじめご了承ください。
2023年8月27日 NicholasP
旧タイトル:【2018年誕生祭・特集記事】 徳川まつりの世界線 ~ミリシタとGREEミリオンライブで描かれる「まつり姫」像に迫る~
初出:2018年2月4日(http://nichohon.blog78.fc2.com/blog-entry-1007.html#more)
2月4日は徳川まつりの誕生日。今回の特集テーマはミリシタとGREE版のコミュ比較の試みです。ミリシタでもSSRの実装を心待ちにしています(注:まつりのSSRの初実装は2018年5月11日の「ロマンティックランド 徳川まつり」なので、当時はまだなかった)。
【①はじめに】
この記事はもともと2017年11月ごろに公開予定だったため。「現在、ミリオンライブはGREE版とミリシタの2ライン体制となっており~」と書き出すつもりでした。
が、下書きしていた2017年10月にGREE版のサービス更新停止がアナウンスされ、そのショックで執筆が止まってしまっていました。
記事の公開については迷っていたのですが、GREE版のサービス終了日が2018年3月19日と告知され、この記事はむしろ過渡期である今だからこそ表に出した方が良いと思い、公開することにしました。
この記事がGREE版とミリシタが共にある期間の貴重な記録となるように、後々の歴史資料として機能することを願っています。
【②GREE版とミリシタにおける「徳川まつり」の違い】
GREE版「アイドルマスターミリオンライブ!」は、2013年2月27日にソーシャルゲームとして出発しました。その後、スマートフォンアプリ「アイドルマスターミリオンライブ! シアターデイズ」が2017年6月29日から開始しています。
この2つのゲーム「ミリオンライブ」ですが、後発のミリシタでは世界観が再定義されており、いくつかの差異があります(例えば天海春香ら765オールスターズ(以下AS)が、春日未来ら765ミリオンスターズ(以下MS)の同期ではなく、明確に「先輩」にあたる立場となっていることなど)。
こうした設定の差異や、ゲームが開発された時期の影響もあってか、GREE版とミリシタでアイドルの描かれ方にも違いがあるようです。
そこで本記事では、GREE版とミリシタのコミュを比較研究してみて、それを手掛かりにまつりへの理解を深めていこうと思います。
【③「はじまりのコミュ」を比較してみる】
注意:以下の記事では、GREE版のNP編コミュと、ミリシタのメモリアルコミュのネタバレを含みます。
GREE版とミリシタのアイドルの描かれ方を比較するのに格好の素材があります。それは「アイドルとプロデューサーの出会い」を描いたシナリオ、すなわちGREE版の「NP(ネクストプロローグ)編」と、ミリシタ「メモリアルコミュ」です。
担当アイドルとのファーストコンタクトという同じテーマを、それぞれ別々のアプローチで描いたテキストがあるならば、比較することでGREE版とミリシタの違いが見いだせるのではないでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
【④コミュその一:ファーストコンタクト】
まつりとPが最初の出会いを描いたシーンです。
出会いの場所についてすでに違いがあり、GREE版では「事務所」、ミリシタでは「オーディション会場」での出会いとなっています。
まつりの第一声を比較してみると、GREE版では「ほ?あなたがまつりをわんだほー!な姫にしてくれるのです?」という問いかけから始まり、これから「まつり姫」として活動するにあたって、Pの助力を求める言葉(「でも姫ひとりの力では不十分なのです。うるうるなのです。…ね?」)が続くという流れです。
これに対してミリシタでは「姫の名前は、徳川まつりなのです。」とはっきり名乗り、その後はどっちが面接官なのかわからない堂々とした振る舞いを見せるなど、すでに「まつり姫」としてのセルフプロデュースを確立した状態でオーディションを受けに来たという流れです。
所属時点でのGREE版まつりとミリシタまつりを比較した場合、GREE版は「これからPと一緒に『まつり姫』の完成を目指していく段階」、ミリシタは「すでに『まつり姫』のセルフプロデュースを確立している段階」といった違いがあるのではないか? というのが最初の仮説です。
逆に「まつりが初対面のPに対してかなり好意的に接してくれていること」、「姫は姫なのです」というセリフ、「最後に自分の呼び名について言及すること」あたりは媒体が変わってもほぼ同じ描かれ方ですね。
