赤い三角屋根の家「2」
葵と発表会以来会っていない。
今日 葵の家に行ってもいいかLINEで聞く事にした。
「葵 お母さんだけど今日家にいる?
少し話しがしたいんだけど
何時頃だったら大丈夫かな?」
とLINEを入れた。
葵から返信が来た。
「今日、16時くらいに
子供達も連れて帰るよ
夕ご飯も食べて帰ってもいいかな?」
奥さん返事を返す
「もちろん 夕ご飯用意しとくね」
奥さん少し胸騒ぎがする
何かあったのかな?
葵は旦那さんと18歳の時職場恋愛で付き合い始めて
21歳の時結婚した二人
旦那さんがスーツを着て家に来て
「娘さんとの結婚許してください」と
頭を下げた葵より5つ上の爽やかな青年だった
あれから10年かと奥さんは考えていた。
時計の針が16時を回った頃
玄関のチャイムが鳴った。ピンポーン
玄関を開けると
子供達が「おばあちゃーん」と家の中に
入ってきた。
奥さん「いらっしゃーい」
葵「ただいま」
奥さん 子供達に「手を洗ってねー」と
声をかける。
子供達「はぁーい」
奥さん「お茶入れるね」
葵「うん」
葵ソファーに座って少し考え事をしてるように見える。
奥さんはソファーの前のガラスのテーブルに
お茶を置いた。
奥さん 子供達にも冷たいお茶を置いた。
子供達は茶々とボールで遊んでいる。
奥さん「葵何か話しがあるんじゃないの?」
葵「離婚しようと思ってる」
奥さん「そっか」
奥さん驚かなかった。
なんとなくだけどそんな気がしていたのだ。
葵「うん」
少しの間言葉が無かった。
奥さんは葵が決断するのにものすごく考えたのだろうと思った。
切ない気持ちになった。
話しを聞くと旦那さんは子供が生まれてから
どうしても子供が可愛いいと思えなくて
子供に対して暴力と暴言を吐くようになった
そして
旦那さんから離婚の話が出たと言う事だった。
昔は自分達も子供だった。
旦那さんも子供だった。
私も子供達が悪い事をしたり危ない事をしたら怒っていた。
でも‥子供を無視したりはしなかった。
腹が立つ事もあるだろう
ずっと子供は天使でいてくれない
眠った顔を見ると「ごめんね怒りすぎて」と
反省したりしていた。
旦那さんの心の中に 子供達の存在
今までの思い出は無いのだろうか?
家族って?何? 親って? 子供は?娘の存在は?
離婚の話が出て娘が離婚を決めた時から
旦那さんは子供達と一言も話しをしていないらしい。
どうして そんな酷いことが出来るのだろう?
結婚ってなんなんだろう?
付き合っている時は相手の良い面ばかり見えて
しまうかもしれない。
結婚したら一緒に生活をして
どうしても良い面悪い面が見えてしまう。
子供を一番に考えた娘を誇りに感じた。
※※ 新たな出発 ※※
子供達は学校の事がある為夏休みに家に帰って来る事になった。
離婚届け提出したと連絡が入った。
いつでも家に帰って来ても良いように
部屋の片付けをした。
娘と子供達の新たな出発だ。
※※ 赤い三角屋根の家 ※※
奥さん 今日の夕ご飯 おでんにしようと
グツグツとスジ肉 厚揚げ ヒラ天 ゴボ天
卵 こんにゃく 三色団子の串 餅巾
大根 じゃがいも ちくわ
煮込む 煮込む
後はほうれん草のお浸ししようかなぁ
煮込んでる間に韓国ドラマでも観ようかな
奥さんソファーに座って
映画観に行ってる気分でポップコーンを用意する。
後は、ジンジャーエール
「愛の不時着」観ようかな
ポップコーンを口に入れジンジャーエールを飲みながらドラマに入り込む。
ドラマの世界に入っていると
玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン
奥さん「えっ!?」「誰だろう?」
奥さん「はぁーい」
かなでと蓮君だった。
かなで「お母さんケーキ買ってきたよー
