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うちのバラ子ご存じありませんか?

我が家のベランダの環境は過酷だ。
大概の植物は直射日光と太陽の照り返しで熱く焼けたベランダの熱波にて、鉢の温度が上昇する事で根が駄目になって枯れてしまう。
しかしながらこんな環境で、十年以上生き残っている植物がいる。
それがミニバラだと聞けば、どんな化け物かと思うだろう。

バラは温度や湿度に気を付けねば簡単に枯れてしまう、温室育ちの令嬢と例えられるにふさわしい植物なのだから。

だが、我が家のバラは生きている。
十年以上前に購入した時の、露店の売り子の話通りに生きている。

「アメリカで作出されたミニバラで、白い花が次々に咲くからポップコーンという名前なんですよ」

苗の小さな枝にはバラの葉っぱを思いっきりミニチュアにした葉が茂り、売り子が語った花が咲きそうな蕾も二つ三つ付いていた。
当時の私は白文鳥を亡くしたばかりで、白文鳥を埋葬した鉢に植える植物を探していたのだ。
次々と花を咲かせてくれる白バラとは、亡くなったあの子が囀っているようで素敵では無いか。
そうして我が家のベランダの主になったミニバラである。

その日から枯れる事は無く、春と秋には名前通りにポップコーンが弾けるように次々と白くて小さな花を咲かせてくれた。

桜文鳥が亡くなった時も、勿論鉢替えをして彼女を埋葬した。
バラは鉢替えでさらに大きくなり、さらにたくさんの花を咲かせてくれた。
まるで亡くなった彼らに天国を捧げるようにして。

切り戻しも必要なので、時には枝ごと切って室内の花瓶に活けたりします

そして、なぜ急にこのバラについて私が語り出したかというと、もしかしたらこの子がポップコーンではない、という疑惑が持ち上がったからである。
我が家のミニバラはポップコーンです、なんて胸を張って答え、花屋の画像などで説明しようと検索したら、違う、のだ。
このバラを購入した時に検索できたバラ図鑑が見つけられないこともあるが、検索して出てくるポップコーン画像がどうも十年前の品種と違う気がするのだ。

検索できた画像は、なんだか花や葉が大きいし、色味も黄色が強すぎるクリーム色だ。
違う、うちの子じゃない。

では、最初から私は違うバラをポップコーンと思っていたのか。

そこで、我が家のミニバラを見て、本当はコレ、と教えてもらえたら良いなと思って記事を書いた。

そもそもバラじゃないとか言われたらどうしよう。
植物の見分け方を知らない私は、色々と間違って来た経験が多いのである。

例えば、西洋フジバカマとカッコウアザミ。

とある年の初夏、緑道には青紫の花が咲き乱れていた。
細い花弁を持つ小さな花色は美しく、私はその花が欲しくて堪らなくなった。
そんな私への贈り物か、緑道の美化管理している業者が一気にその植物を刈り込み始め、私は刈られてまとめられたそこから根っこをひとつかみ貰う事が出来たのだ。
その日のうちに鉢を買い土を買い肥料を買い、根っこは大事に大事に植え込まれる事になった。

翌年のその鉢は、緑で一杯になった。
だが、蕾が一つもつかない。
私は花が見たい。
来年には咲くだろうが、今年こそ花が見たい。
私はそんな気持ちを植物に詳しい友人に語った。

「緑道の美化で植えてたなら、単なる草じゃないはずだよ」

小さなアザミのような花をつける初夏の花はアゲラタム(カッコウアザミ)ではないかと、彼女は教えてくれたのである。
謎の植物の名前も手に入れた私は、忘れないその日のうちに花屋にカッコウアザミの苗を注文した。
そして届き、私は苗を見て気が付いたのだ。
葉っぱが違う。

左西洋フジバカマ    真ん中カッコウアザミ   右ポップコーンさん

つまり私が根から育てていたうちの子、カッコウアザミじゃ無かった。
カッコウアザミに似ている花と言えばと調べると、西洋フジバカマ(ユーパトリウム・セレスチナム)と検索できた。
そうか、西洋フジバカマか。私は西洋フジバカマをカッコウアザミと思いながら育ててたのか。

だがしかし、がっかりはしなかった。購入した苗の開花後、西洋フジバカマの方も蕾を付け、一斉に咲き乱れてくれたからである。
別物なのによく似た花で、よく似ているのに風情が違う。
それを目の当たりにできたのだ。

並べると違いが分かる 左は西洋フジバカマ 右はカッコウアザミです

ちなみに、今回のバラ子の名前を教えて欲しいは、胸を張ってうちの子の本当の名前を人に教えてあげたいからである。
物凄く頑健で可愛い花が咲く、我が家の自慢の良い子なんです。

秋の七草のフジバカマ(ユーパトリウム・ジャポニカム)と西洋フジバカマ(ユーパトリウム・セレスチナム)は違うので、フジバカマと書いた箇所を西洋フジバカマと修正しました。(2023/8/14)