【⑤コミュその二:宣材写真の撮影】
NP編とメモリアルコミュの第2話はどちらも宣材写真の撮影現場が描かれています。シナリオの第2話で「宣材写真回を入れる」のは、アイドルマスターのお約束ですね。
このコミュだと、GREE版まつりは最初の撮影で納得がいかず、Pに助言を求めた後に再度撮影に挑む、という流れですが、ミリシタまつりは(Pのフォローがあったことが示唆されれているとはいえ)最初の撮影でほぼ完璧な結果を出し、さらにPに対してお姫様抱っこを所望するという余裕(?)すら見せるという流れになっています。
まつりが「自分をもっとも可愛く見せられる角度を研究している」というエピソードは、GREE版だと「HRびゅーりほー研究中! 徳川まつり」、ミリシタだと「しゃぼんドリーム 徳川まつり(覚醒前)」で描かれています。
これを見る限り、やはりミリシタまつりの方がセルフプロデュースの確立が進んでいるような印象を受けます。どちらのシナリオでも、彼女のプロ意識の高さ・研究熱心な面は変わらないのですが。
【⑥コミュその三:密かな努力家】
続いてGREE版NP編の4話と、ミリシタのコミュ3話の比較です。
ここでは両シナリオとも「居残りでレッスンをするまつり」が描かれているのですが、どちらも遅くまでレッスンする彼女の人知れぬ努力の姿を見ることができます。
レッスン中の様子ですが、GREE版まつりは「…んー。ちょっとだけ、タイミングがずれている気がするのです…。」とステップの違和感について漠然とした振り返りをしているのに対し、ミリシタまつりは「はぁ、はぁ……。もう少しステップを速くした方がいいかな?」とより具体的な修正点に気付いているところが相違点かと思います。
まつりが陰で努力を積み重ねるタイプである、という描かれ方は共通していますが、純粋に初期のダンス技量においては、ミリシタまつりのほうが若干上、と解釈することができる描写かと私は感じました。。
【⑦まとめ:徳川まつりの世界線】
ここまで三つのコミュを比較してみました。
私が③はじまりのコミュを見て立てた仮説は、所属時点においてミリシタまつりのほうが、より「まつり姫」のセルフプロデュースを確立している、というものでした。
他のコミュも見てみると、⑤宣材写真回の比較ではミリシタまつりの方が堂々と撮影に臨んでいる様子、⑥レッスン回の比較でもミリシタまつりの方がダンスの違和感に具体的に気付いている様子が見られます。
大きな差、とまでは言い切れないですが、わずかにミリシタまつりの方がGREE版まつりよりも自己のセルフプロデュース確立が進んでいるのではないか、と考えることが出来るかと思いました。
この記事を執筆している時点(2018年)で、ミリシタのメモリアルコミュが3話までしか公開されていないですが、今後のコミュの展開次第で、また違った側面が見えるかもしれません。
とはいえGREE版まつりの方が劣っていると言いたいわけではなく、NP編3話(水族館リポーター)、4話の前半(ショッピングモールリポーター)、5話(スポーツバラエティ出演)では様々な仕事に取り組んでおり、いずれも現場スタッフから高い称賛を受けています。
この「現場で働いているスタッフに、やたらと評価が高い」のは、まつりのコミュでしばしば取り上げられる描写です。
徳川まつりが「まつり姫」というキャラクターのセルフプロデュースに真剣であること、陰で気遣いや努力を欠かさないこと、仕事に真摯に取り組んできちんと成果を出すこと、等は媒体が変わっても共通する、まつりの良いところだと思います。
そんな彼女の生き方に惹かれる人が後を絶たないのが、徳川まつりの魅力ではないでしょうか。
【⑧終わりに】
この記事では「GREE版とミリシタで描かれている徳川まつりの違いを考察する」ことを出発点に書いたものです。
ふたつの媒体の描写の優劣を論ずるというよりは、違いを手掛かりにまつりをより深く理解したいと考えて、セリフテキストの比較を行ってみました。
2018年3月をもってGREE版は終了するとはいえ、今後も続くミリシタの物語、さらにその先のミリオンライブのメディア展開によって徳川まつりの活躍は描かれ続けていくと思います。
たとえ時代が変わっても、徳川まつりの本質は何かを常に考え続けていけば、登場する媒体は違っても、彼女の変わらない魅力が見えてくるのではないでしょうか。
2018年2月4日 NicholasP