食べよう」
蓮「こんにちは」
奥さん「あらあら」
奥さん「ケーキ嬉しいコーヒー入れるね」
かなで「何?ポップコーン」
かなで「愛の不時着観てたんだー」あははと
笑った。
奥さん「愛の不時着すごく良いのよー」
蓮「僕も観ました」
奥さん「一緒に観る?」
かなで「観ようか」あはは
三人でポップコーン ケーキ コーヒー
ジンジャーエール
最初から話しを戻して観る事にした。
最後は蓮君が涙をポロポロ流し
かなでもウルウルしながら観ていた。
奥さんは一人の時しか涙が出ないのだ。
家族っていいなと心の中があたたかい気持ちになった。
奥さん「夕ご飯 おでんだから食べて帰ったら?」
かなで「食べるー」
蓮「いただきます」
※※ 夏休み ※※
夏休みに入った。
葵と子供達が 赤い三角屋根の家に住む日が
来た。
2階の二部屋を葵と子供達
一階の二部屋を奥さんとご主人の部屋
奥さん自分の娘と孫が住むのに
なぜか ソワソワして落ち着かない
ピンポーン玄関のチャイムが鳴った。
葵「ただいまー」
子供達「ただいまー」
奥さん「おかえり」
ご主人「おかえり」
奥さん「荷物部屋に置いておいで」
葵「はぁーい」
明日残りの荷物は引越し業者の人が運んでくれる。
奥さん「夕ご飯用意しとくから先にお風呂入っておいでー」と母の話し方になっていた。
三人「はぁーい」
※※ 新しい日常 ※※
今日から二学期が始まる。
翔は新しい学校の教科書をランドセルに詰めて
少し緊張しているようだ。
翔なりにお父さんの事は自分の中で
区切りをつけたように感じる。
まだ小学一年生
重い荷物を背負わせてしまった。
陽も幼稚園に行く準備をしている。
陽は同じ幼稚園にそのまま通える事になった。
葵は子供達の前で明るく振る舞っている。
私が葵と同じ立場だったら
どうだろう?
強くなれるだろうか?
奥さん「朝ごはん出来てるよー」
葵「はぁーい」
翔「はぁーい」
陽「はぁーい」
三人で「いただきまーす」
その後
三人「ごちそうさま」
葵は翔の学校初日一緒について行った。
奥さん「陽 おばあちゃんと幼稚園まで
一緒に行こう」
陽「うん」
※※ 幼馴染のさやかちゃんとまいちゃん※※
さやかちゃんとまいちゃんは
娘達二人の小学生からの幼馴染だ。
高校卒業してから二人は東京にお母さんと
住んでいる。
こっちに帰って来たと娘達に連絡が入って
赤い三角屋根の家に集まる事になったらしい
その日の夜
赤い三角屋根の家に
さやかちゃんとまいちゃんが遊びに来た。
奥さん「いらっしゃーい」
さやかちゃん「おじゃましまーす」
まいちゃん「おじゃましまーす」
かなでと蓮君先に来ていた。
奥さん「久しぶりねー」
奥さん「今日の夕ご飯 唐揚げにしょうと思って 後サラダとおにぎりして」
さやかちゃん「私 ケーキ持って来ましたぁ」
かなで達が人数分の椅子を並べている。
葵も紙コップ紙皿を用意して
ちょっとしたパーティーだ。
さやかちゃんまいちゃんがこっちに帰って
来たのは
数日前 おばあちゃんが倒れて入院したので
おじいちゃんが一人になってしまう
お父さんは海外で仕事
おじいちゃんは認知症で徘徊がひどい
どうして お父さんとお母さん一緒に住んでいないかというと さやかちゃん達のお家も
離婚しているからなのだ。
おばあちゃん達はお父さんの両親なのだ。
お母さんはこっちに来れないというわけだ
姉妹協力して偉いなぁと奥さんは感心した。
※※パーティーのはじまり※※
子供達もみんなでワイワイと賑やかにご飯を
食べるの嬉しそうだ。
子供達もテンションMAX
葵とかなでと蓮君達は昔話しに話が尽きない
その中に私も入れてもらえて
楽しい時間だった。
食後にさやかちゃん達が手土産に持って来てくれたケーキをお皿に置いてコーヒー紅茶を出し
