きらいな理由。
突然だが、わたしはキャンペーンという名の付くものが嫌いだ。あるサービスについて、期間中〇〇円引き・何%オフというやつである。
洋服や食品が値引きされるセールは平気である。
形があるものだから。流行り廃りがあるし、食品なら賞味期限があるから。無駄になるなら売り切った方がいい。
形のない、ノウハウや技術を提供するタイプのものが値引きされると、心が痛む。
だって、置いておいても邪魔にならないし、無くならないじゃない。モノによっては流行りはあるかもしれないけれど。
こんなにおかしな事ばかり考えているのには、理由がある。
「キャンペーン」を打たれる側の気持ち
わたしは長らく営業の仕事をしていた。
形のないモノ、ノウハウを提供するタイプの営業だった。決してお安くない、契約するにもまとまった金額がかかる。でも、わたしは当然自信を持って売っていたし、わたし自身も技術を身につけていたので価値は分かっていたつもりである。高いお金をいただくだけのものを提供していた。
売っているモノの性質上、リピーターよりは新規顧客獲得が必要になる。なるべく無駄なお金をかけずにPRし、コツコツとお客様と向き合っていた。
そんな中、必ず現れるのである。
「安くしたら一気に売れるんじゃない?」とか考え出す人物が。
キャンペーンが必ずしも悪とは言わない。
今まで対象ではなかった層にアプローチするのには良いとは思う。売上が伸び悩み、なんとか新規顧客を増やして次に繋げたい時にも有効かもしれない。間口を広げるのには役に立つと思っている。
しかし、タイミング・内容がとても大切になる。
だいたい何らかの費用が安くなるパターンが多いと思う。一度安くすると、その後元に戻した時の反動が大きいことがある。また正規の値段で契約してくれたお客様にイヤな思いをさせることもある。
そしてなにより、売る側がなんらかの痛みを伴う。無傷ではすまないはずだ。
わたしの場合は、お試し体験費用無料や契約金〇〇円引きが多かった。
単純に、単価が下がるとそれだけたくさん売らなければいけない。契約金を大幅に値下げされた時は絶望した。金額が大きすぎる。
また、自信を持って売っているモノを簡単に値引きするのはいかがなものかと思った。「これにはそれだけの価値がありますよ」と言っていたではないか。
幸い、わたしの仕事はインセンティブが「契約1件につき〇〇円」だったため、そこまでのダメージはなかった。これが「売上の〇〇%」であれば更に嫌いになっていたと思う。
こんな話をすると「長い目でみれば」とか「全体で見れば」と言われるかもしれない。しかし、それこそ長い目でみれば値引きしないに越した事はない。
自分で選べる自由
長くお話ししてしまったが、キャンペーンを利用する・しないは自由である。
多くの人にとってはお得でなにもデメリットはない。
「そんなに難しく考えなくてもいいのでは」という意見もよく聞く。
分かっているのだ。でも思い出してしまって微妙な気持ちになる。どうせなら余計な事を考えずに利用したいので、選べるのならありがたい。
こんな変わった人もいるよ、というお話。