ポケモンと脳の科学:ポケポケブームに乗じて学術研究を紹介!
こんにちは、サエラです!
最近、ポケモンカードゲームアプリ「ポケポケ」が大流行していますね。懐かしいポケモンたちがスマホで手軽に遊べるようになり、子供の頃の記憶がよみがえった人も多いのではないでしょうか?
そんなポケポケブームに乗じて、今回はちょっと学術的な視点からポケモンを見てみようと思います!実は、ポケモンをプレイすることが脳に与える影響を調べた研究があるんです。ポケモンが私たちの脳にどんな変化をもたらすのか、一緒に見ていきましょう!
ポケモン経験が脳を変える?
今回紹介するのは、2019年にNature Human Behaviour誌に掲載された論文。
論文情報
タイトル: Extensive experience-dependent plasticity in the human brain: The case of Pokémon
著者: Jesse Gomez, Michael A. Barnett, Vaidehi Natu, Kalanit Grill-Spector
DOI: 10.1038/s41562-019-0592-8
この研究では、子供の頃にポケモンをプレイした経験が、脳の視覚処理領域にどんな影響を与えるのかを調査しました。
特に、「ポケモンという特定の視覚的経験が、脳の機能的な構造に長期的な影響を与えるか?」という疑問に焦点を当てています。ポケモンはキャラクターごとにユニークで一貫性のある視覚デザインを持っているため、幼少期から親しんでいると、脳の特定の領域がこれらのキャラクターに特化して反応する可能性があるのです。
研究の内容
被験者
ポケモン経験者: 子供の頃にポケモンを頻繁にプレイした成人
非経験者: ポケモンをほとんどプレイしたことがない成人
実験手法
fMRI(機能的磁気共鳴画像法) を使用し、ポケモンキャラクターや他の視覚刺激(動物、顔、単語など)を見ている際の脳活動を測定。
ポケモンキャラクターに対する脳の反応と、他の視覚刺激に対する反応を比較。
研究結果
ポケモン経験者の脳では特定の領域が活性化!
ポケモン経験者の脳では、外側後頭複合体(LOC) という領域が、ポケモンキャラクターを見たときに強く反応しました!
LOCは視覚的情報処理に関わる重要な領域であり、ポケモンキャラクターのように一貫性のある視覚刺激に対して特異的に反応することが示されました。
非経験者との比較
ポケモンをほとんどプレイしていない人には、このような特異的な脳活動は見られませんでした。
つまり、幼少期にポケモンをプレイするという経験が、脳の視覚処理システムを長期的に変化させる可能性がある ということです!
この研究が示すこと
1. 「経験依存的可塑性」が脳に影響を与える!
これは、脳が環境に応じて変化する「経験依存的可塑性」の一例です。
私たちの脳は、生まれたときから固定されているのではなく、経験によって柔軟に変化します。ポケモンを長時間プレイしていた子供の脳は、特定の視覚パターンを処理する能力を発達させ、それが成人後も残るというのは興味深い発見ですね!
2. 大学院での研究と通じる部分も?
この研究を読んで、ふと気づいたことがあります。
実は、大学院での研究経験も脳の特定の領域を発達させるのでは? ということ。
論理的思考やデータ解析、研究の計画立案といった作業は、ポケモン経験と同じように脳の可塑性を促していたのかもしれません。
ポケモンをプレイすることで脳の視覚処理能力が発達するなら、大学院の研究経験によって、論理的思考や情報整理能力が鍛えられているのではないでしょうか?
3. 教育やリハビリにも応用できる?
この研究結果は、学習やリハビリの分野にも応用できそうです。
教育: 幼少期に特定の視覚刺激を反復的に学習させることで、記憶定着を高める可能性がある。
リハビリ: 視覚障害や脳損傷のリハビリにおいて、特定の視覚刺激を利用した治療が有効かもしれない。
専門職のトレーニング: 医師やパイロットのように、特定の視覚パターンを素早く認識する必要がある職業に活用できるかも?
まとめ
今回は、ポケモンが脳に与える影響についての研究を紹介しました。
ポケモンをプレイすることが、脳の特定の領域を発達させる可能性がある というのは面白い発見ですよね。単なる娯楽として楽しんでいたものが、実は私たちの脳に深い影響を与えていたのかもしれません。
ポケポケが盛り上がっている今、こうした学術的な視点からポケモンを楽しむのも面白いかもしれませんね!
ではまた、次回のコラムでお会いしましょう!