24年TDLマリナーズの補強雑感

こんにちは、のいんと申します。普段はXにてマリナーズ戦の感想を垂れ流しているわけですが、140字では書ききれないと感じることも多いため、少し長めの感想文置き場としてnoteを活用してみようと思います。
こんな考え方してるやつもいるんだなーくらいで見てもらえると幸いです。

というわけで今回は表題の通り24年のTDLマリナーズの補強についてになります。




マリナーズの補強ポイント

個別のTDL補強について触れる前提として、マリナーズの補強ポイントを確認しておきます。

……とはいってもマリナーズファンはもちろん、ある程度MLBを見ている諸氏にとって周知のことである通り、マリナーズ1番の補強ポイントは打線です。何なら2番も3番も打線です。もう一生打線が課題って言われてる気がする。
前半戦のチーム打率は驚異の.219でMLB30位、出塁率は.300でMLB25位、長打率.367は28位と、とてもコンテンダーとは思えないような数字が並びます。そして、何よりもひどいのが三振数1013です。オフの補強では三振数の減少を掲げていたはずがどうしてこうなった。
さらに追い打ちをかけるように、7月に入り復調してきたJulio Rodriguezと打棒こそ低調ながら守備の要でチームリーダーのJ.P.CrawfordがIL入りとなり絶望的な打線を形成していました。

この現状ではいくら投手陣がMLB最高レベルにあるからといって、ポストシーズン進出など夢のまた夢と言わざるを得ないでしょう。
この打線に少しでもテコ入れするために、平均以上に打てる打者を2.3人獲得することはマストの状況でした。

また、Munoz頼りとなっているリリーフも打線に次ぐ補強ポイントで、前半戦もはや恒例行事と化した回跨ぎMunoz現象を解消するためにも、最低限1枚は頼りになるリリーバーが欲しいところでした。


レイズからRandy Arozarenaを獲得

現地7月23日にJulioがIL入りし外野の補強が急務となっていたところ、現地26日レイズとの間でトレードを成立させ、Randy Arozarena(LF)を獲得しました。対価はともに2023年ドラフトでマリナーズに指名されたBrody Hopkins(RHP)とAidan Smith(OF)、それに後日指名選手となります。

Arozarenaといえばわざわざ言及するまでもないスター選手でしょう。WBCメキシコ代表のレフトといえば大体の方に伝わると思います。トレード時点での今季成績は打率.211、出塁率.318、OPS.712、wRC+108と彼としてはかなり物足りない成績となっていますが、これは4月までの大不振が影響しており、7月1日~7月25日までの成績は、打率.275、出塁率.363 、OPS.913、wRC+158と調子を上げてきておりあまり心配する必要はないと思われます。

また、ポストシーズン通算OPS.1104が示す通り、大舞台に強い選手であり、ポストシーズンを戦う上でも大きな戦力となってくれることが期待できます。マリナーズがポストシーズンに進出した暁にはぜひWBCの時のように大暴れしてほしいところです。

ただ、対価で出した2選手は惜しい選手たちです。MLB公式の傘下内有望株順位こそHopkins22位、Smith12位と上位というわけではありませんが、今期売り出し中の選手です。正直将来的には球界内Top100に入ってもおかしくないと思っています。マリナーズ傘下組織の評価は高いものの有望な選手は野手に偏っており、数少ない投手有望株であるHopkinsを獲られたことは将来のチーム構想にも影響が出そうで痛いです。

ただ、Cole YoungやHarry FordなどのTop中のTopに手を付けずに補強できた点は本当によくやったトレードだと感じます。


ブルージェイズからYimi Garciaを獲得及びメッツにRyne Stanekを放出


別のトレードですが、一連の動きとしてまとめます。

Arozarenaトレードから間を置かずブルージェイズからYimi Garcia(RP)を獲得しました。対価はすでにメジャーに到達済みのJonatan Clase(OF)とJacob Sharp(C)です。
続けて、メッツにRyne Stanekを放出しました。対価として獲得したのはRhylan Thomas(OF)です。

