その反応、お国柄のせいですか?その人のせいですか?
私は絶対に熱がある。
背中から頭にかけて熱いのだ。
2つの部屋の中央でうずくまり、右と左を眺めながら、じっと座っているだけで、仕事が成り立つなら幸運この上ない。
うるさいからやめてくれと、何度も大きな声を出しても聞く耳持たない保育園児には、重い腰を上げて近づいていくしかない。
「下の階で赤ちゃんたちが寝てるんだから、静かにしてちょうだい。」
何回このセリフを言っただろう。
敏腕の同僚が部屋に入ってきて、元気かと聞いてきたので?あんまり良くないわと答えた。そしてたらいつものあの言葉を返された。
「Ich auch (イヒ アオホ)」
「私も」
そして説明しだす。肺の調子が悪いやら、咳が出るなら。私も大変ですアピール?ただ単純に説明したいだけ ?
これって普通?
体調が悪いと誰かが言ったら「大丈夫?」と言わないだろうか。
ドイツ人の同僚は、私もそう。私も大変。そればっかりだ。
これはドイツのお国柄?単純に同僚がそういう人達なんだろうか。
ところで、私と同じグループを受け持つ敏腕の同僚を、こよなく愛する同僚がいる。
まるで彼女の影武者のようなに公私混合でサポートしていると自負している人だ。
仕事以外で仲がいいのは素晴らしいことだが、二人が仕事場と一緒にいると変な化学反応が起こって、私は正直嫌である。何と言うか、2人がもっと神経質で泣き虫になってしまうのだ。
この影武者の同僚に背中から頭にかけて熱いし、熱があるかもしれない、と言うと
「私が熱がある時は悪寒が走るわ。顔が熱いのは血圧が上がってるせい」
と言われた。本当に絶望的な気分になった。何でこの人たちは、思いやるという言葉を知らないんだろうか。しかし影武者は、こと敏腕の同僚に関しては「彼女は本当に本当に大変なのよ」と同情の嵐のである。
私は日本だったらどうだったかと思う。誰か「体調悪いんだ」と言ったら、「大丈夫?」と言うと思うのだ。
その言葉が、弱っている私には必要だ。
影武者の同僚は敏腕の同僚を一人にできないために、家に帰らず保育園に残っていた。今日は病欠が2人いる上に、キッチンの人が休暇に行ってしまってるので人手不足なのだ。
だから私も頑張った。しかし本当に微熱があったため、影武者の同僚にその場を託して、私は20分早く帰ることにした。
結局、頼りにしてんじゃん。
家に帰って布団の中で横になってると、長男の虎雄が、お母さん大丈夫?と声をかけてくれた。
学校から帰ってきた。クマ吉は「お母さんお茶飲む?」と言ってくれたので、「お水をちょうだい」と言ったら持ってきてくれた。部屋を出る時、涙を拭いていた。
そんなに心配してくれるの?
私は常々心の中で、誰かにつぶやいていた
「この世界があなたにとって100% 完璧であることはありえない」
なのに、私は自分の期待通りの返事が来なくて拗ねていた。
優しい言葉は、他人の引き出しから取り出すもんじゃない。向こうから差し出してもらうもの。
でも、もう受け取ったから大丈夫。
明日は元気になれる。