コロナ禍で得たものってなんだろう

 コロナ禍で失ったもの、できなかったことは数えるときりがない。高校3年の時はコロナが流行した最初の年で、部活の最後の全道大会がなくなった。地元開催だったのに。切り替えて受験勉強をして大学に入っても、一番友達ができるであろう1年生はずっとオンラインだった。2年生ではインカレ前にコロナに感染して出場できなかった。

 そんなのみんな一緒だよねって納得しようとしたけど、悲しいものは悲しい。でも失ったものを悔やんでも仕方ないから、良かったことをいくつか考えてみようと思う。

スピードスケートとの再会

 出身が北海道だから私は少しスケートができた。今までたくさんのスポーツをしてきたけど、まさか大学でスケートが役立つなんて思わなかった。

 入学時は課外活動が厳しく制限されていて、どの団体も思うように新歓ができていなかった。新歓がコロナ前のようにできていたら大人数でわいわいしたサークルに場の流れで入って、普段あまり目立たない私は4年間何もできずに埋もれたまま終わったんだろうなぁなんて思う。別にそういうサークルのアンチではなくて、むしろそれに馴染める人たちがうらやましい… 

 でも新歓が制限されていたからこそ、自分が本当にやってみたいことに正直になれたんだと思う。今では部員が1桁しかいないスピードスケート部で、生活費を削ってまで練習をする生活をしている。練習だけでなく体育会の幹部とかOBとの付き合いとか忙しいことばかりだけど、好きでやり始めた部活だから頑張れる。学業との両立はかなり忙しくて辞めようかと何度か思ったけど、スケートが私を離してくれない。

 この出会いをコロナ禍が導いてくれたと考えると、悪いことばかりじゃないなと思えてくる。

「大学生活」への適応

 大学1年生の1年間は全てオンライン授業で、他の学生に直接会う機会はほぼ無かった。その期間は今思うと、神様か何かが自分を見つめなおすために与えてくれた猶予だったのかもしれない。

 大学入学時の私はかなりひねくれた人間だった。高校時代から受験戦争でねじ曲がった価値観(俗にいう学歴厨?ってやつ)を引きずり、人に好かれることを世間に対する媚びだとか思っていた。実際私は高校時代、一部の人から嫌われていたらしい。でしょうね。そんな奴、絶対に友達にしたくないよね… 

 この性格がまずいことは自覚していたので、大学のみんなに会うまでに矯正することにした。同じ下宿の友達にこの悩みを打ち明け、対話を繰り返すうちに徐々にひねくれた思想は薄まっていった。

 今思えば友達は大学生なんだから切り替えろってことしか言ってなかった気がするけど、あの頃の自分にはそれで十分だった。そして人に好かれるために身なりを整え、会話を続けるための話題を手に入れ(ほんとは椎名林檎が大好きだけど流行りの音楽も聴いてみたり)、関係ないかもだけど下手だったカラオケも練習した。

 そんな努力の甲斐あって、対面授業が再開されてから色々な人と良好な関係が築けている。あと彼女もできた。昔の自分じゃ考えられない。

 やっと私は「ふつう」の大学生になれたのかと思うと、世間の「ふつう」って結構大変なんだなぁとか思う。みんなから好かれてる人も、実は陰でたくさん努力していたのかと思うと尊敬する。もちろん元々好かれるタイプの人もいると思うけど。

 こうやって色々な人に接すると視野が広がり、やはり昔の自分の考えは間違っていたんだと痛感する。

 もうあの頃の自分には戻らない。

「愛」の実感

 会いたい人に会えないという経験はコロナ禍ならではの経験ではないか。

 私は大学の関係で神戸に住んでいるため、実家の家族にはしばらく帰省しないでくれと言われた(家族仲は良好です)。家族のことは正直あまり考えたことがないまま大学生になったけれど、会えないという状況になってはじめて大切さを実感した。

 そして医療系の学部にいた彼女には、実習が始まると病院にコロナを持ち込んだらまずいから、しばらく実習先以外の外出は控えたいと言われた。会えなくて寂しくなると、やっぱり好きだったんだなと実感する。

 彼女とはその頃まだ付き合って3ヶ月程だったから、長期間会えないのは初めてだった。付き合い始めの時は飽きっぽい性格の私が彼女と付き合い続けられるのかと悩むこともあったが、会えなくて寂しくて限界を迎えそうになってはじめて、自分は彼女のことを本当に愛しているんだと強く思った。

 もうこの思いが揺らぐことはないだろう。1年も関係が続いていることは、この会えなかった経験のおかげかもしれない。
 
 どうか彼女にはこのnoteを書いてること、絶対にバレないでほしい… 恥ずかしいんで…

さいごに

 ライター気取りで文を書くのはなかなか楽しいですね。こんな機会をくれた高校の友人(めっちゃ好青年で聖人)に感謝します。

 でも恥ずかしいからあまりじっくり読まないでね…

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この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。
この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。
企画詳細はこちら:#いまコロナ禍の大学生は語る|青木門斗|note
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また、これらの文章をもとにしたオンラインイベントも5月21日(日)に開催予定です。
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