『秘密探偵JA』の頃 (1074文字)
『秘密探偵JA』は故望月三起也さんの漫画作品で、スパイアクションものに分類できるでしょう。
私が読んだのは単行本だったので連載はもっと古かったのでしょうが、当時小学生だった私には新鮮でした。拳銃や機関銃それにパンサー戦車が出て来ました。後にプラモデルを作る必要から兵器の本を見るようになってそれらの描写が正確だったことが分かりました。
この漫画の主人公の名前は飛鳥次郎(あすかじろう)で、少年ながら日本秘密防衛組織(略称J機関)に属していて、その中で3名しかなれないというJA(J機関のエース)です。
所持している拳銃は、初めのころは南部拳銃14年式で、途中からは銃身を短く切り詰めたコルトウッズマンです。このコルトウッズマンの握りには高圧ゴムが使われており、床にたたき付けると最高20メートルまで跳ね上がります。
私はこのコルトウッズマンに拳銃を替えたときの回だけよく覚えていて、その回の題名は「影の誘拐魔」でした。
「影の誘拐魔」は、休暇中の飛鳥次郎が連続誘拐犯を追うという内容なんですが、その行動はミステリの探偵そのもので当時からミステリ好きだった私はワクワクしながら読みました。
犯人との決戦は早朝の遊園地で、最終的にはAR15(アーマーライトじゅうご)は水中でも発砲できるという知識の有無が勝敗を分けるという結末でした。
ところで、このAR15は軽量で水に浮き水中からでも発砲できるということでしが、米兵の訓練映像を見るとM16(AR15のアメリカ軍での名称)を水面より上に抱え上げて渡河しているので、水中で発砲可能というのは疑問です。007シリーズの「ロシアより愛をこめて」では、主人公のボンドはAR7を使ってヘリコプターから手榴弾を投下する敵に発砲します。この組立式ライフル銃は、肩当てがケースになっておりその中に銃身やマガジンや光学式スコープを格納している状態で水に浮くということは知っていますが、AR15については聞いたことがありません。
また、この回では引退したスパイの悲哀というか家族を持たなかった者の屈折した感情が表現されていて、子供だた私にはもの悲しい印象が残りました。
そうそう、南部拳銃14年式は、漫画内では「南部14年式」と呼ばれていて、マガジンを20発入りに交換して連射が可能でした。ヘリコプターか軽飛行機から敵の車を連続発射したことがあります。「20発とは少ないなぁ。」と当時は思いましたが、現用のアサルトライフルも装弾数が20発から30発ですから、少ないわけではなかったんですね。