そして話しに花が咲く。
茶々はリビングの茶々のベッドで丸まって寝ている。
奥さん「おばあちゃん大丈夫?退院は?いつ頃出来るの?」
さやかちゃん「来週には退院出来ると思います」
奥さん「そっか また困った事あったら言ってね」
まいちゃん「ありがとうございます。
おじいちゃん たぶん施設に入ると思います。
おばあちゃん一人だし おばあちゃんもう90歳で とても一人では難しいし
私達 こっちで仕事探して引越してこようと考えてるんです。」
さやかちゃんうなずいている
さやかちゃん「また、こっちに帰ってパーティー出来るの楽しいし」
かなで「私も嬉しい」
葵「うんうん 」
蓮「僕もみんなの仲間に入れて嬉しい」
奥さん「私もー」
みんなで あははと笑った。
玄関のドアがガチャっと開いた。
奥さん「お父さんだ」
ご主人「おーいらっしゃい」
まいちゃんとさやかちゃん
「おじゃましています」
ご主人「楽しそうだな」と微笑んだ。
まいちゃんとさやかちゃん
「そろそろ帰ります。」
さやかちゃん「今日は本当に楽しかったです」
葵「明日もおいでよー」
さやかちゃん「明日もいいの?」
まいちゃん「嬉しい」
かなで「おいでよ」
奥さん「おいでね」
さやかちゃん達「ありがとうございます」
じゃあ明日と言って
二人は「おやすみなさーい」と帰って行った。
※※ ウォーキング ※※
奥さん 少し海岸まで歩いた。
食べすぎたから歩こうとウォークマンを耳につけ歩きだした。
BGMは aikoの カブトムシが流れる。
優しく切なく励ましてくれるような歌
ウォークマンに集中し無になって歩いた。
海岸に着くと橋が虹色に光っている。
水分補給をし
さぁ帰ろう
帰ったらお風呂に入ってお布団だな。
次は葵も誘ってみようか?
行かないと言いそうだな ふふ
※※※ 父の日 ※※※
奥さん思い出していた。
六月少し早い父の日
母の日ちゃんと出来てなかったから
焼き鳥屋を予約した。
その日は、弟が岡山から実家に泊まりに来る事になっていたので
5名で予約した。
弟はお酒を飲むので
お母さんの運転で焼き鳥屋さんに到着
その時に
奥さん「少し早いけど父の日のプレゼント」
テイシャツを渡した。
お母さんとおばさんにもインナーをプレゼント
いつも心配ばかりかけて
私は親不孝者だったと思う。
そしてこの年になって初めて自分のお給料から
父と母とおばさんと弟にご馳走したいと思った
少し照れながらプレゼントした。
お母さんとおばさん「ありがとう」
無口なお父さんは嬉しそうにしてくれた。
弟もビールを飲みながらニンマリしていた。
初めて食べる鳥の刺身生臭くなく
美味しかった。
後は 焼き鳥盛り合わせ ホルモン焼き
色々 みんなで乾杯をした。
みんな美味しいって言ってくれた。
今までちゃんと出来てなかったから
素直に嬉しかった。
私はお母さんとお父さんの子供だ。
これからも元気でいてね。
※※ ※
弟から翌朝珍しくLINEが来た。
「焼き鳥ごちそうさま」
短い言葉だったが嬉しかった。
奥さん 家族って離れていても
たまに会ったら
また家族になれるんだと感じた。
奥さん茶々に話しかける。
「ねー茶々」
茶々「‥‥にゃー」
ゴロゴロしながらご飯をカリカリと食べ
あくびをした。
※※ 夏祭り ※※
9月を少し過ぎた頃
いつもなら8月にお祭りがあるが
今年は9月に夏祭りが開催された。
9月だけどまだまだ暑い
近くの小学校でお祭りがあると電信柱に
ポスターが貼っていた。
少しワクワクする。
夏っぽい
子供達と娘二人と蓮君
ご主人は人混みが苦手なので不参加
みんなで浴衣と甚平さんを着て
お祭りに出かけた。
ヨーヨー釣り 金魚すくい
りんご飴 チョコバナナ 焼きそば
はしまき たこ焼き 唐揚げ 綿菓子
