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米びつ🍚

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#自由詩

【詩】てつ学⑤

【詩】てつ学⑤

寝不足なうえ
首がボッキボキにこって
目が疲れて
腰ににぶい痛み

手のひらの握力は
荷物の手掴みでヘロヘロ
ジョルダーにパレット荷物載せ
背中あわせに脚で押すから
太ももがパンパン

誰にも伝わらない積み降ろし労働
運転しているだけじゃない疲労
そんなことを詩にしたい
生きていることを
アタマの中で詩は書くな

疲労した労働者の
血のにじむ手掴みの詩が読みたい
僕は焼けるほどの愛が読みたい

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【詩】言霊

【詩】言霊

言葉にも 意識がある

魂の宿っていない言葉は

どんなに 素晴らしい言葉を重ねても

人を感動させ 導くことは できない

【詩】一筋の光

【詩】一筋の光

この闇を通りぬけるには 光がいる——
一筋の光を 信じなくてはいけない

湯浴み

湯浴み

蛍火が湯舟に一粒
白いカーブにほんのり灯る
夕さりに言葉はいらない
この灯りを
そう
見つめていよう
きっと何かが
浮かび上がる

足先からすっと
湯の中に滑り込み
夜伽のように
星座の名前をつぶやく
形のないものでいい
はっきりとした輪郭がなくても
ただぼんやりと温められる
気持ちがあるなら

体温調節の利きやすい
浴衣を羽織って
淡い夢への展望を
いくつも重ねて
君は言葉を選ぶけれども
燃える

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29. 【詩】 花手水 (はなちょうず)

29. 【詩】 花手水 (はなちょうず)

朝目が覚めて

自分の呼吸を確かめる

生きている

それは恵みだと

君が言う

どうしようもなく

寂しさの底の底で

水にくるまれる時でも

好きなものをスキとまっすぐに言えたら

それを幸せと名付けよう

無感動でなければ進めなかった

あの青い夜更けを漕いで

流れる方向に中指の先を浸す

水分に触れた感触も

そのままでいい

流れてゆくものは

後を断たない

けれどもし

ゆきたい

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【詩】 雪が降ったら

【詩】 雪が降ったら

明日あなたを一人にしたくない
しんしんと雪が降っているから

あなたから遠いこの地が白で埋め尽くされる
独り言も動物達の笑い声も枝先を震わせる風も
すべての音を吸い込む白
熱を受けると溶ける白
重くなりゆく瞼の奥で思考の先にあるかもしれず突き進めばいつか届きそうな白
掴めそうでつかめない白
全てを振り払って原点に還る白

目指したものは柔らかな曲線を描く峠の果て
さぞかし美しい一色が視界を征服し

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夜さり (ようさり)

夜さり (ようさり)

呑み残したワインの赤を
少し傾けて三日月
網戸越しに夜空を区切って
星一つ惑星二つ
ひと目進んで小宇宙
碁盤の上でスキップを踏んで
私ごと小さくなって
水仙の帽子にスノードロップのトップス
カラーの袖口優雅に
オンシジュームのロングスカートが戦ぐ
ドレープに眩しく泳ぐ月光
ステップを踏み
常夜灯の優しいテラス席に行き着けば
闇色のカフェインのため
ざっくりと粉砂糖に匙を差し込む
想像されるサ音より

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