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わしの日常(2022年7月)
7月△日
「第2回 やまぐち萩往還マラニック&ウォーク大会」に参加した。
萩往還とは防府と萩を結ぶ街道で、幕末、あの吉田松陰や高杉晋作も闊歩した道だ。今回は萩市梅林園から湯田温泉までの33㎞ウォークの部に参加した。
「俺は100㎞マラソンに何度も出ている“ウルトラランナー”だ。たった33㎞歩くだけなんてチョロいもんだ」軽くお散歩気分でスタートしたのもつかの間、山中に入るとそんなお気楽ムードは一変した。
砂利道やぬかるみ、石がゴロゴロ転がっている急坂、そして恐怖の石畳。石畳の表面には苔が生えており、うっかりすると一瞬で滑ってしまう。滑って倒れた拍子に頭を石の角に打ち付け血を流す男。やがて男の周りに血だまりができ、石畳の石と石のすき間を血が伝って流れる・・・あらぬことを想像し、足がすくんでしまう。
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まるで漫画に出てくるような「へっぴり腰」で進んでいると、僕の脇を他の参加者たちがひょいひょいと歩いて行く。中には、走って下っていく人もいる。一体、君たちは怖くないのか?命知らずの冒険野郎なのか?絶対自分は滑るわけがない、と固く信じる超ポジティブ志向なのか?それとも単に僕が極度のビビリ男なのか?呆れ顔で彼らを眺めながら固く心に誓う。
「もう2度とこの大会には出ない!」
7月○日
以前から時々うちの庭に姿を見せていた野良猫のミケちゃん(三毛猫だからミケちゃん)。最近見かけないな、と思っていたら何と子ネコのトラちゃん(茶虎だからトラちゃん)を連れて久しぶりにひょっこり現れた。「うちの子です」と紹介されたわけではないけど、どう見ても親子だろう。顔つきがそっくりだ。
うちに来て何をするかと言えば、ずっと親子でじゃれ合って遊ぶのだ。ミケちゃんが縁台に取り付けてあるサンシェードの外側に寝ころび尻尾をパタパタさせる。内側にいるトラちゃんがその尻尾を捕まえようと飛び掛かる。それを何度も何度も飽きずに繰り返すのだ。
先日は、途中でミケちゃんが疲れてしまったのかウトウトし始めた。それでもトラちゃんは突っかかっていくもんだから、とうとうパンチを浴びていた。「もういい加減にして!」というところだろうか。
その様子があまりに可愛いので、動画を撮ろうと思い窓をそっと開けるとピュッと逃げて、離れた所からこちらの様子をじっと伺っている。「あの怪しいおじさんに近づいたらダメよ」ミケちゃんがトラちゃんにそっと囁いているようだ。
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彼女たちは普段どんな暮らしを送っているのだろう?ご飯はどうしているのか?まったく見当もつかないが、時々外を眺めていると、庭を忙しそうに横切っていくのが見える。どこから来て、どこへ行くのか?首にビデオカメラを付けて、後で回収して再生したら何が映っているのだろう?
7月×日
外出の際、なるべく日陰を探して歩く。
信号待ちの時も、電信柱の細い影に重なるように立つ。だけど、日傘は持たない!そいつがオーレのやり方♪(近藤真彦のギンギラギンにさりげなく風に)しかし、今年の夏は日射しの強さが例年とは違う。身体に突き刺さるようだ。そろそろお肌の曲がり角を迎えた僕としては大問題だ。そこで仕事帰りに初めて自分用の日傘を買ってみた。明日、日射しが一番キツイ時間帯に効果を試してみよう(その夜、布団のなかで「明日晴れますように・・」とお祈りしたことは秘密だ)。
翌日、日陰の全くない川沿いの歩道に立つ。きっと大汗をかくだろうと、カッターシャツからTシャツに着替えて出かけるこの準備周到さをもっと他の事に活かせないものだろうか、と思わないでもない。
日傘を頭上にかざした時と外した時では明らかに温度差が違うように感じる。
僕の周りには日陰がないのに、僕の頭上にだけは日陰がある!これって凄くないか?
僕の行くところ常に日陰あり!日傘を差している限り、常に僕は日陰に守られているのだ。
日陰を探して歩く人生から、日陰を持って歩く人生に大転換したのだ!!
これで僕は一生「日陰者」だ!
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