ボールすくい イカ焼き とうもろこし
くじ引きや
陽がお面を見て「ブンブンジャーのお面がある」
目をキラキラさせている。
陽の手にお金を渡して自分で買った。
お面をつけて嬉しそう
翔は金魚すくいを真剣な顔ですくっている。
1匹袋に入れてもらった。
夏だなぁ
盆踊り 太鼓の音
うちわをあおいで 夜店の雰囲気を感じる。
さやかちゃんとまいちゃんもお祭りに来ていた。
みんなで夜店をまわる事になった。
子供達も嬉しそう
いっぱい汗かいたから
帰ったらシャワーしなくちゃ
※※※ 花火 ※※※
赤い三角屋根の家に帰ると
外から花火の音が聞こえる。
ドーン と大きな音が響いた。
外に出た 打ち上げ花火
夏のお祭りだ
みんなの笑顔が見える。
それぞれ 一人一人悩みは違うけど
心の中で抱えている
娘達 孫達 「助けて」と声を出したら
助けよう
大きな心があるわけじゃないけど
出来る限り力になろう
※※ さやかちゃん達のおばあちゃん※※
奥さん仕事に行く準備をし
外に出ると「あっ!」
おばあちゃんとまいちゃんが歩いていた。
奥さん「退院されたんですね」
奥さん「体調は?大丈夫ですか?」
おばあちゃん「いやーまいとさやかお世話になってー体はだいぶん良くなってきたんです」
おばあちゃん「まいも早く東京に帰してあげないといけないんだけど」
まいちゃん 優しくおばあちゃんに寄り添っていた。
まいちゃん「いったん東京戻ってまた秋ぐらいにこっちに帰って来ます。
その時は、また遊びに行きます」
奥さん「本当 また遊ぼね」
なんだか友達のように接してしまったと
後から思った。
奥さん「何か困った事あったら言ってくださいね」と
おばあちゃんに伝え仕事に向かった。
※※ 奥さん学生時代の友達と待ち合わせ※※
一年に一度ぐらい 高校時代の親友とランチ
に行くのが毎年の楽しみになっていた。
結婚も同じくらいで子供の年も同じだ。
不器用な新婚当初もお互い知っている。
絵美は結婚し豊岡で旦那さんのお父さんとお母さんと一緒に暮らす事になった。
豊岡で食堂を営んでいる。
義理のお父さんは2年前くらいに他界した。
義理のお母さんは認知症になり徘徊
今は施設に入っている。
旦那さんと絵美が二人で店を営んでいる。
絵美は本当苦労人だ。
私は、絵美に甘えてばかりだな
去年は洋子と千春も参加したが
今年は、二人だ。
12時神戸駅で待ち合わせ
絵美「久しぶりー」
奥さん「久しぶりー」
絵美「どの店行く?」
奥さん「どこにしょうか?」
絵美「モザイクのブラジルのシェラスコ食べに行きたい」
奥さん「いいねー」
このお店は店員さんがブラジル人と日本人の
店員さんがいる。
店に到着し席に案内される。
このお店はストップと言うまで肉がくる
お店の人が肉を削いでくれる。
ドリンクを先に注文した。
私と絵美はジンジャーエールを注文した。
飲み物がきて二人で乾杯
たわいもない会話をしながら楽しい時間が過ぎていった。
顔を見て話しをするだけでいいな
悩みを相談するだけじゃないな
こうして たわいもない会話も心地良い
夕方まで二人で笑いながら話をした。
また、来年会おうねと約束して
駅で別れた。
※※ 赤い三角屋根の住人 ※※
かなでが蓮君と付き合うようになって
家族写真が増えた。
今年は子供達の写真も増える。
モノクロの写真っていいなと奥さんは思った
なんだか その時の気持ちや状況が手に取るように思える。
写真って不思議だ。
葵は幼稚園に陽を迎えに行く。
翔は小学校から帰って来る。
奥さんは夕ご飯の準備
ご主人はお仕事に行って夜帰って来る。
茶々は猫山に遊びに行っている。
今日は、かなでと蓮君も仕事帰り
家に寄ると言っていた。
何やら かなで達から話しがあるらしい
今日は、お母さんとお父さんとおばさんも誘ってみようか?
