むずかしい、でもあるいていく。
恋人と付き合って、もうすぐ3カ月がたつ。
彼は対話を大切にする人間。
ふたりのあいだに生じるわだかまりを、ひとつひとつ会話を通して解消していく。
私はここまでしっかりと話し合い、齟齬をなくそうとする人間に出会うのは初めてで、だからほんとうに体力をつかう。
でも、それと同時に深く感動もしている。
これまでの人間関係、微妙なニュアンスですれ違っていたことがきっと数えきれないほどあったんだろうなぁ、と思う。わたしはその瞬間、瞬間に、対話という作業をおこたってきたんだなとつくづく感じる。
ふたりの恋愛に関する価値観はまったく違う。ごはんとか友人に対する価値観は、結構似ているのに。
私たちがいつもぶつかるわだかまり、それが「束縛」。
こういう価値観が一致しないまま理解できない状態が続けば、きっと別れることになるだろう。
そういう話はよく聞くし、だからこそ、私たちは対話をし続ける。
しかし、答えはそう簡単に見つかるものではなくて。
彼は「浮気の芽を摘むために、束縛をする」という。それに対して私は、
「浮気する人はするし、しない人はしない。だから束縛なんて無駄だ」、と思う。
極限まで理解はできるが、お互いにいまいち納得はできない。
彼に執拗な束縛をされているわけでは、もちろんない。
しっかり連絡するだとか、シンプルなこと。
でもお互いの「あたりまえ」の基準が大きく異なると、良い、悪いの判断にもしっかり差はでてくるわけで。
私にとってはなんてことないことでも、彼からすると私は不誠実に映ってしまったり。逆に、彼に少し強く言われたら、私は自分の自由を奪われた気になってしまったり。
うーーん、むずかしい。
ちいさなことで言い合いになって、話して、ごめんねって言って。
でも話が前進したかといえば、実際のところスタート地点と何も変わっていなくて、「理解はできるけど、納得はできない」まま。
お互いの意見をそれぞれにならべるけれど、理屈っぽくなったり感情的になったり。それで会話もスムーズにいかない。
ああ、むずかしいなぁと思う。
いっそ別れてしまえよ、と思われるかもしれない。けど、別れたいっていう感情はそれほど生まれてこないからまた不思議。
嫌というほど本音をぶつけあって、へとへとだけど、話したあとはなんだか温かい気持ちになる。
お互いへの信頼感が増す、というか、なんていえばいいんだろう。
むずかしい、けれど少しづつ歩いていく。
2人にとっての最適解が、いつか見つかるのかな?