『詳細 世界史研究』を語る
『詳細 世界史研究』(木村靖二、岸本美緒、小松久男 編 山川出版社)は、本文だけで571ページあり、おそらくは高校世界史の副読本というか参考書的な位置づけとなる書籍だと思います。しかし、本書のまえがきには「本書は、世界史に関心をもたれる幅広い読者を想定して編集されている。」とあったので、社会人である私が読んでも問題ないだろうと思い読みはじめました。
また、歴史を学ぶためには年表と地図帳は絶対必要だと思ったので、吉川弘文館の「標準世界史年表」と「増補版 標準世界史地図」を買い求めました。知人からは「YOUTUBEにお勧めのがあるよ。」と「パーフェクトヒューマンさんの動画」を推薦されましたが、私は「知識は書籍とノートで身につける。」派を自認しているのと「人を介するとその情報は純度が低下する。」と思っているので、YOUTUBE動画の視聴は本を読んでからすることにしました。
世界史を苦手とする人の話を聞いていると、「(学生時代の)世界史の教科書は大まかな時代ごとに国や地域や民族や文化や紛争を語るため、ある地域について説明がありその時代が進んだところで、別の地域に説明が移りそしてその説明のために時代を遡る。だから頭の中で整理できなくなる。」という意見が多数でした。
私もそう思いますし、さらには「〇〇朝」とか「△△3世」などの名称を覚えることに凄く苦手意識があります。
しかし、ある程度仕事で難しい文章を読んできたので、今なら世界史の苦手意識を克服できそうな気がしました。
というわけで、とにかくこの書籍をノートを取りながら読みはじめました。
教科書や参考書の読み方は個々人の流儀があるでしょうから、それには深入りしませんが、世界史の地図は自分で、フリーハンドで、手書きした方がいいように感じます。学生時代は、コピーして切り抜きノートに貼ったり、トレーシングペーパーで写し取ったりて必要な大きさに切り取りそれをノートに貼ったりしたのですが、費用と時間が掛かります。そこで、今回は見たままをノートに書き写すことにしました。
すると、①図形がいびつで格好悪い、②写した国の図形とその国名などの配置が言いようもなくアンバランスになってしまう、③ただし、それなりに記憶に残りやすい、④ノートの真ん中に地図を描き、その地図に関連付けて年数と事件・出来事を書き入れると意外に見やすくなる。⑤このように付加情報が多くなるにつれて、地図自体のいびつさやアンバランスさが目立たなくなる。逆にそれらが手書き地図の味だと感じられるようになる。ことに気がつきました。
ノートはA4サイズの大学ノートを使いました。このノートを開いた状態で使えば、A3の紙に地図や関連情報を書き入れることになるので、かなり整理して描け、出来上がるとなかなか壮観な眺めになりました。丁寧な描画は、見る人に描いた人の努力を想起させるので、好印象が生まれくる傾向があります。これは自分で描いた絵を自分で見た場合も同じです。
世界史の本を読みはじめた頃、ロシアがウクライナに進攻し戦争状態になりました。この世界史の本は古代オリエント世界から記述がはじまるのですが、古代オリエント世界の地図には黒海が描かれます。その後もなにかというと、地図には黒海が描かれているので、「黒海の北の方にウクライナ、南の方はトルコ」という風になんとなく地理的な知識が深まったような感じがしました。
週末の一日ないし二日間、時間にして週6時間程度を使い、読み終えるのに8箇月間ほど掛かりました。
この間、ギリシア文明やローマ文明それに神聖ローマ帝国についてかかれた本を買い平日はそれらを読み進めました。
それにしても、ウィキペディアなどを参照しながら、ノートに補注を付けていくというのは、デジタルとアナログの調和っていう風情でしたし、意外に親和性があるように感じました。
以上