奥さん電話する
「お母さん久しぶりに家来ない?」
お母さん「行こうかな」
奥さん「ご飯食べて帰ったら?」
お母さん「うん行く」
家は狭いけど
赤い三角屋根の家に人が集まるようになった。
18時玄関のチャイムが鳴る。ピンポーン
かなでと蓮君が来た。
その後お母さん達も
今日はかなで達からどんな話しがあるのだろう?
今日の夕ご飯は
レタスたっぷりの冷しゃぶ胡麻ドレッシングであえて
豚汁とロールキャベツとお漬物
椅子を人数ぶん用意して
お箸とお茶碗コップも用意
みんな揃って「いただきます」
夕食後
かなで「みんなに報告があります。」
「私と蓮一緒に暮らす事にしました。」
奥さん「そうなんだー良かったね」
みんなも「そっかぁ良かった」
蓮「みなさんよろしくお願いします」
かなで「結婚はまだ考えてないんだけど
蓮の家族にも報告したよ」
お母さん達も「そっかぁ良かったね」
そんな話しをしていると
茶々が隙間から帰って来た。
みんなで「おかえり茶々」
茶々びっくりした顔をして「にゃー」と返事を
した。
※※ トイプードルのラテ ※※
葵が結婚して間もなく ラテが葵の家に来た。
前の飼い主がアレルギーがある為飼えなくなった。
その為誰か飼ってくれる人を探していた。
家に来て旦那さんと二人で決めた名前
「ラテ」
その後 葵のお腹に赤ちゃんがいる事がわかった。
前の家の人がアレルギーがあったので
ゲージから出た事が無かったらしい
この家に来てラテは自由に走り回る事が出来た。
散歩も出来るようになった。
翔が生まれてラテはお兄ちゃんになった。
その後 陽が生まれた。
ラテは長男だ。
ラテは翔の時も陽の時も
ベビーベッドに顔を入れ
嬉しそうにしていたラテ
二人と遊んだりケンカしたり
仲直りしたり
本当に家族だった。
でも‥二度と会えない
翔も陽もラテと会えなくなった。
悲しい現実だ。
ラテ幸せになって 必ず幸せになってほしい
※※ 奥さんの独り言 ※※
奥さん 初めて趣味が出来た。
その趣味に夢中になればなるほど
人との「他人」距離感を感じるようになった
奥さん「まあいっか」と思うけど
ザワザワする。
あの時と同じような感覚
同じように人と行動すれば
共通の何か繋がりみたいなものは感じるけど
人と違う事をすれば
距離感を感じる。
だんだん話しも合わなくなってくる。
今まで 自分のしたい事ってなんだろう?
自分のしたい事がわからなかった。
ただ人に合わせてるだけ
人が怖かった。
同じじゃないといけないような空気
「同じじゃないとこの人間世界で生きられないの?」
大げさかもしれないけど
私は私
家の事をほったらかしにしてないし
ただ人と同じじゃないだけ
ただそれだけ
楽しそうにしてると最近は妬まれるようになってきた。「おかしいなぁ」
私はこの人間世界の住人では無いのかなぁ?
