ぐーたれ保育士のベルリン日記。1月3日
やはり猫姫は来なかった。
これは私が同僚に勝手につけた名前。ドイツでは1月2日から始まってしまう仕事、学校、である。猫姫はしかも誕生日だった。ドイツでは誕生日は結構大事なイベントで、猫姫は休暇を出したのに拒否られたと言っていた。「そんなことってある?こんなこと初めてよ」と、目を丸くする猫姫。私は内心「絶対こいつ休むな」と思っていたら、本当に休んだ。
朝、猫姫が来ないと教えてくれたベテランの同僚に私は思わず「やっぱりねー。誕生日だもん、来ないと思ったわ」と言ってしまった。ドイツ人では珍しいほどシンパシーの高い彼女は「でも電話で吐いたって言ってたわよ」と何も疑ってない様子だった。腹黒い私は「昨日、飲み過ぎたんじゃない?」と思ったが、口には出さなかった。はて、私はその時どんな顔をしていただろう。私の意地悪さが伝わってませんように。
うちの職場では、誰が誰に誕生日プレゼントを渡すか決まっている。猫姫の担当だった同僚が持ってきた花と大型チョコレートは凛々しく、休憩室に来週まで放置されることとなった。
ドイツではクリスマスから1月1日まで学校も保育園も休みで、普通、会社員もその時期は休暇を取っている。そんなお休みの期間に私のパートナーである敏腕の同僚は「みんな、来週から仕事ね!クリスマス会で飾った飾りはまだ取らないでね!」と、どうでもいいことを書いてきた。「それ来週言えばいいんじゃない?」と思って、ふと気づいた。ああ、「この人、来週来ないのか」。
そしてその通りだった。敏腕の同僚は休暇後そのまま病欠となった。が、もう驚かない。持病持ちらしく、優しい同僚たちは「かわいそうに」と言っている。ふーん、と意地悪な私は思う。毎回休暇明けそのまま病欠しているのはいかがなものですか?「休暇中、どんなアクロバティックな冒険をしてるんだよ。私はずっと寺に籠った修行僧のように体調回復に力を注いでいたのですが!」と、変な自己主張を心の中で試みている。
しかし敏腕の同僚の存在感は病欠中でも健在だ。休んでいても園長代理をやっている。そして皆にワッツアップで指示を飛ばしてくる。そしてみんなのシフトを送ってくる。ワッツアップは日本でいうLineみたいなもんだ。今気づいたが、園長は一言もコメントをしない。園長は間髪入れず間違えを直す人で「黙っておれん」タイプの人なんだが、ことSNS上には登場しない。
賢ーい。
さあ大事な週末だ。気合い入れて、仕事のことは一つも思い出さないぞ!