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ちょっと普通じゃない俺とだいぶ普通じゃない高校 #28

食後の大広間に蓮加と二人で取り残された〇〇。


○:ええっと、これはどうしたものなんかね?
蓮加、なんか知ってる?

蓮:…これ、実は蓮加が頼んだの
あ、ちょっと違うけど

○:へっ?
どーゆーこと?


===== 数分前 大広間=====
蓮:ボー

山:蓮加ちゃんは彼氏さんがいなくて退屈でちゅか〜?

久:まだ1日も経ってないのにロスって早くない?(°∀° )

蓮:ちがっ…くはないけどぉ…

阪:〇〇が構ってくれなくて寂しいってところかな?

梅:蓮加は寂しがりやさんだもんねぇ〜(◍¯∀¯◍)ポンポン

蓮:そ、そうだけど…
蓮加ってそんなにわかりやすいの?

山:私たちだからってとこかな
大丈夫、〇〇は適度に気付く程度だと思うよ

蓮:適度にってどういうこと?

山:蓮加からアピールしてあげないと気づかないってことよ
構って欲しいならちゃんとそう言わないと!

蓮:え、でも…

久:蓮加が望むなら一芝居うってあげてもいいけど?

蓮:一芝居って何?
さっきみたいな録音とかはダメ!!

梅:さっきのは自爆じゃん笑
もっかい聞いとく?( ≖ᴗ≖​)

蓮:消してっ!
今すぐ!

久:すとーーっぷ!
そうじゃなくて、蓮加と〇〇を二人っきりにしちゃおう!作戦を実行するの!

与:それ、面白そう!
祐希も見とっていいの?

梅:ダメでしょw
具体的な作戦内容は??

久:ふっふっふ〜、私、久保史緒里、一世一代の大脚本!
「まるでお見合い?気づいたらホテルで二人きり?!」作戦ですっ!

山:それいいねっ!
どうするどうする、近藤くんとかにも手伝ってもらうか!


=====


蓮:…ってことでね、二人になりたかったの…
ダメ??( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )

○:だ..め…なわけ..な.い..けど…フイッ
と、とりあえず、ここからは出よう、宿の人に迷惑かかっちゃうといけないから

視線を外し、一人慌てて席を立つ〇〇

蓮:う、うん
(あれ、目あわせてくれなくなっちゃった?)
(手つなぎたいけどもう行っちゃってる)
待って、〇〇!

○:あ、ごめん…

〜〜〜〜〜 ラウンジ 〜〜〜〜〜

蓮:ちょっと外行かない?
夜景もちょっと綺麗らしくて、

○:ごめん、ちょっと外はやめない?

蓮:え、あ、うん…
(もう一回写真撮りたかったんだけどな…)
じゃ、じゃあ、ホテル内回ってみようよ!

○:う、うん、わかった…

蓮:うん、じゃあ行こ!
(なんか、さっきから余所余所しい…)
(手、も、繋いでくれない…)

○:…キョロキョロ

蓮:(また、こっち見てくれない…)
ねぇ、〇〇…

○:ん〜?

蓮:ねえってば

〇〇の少し後ろから声をかける
少し俯き、両手をキュッと握る
早とちりであることを期待しながら


蓮:〇〇、れんかといて楽しくないの?

少し湿った声で尋ねる


○:えっ

蓮:私は二人きりになりたくて…
手も繋ぎたくて…
なのに、なのに、目すら合わせてくれないのはなんで?
清水寺では助けてくれた勢いだけだったの?
ねえ、なんで??

○:いや、そんなわけないじゃん!

蓮:じゃあ、なんでこっちに来て、私をちゃんとみて話してくれないの?
さっきも食事中なのに電話かけに行くし
いつもの〇〇は食事中にスマホも触らないのに
私と一緒にご飯食べるのが嫌だった?

○:それは、周りが..

蓮:周りがいじってきたからって何?
付き合ってるなら他の人が何か言っても気にしないんじゃないの?

○:…ごめん…

蓮:さっきから謝ってばっか
ちょっと、わかんない
ごめん


踵を返し、登った階段を駆け降りる
涙が頬を流れ落ちる
数時間前知った初恋の味に甘さはない
背中から聞こえる声には耳も貸さず
フロアの奥の部屋へただ足を進める

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