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囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)は、ある土地が他の土地や自然的障害物(海岸、崖地など)によって囲まれており、直接公道に接していない場合に、その土地の所有者が公道にアクセスするために他の土地を通行する権利を指します。この状況を「囲繞(いにょう)」、囲まれている土地を「袋地(ふくろち)」、自然的障害物に囲まれた土地を「準袋地(じゅんふくろち)」と呼びます。

囲繞地通行権は民法210条から213条に規定されており、私道設置の法的根拠とされています。この通行権の行使は、必要最小限の方法で行うことが求められ、その際の通行権の行使には償金が伴うことがあります(有償の通行権)。ただし、土地が分筆により新たに袋地が生じた場合、分筆前の一筆であった土地には無償で通行権が認められることもあります。

この法制度は、土地の所有者が自分の土地を有効に利用できるようにするため、また不動産取引の公正を保つために設けられています。平成16年の民法改正では、法文の現代語化が行われ、「囲繞地」の用語は直接的には使われなくなりましたが、不動産業界や学問の領域では依然として使われています。

荒谷竜太

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