オベント・モリ 忘れるべからず

先週の平日、父が仕事場で食べるはずの弁当を忘れた。私が届けることもできないので、父が「昼ご飯にしていいよ」とメッセージをくれたため、ありがたくいただいた。
ご飯に海苔をしいて醤油をかけたのり弁、おかずは出来合いの惣菜を詰めたもの。
お父さんの作ってくれる弁当ってこんなだったよなーと思いながら美味しく食べた。
私は小さい頃から父と二人暮らしで、夕飯やお弁当などは父に頼りきりだった。
父が私に作るお弁当は、決まってプチトマト、塩ゆでしたブロッコリー、卵焼き、ウインナー、ふりかけご飯と決まっていて、昔はあまりよく思っていなかった。(レパートリーにのり弁はいつの間にか増えていた)
最近は私が夕飯を作るようになった。台所に毎日立つと、献立を考えて調理をすることが、こんなにも大変だとは知らなかった。
それでもいつも私が好きな献立を作ってくれて、お弁当も持たせてくれて、手間をかけてくれていたんだなーと、今になって気づいた。
「料理は愛情」とはよく言ったもので、料理を作ること、美味しく食べること、この行為の循環はその人達の愛情によって成り立っている。

今日スーパーへ行くと、知り合いのご近所さん二人に会った。数年前、その方々が飼っている犬ちゃんと私が仲良くなったことがきっかけで、犬ちゃんが亡くなった後も(おそらく老衰。犬では大往生)今でも顔を合わせれば挨拶をする仲だ。
とはいえ犬ちゃん亡き後、共通の話題が無い今、失礼ながら私は少し気まずいと感じていた。
お二人のうちお一人は、犬ちゃんを亡くしてすぐのとき、とても意気消沈していた。
とても明るく気の優しい方で、なにより犬ちゃんといるといつもニコニコしていらした。
しかし以前お会いしたとき、顔は笑っていたが声に覇気が無く、鈍感な私にもすぐに元気がないのだと分かった。
幸いにも今は元気を取り戻している。出会い頭に「あら!!元気〜〜〜!?」といつものように声をかけてくださった。
お弁当売り場で会ったその方は、突然
「お弁当買ってあげるわよ!お父さんの分とあなたの分!」
「クリスマスも近いし、プレゼントよ♪な〜んて!」
とおっしゃった。私は正直、
「いいの!?!?やった!なににしよ!!」
と思ったが、なんか無心しているようで申し訳なく思い
「いえいえそんな!」としたが
「甘えた方がかわいいわよ!!」と押し切られ、
ハンバーグ弁当を二つ奢っていただいた。
レジで会計をした後にレジ袋ごともらい、私達は分かれた。(割り箸と、お連れの方がもらったスプーンもいただいた。なぜ?)
よく見ると、お二人は花を一本買っていた。もしかしたら、犬ちゃんへの献花なのかもしれない。
犬ちゃんが繋いでくれた貴重な縁と、お二人のご厚意に感謝しながら、父と夕飯にお弁当を頂いた。
出来合いのお弁当も大変に美味しかった。

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