少し大げさだけど‥
妬まれても 自分がワクワク出来る事を
したいと思う奥さんだ。
楽しくしていると仕事も家事も楽しく出来る。
最高じゃないかと奥さんは思った。
※※ ※
人「他人」が去って行くなぁと感じると
奥さんもこの人とはここまでだなぁ
心の中で「今まで寄り添ってくれてありがとう」と心の中でリセットしてしまう。
追いかけてもいい事なんてない
学生の頃や社会人の頃は追いかけてしまい
すぐに謝って許してくれるまで
誤り続けた過去が奥さんにはある。
そして許してもらえるとホッとしていた。
今思えば依存していたのかもしれない。
寂しいから
こんな事話ししたら
最低だなぁって思われるかもしれないけど
心が不安になるのが一番苦しい
家族でも個々の人間だ。
大好きだし寄り添いたい
赤い三角屋根の家に集まる人達は
奥さんを受け入れてくれている。
責める人はいない。
安心感 少し自由をもらえているような空間だ
米米 娘達それから孫達 ※※
葵と子供達の生活も少しずつ落ち着いてきたような気がする。
毎朝のおはよう
行ってらっしやい
おかえり
いただきます
ごちそうさま
この言葉たちは全然当たり前の言葉じゃない
この当たり前と思える言葉大切にしていきたい
翔が学校から帰って来る。
「ただいまー」
「お腹すいたーおやつある?」
奥さん「あるよー手を洗っておいでねー」
翔「うん」
翔「宿題しとくね」
奥さん「うん」
陽も帰ってきた
陽「ただいまー」
葵「ただいまー」
奥さん「手を洗っておいでねー」
「はぁーい」と洗面所から声が聞こえる。
ピンポーン玄関のチャイムが鳴る
かなでと蓮君だ
夕ご飯一緒に食べる事が多くなった。
蓮「翔 ダンス教えてあげるよ」
翔「蓮君ダンス出来るの?」
蓮「出来るよ」少し得意げな様子
翔「教えてー教えてー」
それを聞いていた陽が「オレもー」
蓮「ご飯食べてから練習しよっか」
翔「うん」陽「うん」
かなでと葵
クスクスと笑いながら三人の姿を見ていた。
※※ 赤い三角屋根の家にようこそ ※※
奥さんは週に2日こども食堂をはじめる事にした。
週一で絵本の読み聞かせもしている。
葵とかなでも手伝ってくれている。
時々 母とおばさんもお弁当作り手伝ってくれる。
食堂の日は看板を玄関に出す。
初めは 翔と陽 二人だけだった。
翔が友達を誘ってその友達が友達を誘って
10人ぐらい読み聞かせに来てくれた。
翔も読み聞かせがきっかけで友達が出来た。
陽も友達が出来た。
読み聞かせが終わると
子供達にお弁当を配った。
奥さん「今日は鶏の唐揚げ弁当よ」
子供達「ありがとう」
奥さん「気をつけて帰るのよー」
子供達「はぁーい」
奥さんの夢が一つ実現した。
※※ お母さんの店 ※※
奥さんのお母さんは漁師町でカフェを営んでいる。
朝の7時から昼の14時まで
常連の漁師さんと奥さん
港町のお客様がほとんどだ。
サイフォンコーヒー
サンドウィッチ ナポリタン オムライス
ピラフにワッフル
どれも美味しい
年齢は数字だと言うが本当だな
お母さんとおばさん二人で
店を始めて10年以上になる。
このお店はみんなの憩いの場所だ。
久しぶりにお店に行った。
お母さん「何食べる?」
奥さん「オムライス食べようかなぁ」
私はいつまでもお母さんにとって
小さな子供なのかもしれない。
※※ 一枚の写真からのはじまり ※※
きっかけは蓮君の一枚の写真だった。
一枚の写真を撮ってもらわなければ
今のこの状況は無いと思う。
奥さんとご主人のペアルックから
はじまって
蓮君の一枚の写真
なかなか経験出来ない事を経験させてもらえた
楽しかったなぁ
まさか 蓮君とかなでが付き合うなんて
思わなかった。
個展での再会が始まりだ。
今では蓮君を家族だと思っている。
葵の子供達にもとても優しいお兄ちゃんだ。
ダンスが得意だと知らなかったけど ふふふ
今度みんなでペアルック良いかも
嫌がるかなぁ?