急務であった打線補強にArozarenaという形で一応の手を打ち、次はブルペンの質を向上させるトレードに打って出た格好となりました。Stanekはトレード時点でFIP4.04、WHIP1.33と安心して送り出せるリリーフとは言い難い成績であり$4Mとブルペンの中ではやや高めの契約であったことも相まって放出となった格好です。代わりとして獲得したGarciaのトレード時点での成績はFIP.267、WHIP.080とStanekと比べて明確に上であり、セットアッパーとして十分活躍してくれるはずです。唯一の懸念点といえばトレード時点で怪我からの復帰直後である点でしょうか。

個人的にこのトレードで注目しているのは、Jonatan ClaseとRhylan ThomasのOF組です。結果的に一連のトレードでClaseをThomasに交換した形になったわけですが、トレード時点での両者の評価はClaseがマリナーズ傘下10位に対してThomasはメッツ傘下30位であるため、セットアッパー獲得のために上位のプロスペクトを放出して、同ポジションのスケールダウンした選手で穴埋めしたような格好に見えます。しかし、マイナーでの成績を見るとその印象は少し変わります。
マリナーズは近年ゾーン管理を信条とするチームつくりを行っており三振率の高い選手を敬遠する傾向にあります。(なのに今季MLBワーストの三振数なのは言わないお約束です。)
その観点から見ると今季昨季ともにマイナーでのK%が25%を超え、MLBでは(サンプル数が少ないとはいえ)32.6%を記録しているClaseよりも、パワーレスとはいえK%がマイナーのどの階層でもおおむね10%台前半を維持しているThomasの方が、マリナーズフロントの好みに合っていた可能性が高いです。

このような観点から見ると、この一連のトレードはリリーフのアップグレードと同時に、スケールは落ちるもののフロントの方針に合致するプロスペクトを連れてくることで、ある程度マイナーシステムの更新を目的とするものであるといえそうです。


ブルージェイズからJustin Turnerを獲得

Yimi Garciaトレードに続けてまたもブルージェイズからJustin Turner(DH)を獲得しました。対価はマリナーズ傘下29位のRJ Schreck(OF)です。またマリナーズは現金も獲得しています。

流石に打線補強がArozarenaのみで終わるはずもなく、2人目を連れてきました。39歳と大ベテランですが、トレード時点でwRC+118の成績を残しており、マリナーズ基準では十分な強打者の補強となりました。DH中心ではありますが1Bも一応守れるため、Ty FranceをDFAしたマリナーズでは1Bとして出場することが多くなりそうです。去年はBOSで289.1イニングほど1Bとして出場していますがOAAは0と破綻しているわけではないため、守備面もそこまで心配する必要もないでしょう。
ぜひベテランらしい存在感を発揮してマリナーズ打線のスパイスとなってくれると嬉しいです。個人的には22年のCarlos Santanaのような活躍を期待してます。


マーリンズからJ.T. Chargoisを獲得

トレード期限ギリギリにマーリンズとのトレードでJ.T. Chargois(RP)を獲得しました。対価はWill Schomberg(RHP)です。

トレード期限ギリギリでのトレードはリリーフの補強になりました。21年以来のマリナーズ所属となるJ.T. Chargoisです。今期はトレード時点で防御率1.62と結果を出しています。しかしFIP5.33、WHIP1.32と指標ではかなり怪しくK%も16.9%と低いため重要な場面を任せるには怖い選手に思えます。ただここまで結果としては失点していないのも事実のため、やや苦しいブルペンを支える活躍を期待したいところです。


総括

今夏のトレード市場は例年と比べるとやや小粒な印象があった中で、球界Top100レベルのプロスペクトを誰一人出さずにチームの課題に対応した選手を補強できた点でかなりうまく立ち回れたではないかなと感じます。特に今夏のトレード市場ではリリーフの価値がかなり高騰しており、オーバーペイでの獲得も散見される中で、許容範囲内の対価でブルペン補強をできた点はかなり褒められるべきではないかと思います。

あとは地区優勝、プレーオフ進出に向けて戦っていくのみです。うまく立ち回れたとは思いますが、TDLでの買いトレードは結局のところプレーオフ進出できるかどうかで勝ち負けが決まると思いますので、今回のTDLでのトレードがのちに成功であったと振り返れるような後半戦の戦いぶりをマリナーズには期待したいところです。


参考



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