派遣録 87 臨時職員続き

浜松青果市場

臨時職員として派遣された場所に、南区鶴見町にある青果市場がある。
そこは市の外部団体が運営されていたようで、市の関係者が働いていた。
市場に隣接した建物かあり、その二階に事務所があり、そこが市場事務所だった。

ここの仕事は俺の経験した中で“最も苦痛”な現場だった。
…というのは、ここ、物凄く暇だったからだ

とにかく仕事がない。(おそらく臨時職員の俺だけは…)
朝、出勤すると駐車場の車(違反車輌)のチェック。
それが終わると何もすることがなくなる。
職員さんに「何かする事ないですか?」と尋ねると、市場内の落書きチェックや駐車場の草むしりなどをした。
それでもやることがないので、『海洋産物(魚介類)図鑑』や『捕獲禁止魚類』などを表を1日眺めて終わたりした。

猛烈に忙しい職場やパワハラ社員のいる糞みたい職場は散々体験した。
だが、一番の地獄は“暇・やることがない”だった。
手が空いて、職員さんに訊いても「ゆっくりしといて(笑)」などと言われると、かなり失望して自分の席に戻った。

市場の“人々”


この市場事務所には20人ほどの運営職員がいた。
事務職の女性がいて、俺はその方の指示に従っていたが、この“BBA”が何故か俺に敵意むき出しだった。自分の仕事を“盗られる”とでも思っていたのか、俺が「何かやることあります?」と尋ねると、露骨に嫌な顔をした。
内心(…何故、怒る?)と不思議に思っていた。
そのうち、俺が話しかけたら、イライラ😒💢💢しだすようになった。

このBBAは自分の居場所を守るのに必死だったのだろう。
という事は、このBBAはこの職場を相当気に入っていたのだろう。誰にも渡したくなかったのだろう。
別に狙ってはいなかったが。
こちらは暇過ぎてやることが欲しかっただけなのだが、それが理解できない様子だった。
派遣現場によくいる“老害BBA”だ。

またここの職員は、半数が市場採用で、もう半数が市からの“嘱託”(のような?)職員で、いろんな所で揉めていた。
俺は幹部の一人が、市からの職員さんを説教しているのを見た事があった。

 また市場ではイベントがあり、その準備もした…というか、暇なのでするしかなかった。
その時も、参加を渋る市内の団体に“かなり強引”に参加をお願いしていた。

駐車場の草むしりをしている時に、職員さんに言われた。
「君、若いんだから、“こんなところ”じゃなくて他で働いたら?」
俺もそう思った…。

ここは“居場所”ではない


ここに派遣されていた時、俺はよく市場内を散策した。名目は『市場内の落書きをチェックする』という事だった。
そんなに何回もチェックしても、落書きは早々増えないし、チェックしてもすぐに消したりはしない。

そんな事は事務所の職員さんらも承知で、俺が暇をもて余しているのを知っていて、許してくれていたと思う。

市場内の各卸業者の事務所をブラブラ歩いた。
俺が出勤する午前8時頃は“取引”が終わりかけていて、午後には誰もいなかった。

その無人の事務所を横目に俺はのんびりと歩きまわった。
他にもする事がなかったからだ。

そして思っていた。
(…ここにいてはダメだな?)
嫌な仕事、頭に来る人間はたくさんいる。
それでも他人と“関わらない”現場は、非常に味気ない。仕事自体がないのもそうだが、社会や世の中から隔離されている気がした。 
このままでは、ここを気に入り、あの“老害BBA”のようになりかねない。

この場所(市場)に居たがり、他人を排除したがる“哀しい人間”…。居場所を守るのに必死で、他では働けない人種…。
あーいう風にはなりたくなかった。

人気の消えた事務所は、どこか冷え冷えとしていて、寂しく思えたのもある。
季節は秋🍁から冬⛄になっていたのもあるかもしれない。

午前中に車輌をチェックし、ダラダラし、昼食を食べてBBAに話しかけたら不機嫌に返事され、仕方なく市場内を放浪。
(…ここは俺のいる場所ではないな)
仕事が無いので臨時職員などをしている俺だったが、ここは居場所にしたくなかった。

働くとは何か?

そんな事をぼんやりと考えていた。
病院で病室の白い天井を眺めている日々は退屈だった。
その後の仕事の決まらない夏(2012年)は地獄だった。
そして、ここ(青果市場)は何もなく、ただただ“無風”のような日々で、自分の外側”を世間が進んでいくような気分だった。
他人から怒られたり、理不尽に扱われるのは嫌だ。
だが、“何も起こらない”のはもっと嫌だ。
こんな場所だったら、“クソ野郎”と揉めていた方がマシに思えた。

しかも、臨時職員として働いているので“副業”が禁止。
他に働けなかった。
俺は暇過ぎて、休みや終業後にバイトなどしたかったが、できなかった💦 
それも苦痛だった。1ヶ月だったが、それだけで馬鹿馬鹿しく思えた。

俺は早く違う仕事に就くことを願っていた。

いいなと思ったら応援しよう!