一枚の写真から始まった出会いに感謝
※※いつもの朝 ※※
おはよう今日も良い天気だ。
サイフォンコーヒーの良い香り
今日は、日曜日
今日は、ご主人休みだけど
早くに目が覚めたらしい
奥さん「おはよう コーヒー飲む?」
ご主人「飲む」
奥さん スクランブルエッグを作って
トーストを焼いて
お皿にサラダとスクランブルエッグを盛り付ける。
テーブルのご主人の前にコーヒーのカップを置く。
スクランブルエッグにトーストサラダのお皿を
ご主人の前に置く。
新聞を広げて読みながら
ご主人「今日久しぶりにジムに行って来るよ」
奥さん「うん いってらっしゃい」
茶々もご飯をカリカリ食べながら あくびを
している。
奥さん「今日 葵達と一緒にスーパー行って
1週間ぶんぐらい買い物しようかな」
※※ 陽の幼稚園迎えに行く※※
月曜日 葵は仕事で幼稚園にお迎え行けない
なので奥さんが迎えに行く事になった。
歩いて10分くらいの場所に幼稚園はある
昔と違って お迎えに行く場合
インターホンを鳴らして
保護者カードを見せないといけない。
奥さんもカードを見せた。
陽が幼稚園から出てきた。
奥さん「帰ろっか」
陽「うん」
帰りながら陽が幼稚園で流行っている
マッシュの歌を歌いながら
踊りながら手を繋ぎながら
家に帰った。
奥さん「陽は元気だなぁ」と笑った。
奥さん「車危ないから手繋ごね」
陽「うん」と言いながら道路に出そうになって
ヒヤヒヤする。
家に帰るとどっと疲れが出た奥さんだった。
※※ 家族でペアルックを着て写真を撮る※※
秋の夕暮れ
外の景色が赤く染まってきた午後
秋刀魚の焼くにおいが恋しくなってきた。
奥さん今日の夕ご飯 秋刀魚を焼いて
大根おろしを添えてとご飯の事を考えていた。
お米を洗って炊飯器のスイッチを押して
ご飯が炊けるまでに
肉じゃがを作ろう‥それからワカメと豆腐の
味噌汁とほうれん草のおひたし
秋刀魚の塩焼きと大根おろしと納豆
和食最近食べてなかった。
奥さんのお腹ぐーと音が鳴った。
外から笑い声とかなでと蓮君の話し声が
聞こえてくる。
奥さん「仲良いなぁ」クスッと笑った。
子供達が外の話し声に気がつき
「お姉ちゃんとお兄ちゃんだぁ」
葵も気がつき 子供達と外に迎えに行った。
五人でケラケラと笑いはしゃぐ声が聞こえる。
奥さん「なんか幸せ色だなぁ」と夕食の準備を
していた。
かなでが家に上がって
「お母さん今から写真撮ろ」
「お父さんもうすぐ帰って来るでしょ」
奥さん「もう少ししたら帰って来ると思うわ」
かなで「じゃあ服着替えて待っていよう」
奥さん「服着替えるの?」
かなで「今日ね私が働いているショップの服で
お母さんとお父さんに似合いそうなのみつけてきたの お姉ちゃんと蓮と子供達のもあるの」
かなで「私からのプレゼント」
奥さん「ちょっとびっくりよーありがとう」
かなで外に出てみんなを呼びに行った。
かなで「みんなー着替えてー」
奥さん服を着替えた「素敵ー」と鏡を見た
蓮も葵も子供達も着替え
かなで「後はお父さんだけね」
奥さん「そうね」
車の止まる音がした。
子供達「おじいちゃーん」と呼びに行った。
子供達「おかえり」
ご主人「ただいま」
かなで「お父さん私からのプレゼント服に着替えて」
ご主人「着替えるのか?」
かなで「うん」
奥さん「さあさあ着替えてきて」
ご主人着替えて鏡を見た「かなでセンスいいなぁーありがとう」
かなで少し照れ笑いをしている。
蓮「みなさーん並んで並んで」
「写真撮りますよー」
奥さん「はぁーい」
葵も子供達も並んだ。
蓮「海が入るように撮りますよー」
かなで「はぁーい」
「早く お母さん お父さんも蓮も入ってよ」
蓮「タイマーにしてるから入るよ」
蓮「はいチーズ」カシャッ
赤い三角屋根の家の家族の
幸せ色に染まった瞬間が撮れた。
#創作大賞2024
#小説部門応募作品