Photo by ideal_stork1314 ある【戦時下世代】の軌跡/柏 朔司 4 望月笑子 2025年1月22日 11:49 草創期の新制大学の入学式は7月中旬にズレ込んだ。この前後には【1949年夏の事】として歴史に記録される【下山事件(7月5日)】、【三鷹事件(7月15日)】、【松川事件(8月17日)】といった奇怪な謀略事件が次々と起こった。入学式の前、私は【定員法】による首切り反対闘争支援のため連日、仙台駅周辺の国鉄職場に行っていた。私の若く行動力に富んだ【赤トンボ時代】である。明け方近くまで駅前広場での決意表明や激励の演説を聴いては大勢の中で喚声を上げていた。国鉄労働組合が首切り反対のストライキを構えると謀略事件が起こされ労働者と共産党の仕業だと大宣伝されて出鼻を挫かれた。こんな悲壮感を伴う闘いの中にあって初夏を彩る一つの光景が蘇る。ちょうど【ダモイ(帰還)列車】が流行語で旧ソ連からのシベリア抑留者が途中下車し隊列を組んでは仙台駅長に面会を求め【不当首切り撤回】を申し入れる。するとまた次の部隊がやって来て同じ様に申し入れる。若い私は【援軍来たる】の心強さを覚えたものだった。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #シベリア抑留者 4