今時の中華に行ったらマルチカルチャーの極みだった in ベルリン
私は頭に斧をさしたまま、街を歩いていた。というか、そういう気分だった。それはこの日、大人になって、しかも40も過ぎて「あなた言い訳ばかりですね」と客観的に言われたから。
ある著名な方のYouTubeライブに質問を送って、答えて頂いたのだが、私の3行の質問に5つもネガティブワードが入っている事を指摘されてしまった。「どうしたらいいですか」という質問というより、「できないできない」と言い訳を盛り込んでいたのだ。
ショックだった。晒し者になった気分だった。そして、そこに自分で気づいていなかったことにも驚いた。むしろ自分は結構よくやっている、とすら思っていたのだから。
嫌な気持ちにはならなかった。むしろよかった。自分がそう言う人間だったんだ、と気づけたから、真摯に受け止められた。
例えばそれを母親から言われたら、私はただムカついただけだろう。全然私を知らない人から客観的に言われたから、真実だって分かった。事実、3行にそれだけネガティブを盛り込めるのだから。
今日、子供達は誕生会にお呼ばれしたので、街まで出掛けて行った。集合場所は大きなトランポリン施設だ。子供たちがお誕生日会に参加している間、私は頭に斧を刺したまま、久しぶりの街の中心でぶらぶらして、ご飯を食べることにした。
こんな状態の日は、いつもと違うことをするのがいい。
ベルリンにはあまり中華料理屋がない。ベトナム人が多いので、アジアと言えば東南アジア。ベトナム、タイ料理に、流行っている寿司もメニューに入れているレストランが多い。
それで、たまたまとりかかった中華系のお店が気になって、入ってみた。
テーブルは15席もない細長い店内。奥でライトに照らされているのは料理の材料だった。アジアショップの食材売り場のようだ。トレイに葉もの、魚やイカ、ゆで卵、豆腐、肉、麺類などなどが並んでいる。
説明には「まず、ボールにトングで好きな素材を入れてください。それから味付けを選んでください」と書いてある。料金は何を入れてもグラムで決まるらしい。
とりあえず控えめに材料を入れ、レジにある秤に置いた。そしたらお兄ちゃんに「400グラム以上ないとスープは作れない」と英語で言われてしまった。黒人のお兄ちゃんだった。
ドイツのベルリンの中華屋で働く、英語を話す黒人のお兄ちゃん。マルチカルチャーの極みだ。
もう少しいろいろ材料を入れて400グラム以上にした。スープは2種類で、トマトスープかピリ辛牛だしスープだった。そして他にスープではない中華ミックスが選べた。炒めるということかな。
私はピリ辛牛だしスープをお願いした。
ここでミソなのが、値段が事前にわからないということだ。「15ユーロになります」と、中国人のお姉さんが言った。思ったより高かった。なかなかモダンな仕組みじゃないか。まぁでも、イカとか魚とかゆで卵とか入ってたら他の店でもそれぐらいするだろうか。
トッピングは自由で、いくらでも入れられた。ちょっと欲張ってパクチーとかニンニクとかゴマオイルとか色々入れたら、若干味が混乱してしまった。それでも量はあったし美味しかった。お客には中国人の人もいたので、どういう組み合わせしたのか、ちょっと知りたかった。
ここは賑やかな場所にある観光客も多いところだ。
私の後に入ってきた2組の中国人でないお客さんは、どちらとも店員さんに説明を求めていた。確かにこんなスタイルのレストランは、私も初めてだった。
私の後ろに座っていったドイツ人の男の子は私の前に食べ始めていたのに、私が終わってもまだまだ食べていた。味を味わっているらしく、もしかしたら常連なのかもしれない。
お腹がいっぱいになったら、頭から斧が消えていた。いや、でも決意は消えてはいないのだ。
私はもう言い訳をしない。マジで、本当に。
ブレーキが効いていない自転車は明日、自転車屋に持って行く。
申請していない住居手当も明日始める。
子供の誕生日にあげた携帯用のSIMカードもすぐ買う。
鳥小屋も掃除する。
子供の口座も開設する。
ああ、ほったらかしていたものが書ききれない。
でも、もう言い訳しない。私が生きづらいと感じていた理由は多分、この世の中や、運命なんかではなく、自分の言い訳のせいだったと気づいたから。
マインドが整っていない云々じゃなくて、ただやらない言い訳を山盛りにしてしまっていて、そこに埋もれていたから気が沈んでいたんだと気づいたから。
ずいぶん昔の作品ではあるが、私は漫画「今日から俺は!!」というタイトルが好きだ。中身は全然読んでいないんだけど、タイトルだけいいなと思っている。
それで、言いたい。
今日から私は言い訳しません!!